[Weight & Balance : 重量と重心位置]
パイロット免許への水先案内人
須永です!
前回は、
Moment と CG の計算
についてお話させていただきました。
公式を使った計算ではなく
専用のグラフから数値を割り出す方法を
覚えていただけましたか?
今回は、
Balancing the Load (負荷のバランス)
についてお話させていただきます。
Weight and Balance Table (ウエイト&バランス表)
ウェイト&バランスに関する別の
例題について考えてみましょう。
今回は
前部座席に2名 (411ポンド)、
後部座席に1名 (100ポンド) 搭乗して
メインタンクに44ガロンの
燃料を搭載するいるという
条件が与えられています。
ITEM WT
FRONT SEAT 411 lbs.
REAR SEAT 100 lbs.
MAIN FUEL = 44 GAL
この飛行機の
バランスは取れているのか?
いないのか?を
問われた場合、
ざっくりと重心位置は前にあると
予想できますね。
前部座席には2名で411ポンド、
後部座席は1名で100ポンドということと
荷物なしの条件ということですからね。
さあ、
これを確かめるために
また新しい表
Useful load weights and moments
の登場ですよ。
各アイテムの位置 (Arm) ごとに
重量とモーメントを一覧にしたものです。
どんな構成になっているのか
見てみましょう。
搭乗者に関しては
前部座席と後部座席の
2つに分かれています。
この一覧の
前部座席の Arm は 85、
後部座席の Arm は 121で、
それぞれの重量と
モーメント (今回は100で割った値) が
まとめられています。
さて、
筆記テストでは
一覧と全く同じ値について
出題されると思いますか?
はい。ありませんね。
今までの表を使う計算練習では、
記載されている2つの値の
間の数値を求める形式が
多かったですよね。
それぞれの Arm は
明記されているんですから、
重量さえ分かれば計算で
モーメントは求められますね。
Weight × Arm = Moment
次に下に下がって
仕様可能な燃料の Arm は
75 ですね。
1ガロン/6ポンドの割合は
知っていますので
必要ないと思うますが、
ガロンを換算した重量と
その重量に対するモーメントの
一覧になっています。
その下は補助タンクに関する一覧です。
Armは 94ですね。
オイルに関しても
記載されていますね。
下の★のところに
オイルは自重に含まれるとあります。
ということは、
オイルについては
自重に含めて考慮されていますので、
私たちは改めてオイルの計算を
する必要はありません。
注意してくださいね。
この飛行機の
自重は 2,015ポンドで
モーメント (100で割った値) は
1,554です。
続けますよ。
荷物室または
5番目の座席の Arm は 140です。
それぞれの重量に対する
モーメント (100で割った値) の
一覧が記載されています。
この表の構成が分かったところで
例によって条件をまとめてみましょう。
この飛行機の自重は 2,015で
モーメント (100で割った値) は
1,554です。
前部座席は、411ポンドで
Arm は 85ですから
411 × 85 = 34,900
このモーメントを100で割った値は
349です。
後部座席は、100ポンドで
Arm は、121なので
100 × 121 = 12,100
このモーメントを100で割った値は
121です。
荷物は有りませんでしたね。
それから
メインタンクに燃料が
44ガロンですから、重量は
44 × 6 = 264ポンド
アームは 75ですから
264 × 75 = 19,800 になり
このモーメントを100で割った値は
198です。
補助タンクには燃料を補給していません。
ということで、
総重量は 2,790で
トータルモーメントは、
2,222になりました。
ここまで割り出したところで
もう一つの表
Moment limits vs weight (continued)
を使いますよ。
トータルモーメント 2,222が
総重量 2,790ポンドに対して
有効かどうかを確認します。
重量の 2,790の箇所を見てください。
総重量 2,790ポンドでは、
モーメント 2,243から
2,374の間に収まらないと
ダメだということです。
当然、2,222では NG ですね。
重心が前過ぎて
許容範囲の内側にない
ということです。
重心が前過ぎるということは
後方にもう少し重量をかける
必要があるということです。
そこで先程まとめた条件を見ると
荷物室が空でしたね。
ここに 100ポンドの物を
載せることにしましょう。
これによって
総重量は 2,890になり
トータルモーメントは、
2,362となりました。
では、
このバランスが有効かどうか
チェックしてみましょう。
総重量 2,890の箇所を見ると
モーメントの範囲は
2,354 ~ 2,452 の間ということです。
2,362 は間に収まっていますね。
以上のことから
今回の重心位置が前過ぎるケースでは、
荷物室に 100ポンドのものを
搭載することで対処できる
というというものでしたね。
問題の考え方と表の使い方が
分かったところで
早速、練習問題に挑戦しちゃいましょう。
練習問題にトライしてみよう!
