Chart Supplement を活用しよう!②

[Flight Operations : 運航]

パイロット免許への水先案内人

須永です!

前回は、Chart Supplement

(以前の呼び名は、Airport Facility Directory) には

より詳しい情報が記載されているというお話を

させていただきました。

今回もその続きという形で

進めていこうと思います。

 

早速ですが、Chart Supplement の

一例を挙げたいと思います。

これは、カリフォルニア州の

SANTA BARBARA MUNI

(サンタ・バーバラ ムニ)空港の

Chart Supplement です。

MUNI は、MUNICIPAL の略で市営という意味です。

このサンタ・バーバラ空港では、

どんなレーダーサービスが受けられるのでしょうか?

それは、この空港周辺にどんな空域が

設置されているかによって決定されるわけですね。

では、Chart Supplement の中身を

見てみることにしましょう。

コミュニケーション情報の下に目をやると

AIRSPACE (空域) 情報が載っていますね。

ここの AIRSPACE は、CLASS C (Charlie) とあります。

APP CON (アプローチ・コントロール) に

コンタクトしなさいとも示されていますね。

(svc は、サービスの略語で, ctc は、コンタクトの略語です)

これらのサービスの時間帯は

1400~0700Z(協定世界時の14時から07時まで)

それ以外の時間帯は、CLASS E (Echo) ですよと記されていますね。

協定世界時とカリフォルニア州の標準時間は、

8時間の時差があるので

ローカルタイムでは、

午前6時から午後11時の間で

クラスC の空域が存在して

アプローチ・コントロールの

サービスも受けられるということですね。

では、クラスC の空域では

どんなサービスが受けられるのか

覚えていますか?

もし、忘れてしまっていたら

Airspace のカテゴリーを読み直してくださいね。

今回は、サラッと復習してみましょう。

クラスC の空域は、

まず、レーダーサービスを受けられるということですね。

それによって、主要空港への着陸のために

順序づけが行われるんです。

それから、必要に応じて

トラフィック・アドバイザリーを受けます。

これは、あなたの機体の近くに

別の航空機が接近している場合には

その機種、方向、距離、高度、飛行進路を

伝えられて目視することが求められますよ。

言うまでもありませんが、衝突回避のためですね。

場合によっては、対象機を避けるため

高度やヘディングの変更も指示されることもありますよ。

それから安全警報なども必要時に出されるわけです。

CLASS C  RADAR  SERVICE

Sequencing

Traffic advisories

Conflict resolution

Safety alerts

CLASS C  RADAR  SERVICE

:クラスC レーダーサービス

Sequencing

:順序づけ

Traffic advisories

:トラフィック・アドバイザリー

Conflict resolution

:衝突回避

Safety alerts

:安全警報

では、このサンタ・バーバラ空港に

着陸するために飛行をして来た際

一番最初にコンタクトを取るべき相手は

誰でしょうか?

これも、以前お話していますので

大丈夫ですよね?

はい。アプローチ・コントロールでしたね。

ちょっと自信がない場合は

もう一度、カテゴリーをさかのぼって

復習しておいてくださいね。

先に進みますよ。

また、Chart Supplement を見てみましょう。

アプローチ・コントロールとディパーチャー・コントロールの

周波数が載っていますね。

APP:APPROACH の略

DEP:DEPARTURE の略

CON:CONTROL の略

アプローチ・コントロールは、

空域の中に向かっていく航空機を管制しています。

逆に空域の外に出ていく航空機に対しては

ディパーチャー・コントロールが対応していますよ。

さて、記載されている周波数をよく見ると

2つありますね。

書き出してみると

120.55(151°-329°)と

125.4(330°-150°)です。

これは、どういう意味かというと

サンタ・バーバラ空港から見て

方位(151°-329°)の方向から飛来する場合は、

120.55 MHz でコンタクトし、

方位(330°-150°)の方向からの飛来であれば、

125.4 MHz でコンタクトしなさいということなんですね。

文字では、分かり難いと思いますので

図で表すと下のようになります。

これで頭の中はスッキリしましたね。

次にサンタ・バーバラ空港のタワーの

オペレーションについて見てみましょう。

タワーの周波数は、119.7 MHz とありますね。

その隣に(1400-0700Z) となっていますが、

前述と同じようにタワーの運営時間も

24時間ではありませんということですね。

先程のクラスC が機能している時間帯と同じですので、

ローカルタイムでは、

午前6時から午後11時の間でタワーは

運営されているということです。

では、タワーが閉鎖された時間に

サンタ・バーバラ空港に着陸を試みる場合は

どんな手順が必要なのでしょうか?

