[Weather : 気象]
パイロット免許への水先案内人
須永です!
前回は、
Weather Advisories (気象注意報) について
お話しさせていただきました。
注意報は一つだけではなく
それぞれの注意報によって
対象となる航空機や
気象条件の内容が異なります。
それらについて
きちっと整理して
覚えていただけましたか?
今回は、
Wind Shear and Mountain Waves (ウインドシアと山岳波)
についてお話したいと思います。
さて、ウインドシアって覚えてますか?
そうです。
風向・風速が突然変わってしまうヤツですね。
これは低空のみだけで
発生するものではありませんよ。
どんな高度でも
どんな方向にも変化する可能性があります。
この場合の方向とは、
単なる水平方向だけではなく
普通に縦方向の変化も含んでいるのです。
WIND SHEAR CAN OCCUR
At any altitude
In all directions
WIND SHEAR CAN OCCUR
:ウインドシア 起こり得る
At any altitude
:どんな高度でも
In all directions
:全ての方向で
では、どんな場所で
危険なウインドシアは起こりやすいのでしょうか?
それは、以下の通りです。
・低空での温度の逆転層
(Low level temperature inversion)
・前線付近
(Frontal zones)
・晴天乱気流
(Clear air turbulence)
これらの場所全てに
非常に危険なウインドシアが潜んでいます。
高度に関係なく晴天中に発生する
全ての乱気流を
晴天乱気流 Clear Air Turbulence (CAT)と
いうのですが、
通常は高高度の雲のないところに
発生する乱気流を指しています。
雲や地形との関係で生まれる乱気流は
予測が可能ですが、
晴天乱気流は全く予期できませんので
とても危険ということです。
また、忘れていけないのは
雷雨の近くにも
危険なウインドシアは存在すると
肝に銘じていてくださいね。
次に、山岳地帯をフライト中
山頂を覆うようにレンズ型の雲が
居座っているのが見えたなら
これも危険な気象条件があることを
知らせてくれているんです。
レンズまたは、アーモンド型の雲が
山頂に留まっているとき
そこには山岳波は発生していることを
示しています。
山岳波とは、
層状に安定している大気中において
風が山に衝突するときに
大気が強制的に上昇させられることで
発生する重力波です。
まあ、簡単にいうと風の波ですね。
この山岳波によって
レンズ型などの雲が発生している場合は
そこを流れている風は
風速40ノット以上と予測されます。
雲自体は、その場に留まっているので
あたかも風など無いのではと
思われがちですが、
猛烈に強い風が吹いているということですよ。
STANDING LENTICULAR CLOUD
Stationary, almond or lens-shaped cloud that indicates the crest of a standing wave
Winds of 40 knots or more
STANDING LENTICULAR CLOUD
:動かない レンズ型雲
Stationary, almond or lens-shaped cloud
:動かない アーモンドまたは レンズ型雲
that indicates the crest of a standing wave
:それは示す 頂点 定常波の
Winds of 40 knots or more
:風 40ノット以上の
※定常波:波形が進行せずその場に止まって振動しているように見える波動のこと
ところで、
山岳波が発生するのは
大気が安定しているからです。
安定しているので
山の風下側では風の流れは下降します。
風上側で強制的に上昇させられ
風下側で下降する波動が
次々に連鎖することで
山岳波が生まれるということです。
もし、大気が不安定ならば
風上側で上昇した空気は上昇をし続けて
積乱雲や雷雨を作り出すことになることは
既にご存じの通りです。
安定した空気の中での
この山岳波が乱気流やウインドシアを
生んでいるということなんですね。
くり返しになりますが、
大気が安定していて
風速は40ノット以上の条件です。
MOUNTAIN WAVE TURBULENCE
Wind of 40 knots or more
Air is stable
MOUNTAIN WAVE TURBULENCE
:山岳波乱気流
Wind of 40 knots or more
:風 40ノット以上
Air is stable
:大気 安定
ちなみに山岳波の頂点にはレンズ型の雲
一番低い部分にはロール雲またはローター雲が
発生することがあります。
<まとめ>
Wind Shear and Mountain Waves (ウインドシアと山岳波)
ウインドシア(Wind Shear)
◎いかなる高度・いかなる方向で発生する
発生しやすい場所
◎低空での温度の逆転層 (Low level temperature inversion)
◎前線付近 (Frontal zones)
◎晴天乱気流 (Clear air turbulence)
◎雷雨の近く
山岳波(Mountain Waves)
◎サイン:動かない山頂のレンズ型雲
◎原因:安定した大気・風速40ノット以上
◎状態:乱気流・ウインドシア
では、練習問題にトライしてみましょう!
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Q1 : Where does wind shear occur?
A : Only at higher altitudes.
B : Only at lower altitudes.
C : At all altitudes, in all directions.
Where does wind shear occur?
:どこで ウインドシア 起こるか?
Only at higher altitudes.
:高高度だけ
Only at lower altitudes.
:低高度だけ
At all altitudes, in all directions.
:全ての高度で、全ての方向において
・
・
・
自力で回答してから音声を聞いてください。
・・・・・・・・・・・・・・・
Q2 : When may hazardous wind shear be expected?
A : When stable air crosses a mountain barrier where it tends to flow in layers forming lenticular clouds.
B : In areas of low level temperature inversion, frontal zones, and clear air turbulence.
C : Following frontal passage when stratocumulus clouds form indicating mechanical mixing.
When may hazardous wind shear be expected?
:いつ 危険なウインドシア 予想されるか?
When stable air crosses a mountain barrier
:安定した空気 横切るとき 遮る山岳を
where it tends to flow in layers forming lenticular clouds.
:そこでは傾向がある 流れる 層状に形成するレンズ型雲
In areas of low level temperature inversion, frontal zones, and clear air turbulence.
:地域 低空での温度逆転、前線付近、そして晴天乱気流
Following frontal passage when stratocumulus clouds form indicating mechanical mixing.
:前線の通過で 積層雲 機械的に混ぜられたとき
・
・
・
自力で回答してから音声を聞いてください。
・・・・・・・・・・・・・・・
Q3 : Crests standing mountain waves may be marked by stationary, lens shaped clouds known as
A : mammatocumulus clouds.
B : standing lenticular clouds.
C : roll clouds.
Crests standing mountain waves may be marked
:山岳波の頂点は印づけられる
by stationary, lens shaped clouds known as
:動かない、レンズの形の雲によって ~として知られている
mammatocumulus clouds.
:乳房雲
standing lenticular clouds.
:止まった レンズ状の雲
roll clouds.
:ロール雲
・
・
・
自力で回答してから音声を聞いてください。
はい。どうでしたか?
強烈な風の波である山岳波の中には
突入したくはないですよね?
山の上にレンズ型雲を発見した場合は
十分な距離を保つようにして
近づかないことが大切です。
40knots は、時速約74km です。
それくらい又はそれ以上の強い風が
波を打っているのですから
いかに危険かということですよ。
安全第一でいきましょうね。
ということで、今回は以上となります。
今日も最後まで読んでいただいて
ありがとうございます!
ではまた!
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