Q : (Refer to figures) Which action can adjust the airplane’s weight to maximum gross weight and the CG within limits for takeoff?
Front seat occupants 425 lb
Rear seat occupants 300 lb
Fuel, main tanks 44 gal
A : Drain 12 gallons of fuel.
B : Drain 9 gallons of fuel.
C : Transfer 12 gallons of fuel from the main tanks to the auxiliary tanks.
(Refer to figures)
:図を参照してください
Which action can adjust the airplane’s weight to maximum gross weight and the CG within limits for takeoff?
:どのアクションができますか 最大離陸重量にすること 重心位置を制限内のまま
Front seat occupants 425 lb
:全部座席 425ポンド
Rear seat occupants 300 lb
:後部座席 300ポンド
Fuel, main tanks 44 gal
:燃料、メインタンク 44ガロン
Drain 12 gallons of fuel.
:排出する 12ガロンの燃料
Drain 9 gallons of fuel.
:排出する 9ガロンの燃料
Transfer 12 gallons of fuel from the main tanks to the auxiliary tanks.
:移す 12ガロンの燃料 メインタンクから補助タンクへ
・
・
・
参照図を使っての解答・解説を
「あとがき」の次に記載してあります。
自力で回答してから確認してください。
あとがき
はい。どうでしたか?
Useful load weights and moments
と
Moment limits vs weight (continued)
というが新しい表がまた登場しましたね。
しかし、
とてもシンプルで活用方法も簡単でしたね。
さて、
次回でウエイト&バランスの
カテゴリーは終了となります。
つまり、
プライベートパイロットの
筆記テストに関する一通りの内容は
網羅することになります。
最後まで頑張りましょう。
ということで今回は以上となります。
今日も最後まで読んでいただきまして
ありがとうございます!
ではまた!
問題の解答・解説
この問題は、
「図を参照して、
CG (重心) を制限内に収めたまま
最大離陸重量にするためには
どんなアクションができるのか?
条件は下記の通り
Front seat occupants 425 lb
Rear seat occupants 300 lb
Fuel, main tanks 44 gal」
という問題ですね。
まずは、重量だけについて
考えてみましょう。
Useful load weights and moments 表から
Empty weight は、2,015であることと
Moment limits vs weight (continued) 表から
最大許容重量は、2,950であることが
分かります。
それからメインタンクの
燃料44ガロンの重量は
1ガロン・6ポンドから
44 × 6 = 264
264ポンドとなりますね。
ITEM WT
Empty WT 2,015
Front seat 425
Rear seat 300
Main fuel 264
Total 3,004
現状では、既に
最大許容重量の 2,950を
オーバーしていますね。
3,004 - 2,950 = 54
このオーバーしている
54ポンド分の燃料を
メインタンクから補助タンクに
移したところで総重量は
変わりませんから
抜くことにしましょう。
ガロンに換算するには
1ガロン・6ポンドですから
54 ÷ 6 = 9
9ガロンの燃料を抜けば
重量的には許容範囲になりますね。
現状の
44ガロンから 9ガロンを引いて
35ガロン (×6 = 210ポンド) に
するという条件が揃ったところで
一覧にまとめてみましょう。
割り出された
トータルモーメント 2,436が
許容範囲内に収まっているかを
確認してみましょう。
2,950ポンドに対する
モーメントの許容範囲は
2,422~2,499ですね。
ということは、2,436は
制限内に収まっている
ということです。
燃料を9ガロン抜くことで
CG の制限内に留まりながら
最大離陸重量に調整することが
出来るということですね。
問題の選択肢は
A : Drain 12 gallons of fuel.
B : Drain 9 gallons of fuel.
C : Transfer 12 gallons of fuel from the main tanks to the auxiliary tanks.
ですから、
正解は、
B : Drain 9 gallons of fuel. です。
お疲れさまでした。
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