これは、典型的な手段が取られるのですが、

タワーの周波数 119.7 MHz を

CTAF (Common Traffic Advisory Frequency) として

使うのです。

CTAF も以前登場していますが、

覚えていますか?

これもおさらいしておきましょうね。

CTAF (Common Traffic Advisory Frequency) は

管制塔のない空港や管制塔の運営時間外に

パイロット間で使用する周波数です。

ノン・タワー空港やクローズド・タワー空港では

各パイロットが安全確認や滑走路の使用を決めます。

そのような空港でも複数の航空機が使っていたり

周辺を飛行している場合があります。

そのために他機に自分の位置や意向を

伝える必要があるので、

各空港で指定された周波数を

使うことになっているのです。

もう一度、Chart Supplement を見てみましょう。

COMMUNICATIONS:CTAF 119.7

と明記されていますね。

タワーの周波数をそのまま

CTAF として使用しますということなんですね。

<まとめ>

向かっている空港がどんな空域に

属しているかによって

受けられるサービスも変わってきます。

それらについて詳しい情報がまとめられているのが

Chart Supplement ということですね。

クラスC では、レーダーサービスを受けられる

◎着陸の順序づけをされる

◎衝突回避のためにトラフィック・アドバイザリーを受けられる

◎必要におうじて安全警報が伝えられる

アプローチ・コントロール又はディパーチャー・コントロールの

周波数は複数設定されている場合がある

◎進入してくる方向によって周波数が使い分けされているところもある

タワーの運営時間外は CTAF を使用する

では、今回の練習問題にトライしてみましょう!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

Q1  :  (Refer to figure)

When approaching Lincoln Municipal from the west at noon for the purpose of landing, initial communications should be with

A  :  Lincoln Approach Control on 124.0 MHz.

B  :  Minneapolis Center on 128.75 MHz.

C  :  Lincoln Tower on 118.5 MHz.

Refer to figure

:図を参照してくだい

When approaching Lincoln Municipal

:接近しているとき リンカーン市営空港

from the west at noon for the purpose of landing,

:西から 正午 着陸の目的で

initial communications should be with

:最初のコミュニケーションは ~とされるべき

Lincoln Approach Control on 124.0 MHz

:リンカーン・アプローチ・コントロール 124.0 MHz

Minneapolis Center on 128.75 MHz

:ミネアポリス・センター 128.75 MHz

Lincoln Tower on 118.5 MHz

:リンカーン・タワー 118.5 MHz

自力で答えを導き出してから

音声を聞いてください。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

Q2  :  (Refer to figure)

Which type radar service is provided to VFR aircraft at Lincoln Municipal ?

A  :  Sequencing to the primary Class C airport and standard separation.

B  :  Sequencing to the primary Class C airport and conflict resolution so that radar targets do not touch, or 1,000 feet vertical separation.

C  :  Sequencing to the primary Class C airport, traffic advisories, conflict resolution, and safety alerts.

Refer to figure

:図を参照してくだい

Which type radar service is provided

:どのタイプのレーダーサービス 供給される

to VFR aircraft at Lincoln Municipal ?

:VFR機に対して リンカーン市営空港において

Sequencing to the primary Class C airport

:順序づけ クラスC主要空港への

and standard separation

:且つ 標準的な 他機との分離

and conflict resolution

:それと 衝突回避する

so that radar targets do not touch, or 1,000 feet vertical separation

:レーダー対象機が接触しないため また 垂直距離1,000フィート間隔をあけるため

traffic advisories

:飛行交通情報

safety alerts

:安全警報

自力で答えを導き出してから

音声を聞いてください。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

Q3  :  (Refer to figure)

What is the recommended communications procedure for landing at Lincoln Municipal during the hours when the tower is not in operation ?

A  :  Monitor aircraft traffic and announce your position and intentions when instructed by approach control.

B  :  Contact UNICOM on 122.95 MHz for traffic advisories.

C  :  Monitor ATIS for airport conditions, then announce your position on 122.95 MHz.

Refer to figure

:図を参照してくだい 

What is the recommended communications procedure

:何ですか? 推奨されるコミュニケーション手順

for landing at Lincoln Municipal

:リンカーン市営空港に着陸のため

during the hours

:その時間の間

when the tower is not in operation ?

:タワーが運営されていない

Monitor airport traffic 

:傍受する 空港交通

and announce your position and intentions

:且つ 知らせる あなたの位置と意向

when instructed by approach control

:指示されたとき アプローチ・コントロールに

Contact UNICOM on 122.95 MHz for traffic advisories

:交信する ユニコム 122.95メガヘルツで 飛行交通情報のため

Monitor ATIS for airport conditions

:傍受する ATIS 空港のコンディションを得るため

then announce your position on 122.95 MHz

:それから 知らせる あなたの位置 122.95メガヘルツで

自力で答えを導き出してから

音声を聞いてください。

はい。どうでしたか?

今回のような問題は Chart Supplement に

記載されている情報を読み取れるかという点が

問われるわけですね。

すこしずつ慣れていきましょう。

それから、以前に学んだ内容も

複合的に問われますので、(クラスCについてなど)

常に復習するように心がけてくださいね。

このブログの内容が身についてしまえば

筆記テストは、ばっちりなので

頑張っていきましょう!

ということで、今回は以上となります。

今日も最後まで読んでいただいて

ありがとうございます!

ではまた!

 

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメント

  1. takumi より:

    こんにちは。疑問に思った事があります。
    前のセクションでClassC内の第二空港から離陸する時は地上で主要空港のアプローチコントロールにコンタクトが必要。とのことでしたが、空域から離れる場合はディパーチャーコントロールにコンタクトをとるのではないのでしょうか。

    それと、一番最初にコンタクトをとるのがアプローチコントロールですが、
    タワーとは具体的にどのような時にコンタクトをとるのでしょうか。

    • 須永 学 須永 学 より:

      takumi様
      いつもありがとうございます。

      ClassC内の第二空港からの出発に関しての件、
      第二空港がノンタワーの場合は、おっしゃるように出発ですので、
      コンタクト先は、おおむねディパーチャーコントロールになると思います。
      前回の私の回答では、アプローチにコンタクトと述べました。
      これは、アプローチコントロールとディパーチャーコントロールの
      周波数が同じ場合があるので私の主観で、そのような表現となってしまいました。
      前回の回答は訂正しておきました。
      混乱させてしまい申し訳ありません。

      実際には、飛行計画の段階で事前にコンタクト先が
      アプローチなのか、ディパーチャーなのか、
      あるいはセンターなのかを確認することが必要です。
      もちろんChart Supplementで調べることもできますが、
      一番手っ取り早いのが主要空港に電話してしまうのが確実です。

      もしも、第二空港がタワー空港であるならば、
      タワーの指示に従って飛行をしてください。

      さて、タワーとは具体的にどのような時にコンタクトをとるのでしょうか?
      とのことですが、
      出発の場合、グランドコントロールがある空港では、
      タキシングはグランドコントロールの指示に従って行われるわけですね。
      滑走路の近くまで誘導されたらグランドコントロールから
      ”コンタクト タワー 123.0”のように指示が出てから
      タワーと交信が始まります。

      グランドコントロールがない空港では、
      タキシングもタワーの指示の下で行われます。

      逆に到着の場合、
      ClassC内の空港へ着陸する際は、まずアプローチコントロールにコンタクトし
      その指示に従って飛行した後、アプローチコントロールから
      ”コンタクト タワー 122.5”のように指示されたら
      スイッチしてタワーとの交信がスタートです。

      ClassDの空港への着陸では、
      チャート図上に示されたClassDの範囲を示すブルーの
      ダッシュラインの内側に入る前にタワーとコンタクトしていなければなりません。

      まだ腑に落ちない点がありましたら
      お気軽にご質問ください。

  2. takumi より:

    お答え頂きありがとうございます。理解できました。
    タキシングの時はグランドコントロールにコンタクトするとのことですが、
    グランドコントロールの有無はChart Supplement のどこを確認すればよいでしょうか。

    • 須永 学 須永 学 より:

      理解して頂き安心しました。

      さて、グランドコントロールの有無についてですが、
      Chart Supplement の COMMUNICATIONS のグループで確認できます。
      サンプル画像を添付しておきますね。

      ㉗→で示されているところが、COMMUNICATIONS のグループです。
      色々な周波数が記載されているのが分かると思いますが
      TOWER の次にある GND CON 121.7 が見えますか?
      この GND CON が、グランドコントロールのことです。
      サンプルとしての周波数が、121.7 ということですね。

    • 須永 学 須永 学 より:

      2枚目の画像です。

  3. takumi より:

    ありがとうございました。
    いつも大変勉強になってます。また何かあったら質問させていただきます。