重量オーバー時の対処法

Weight & Balance

[Weight & Balance : 重量と重心位置]

 

パイロット免許への水先案内人

須永です!

 

 

前回は、

Weight & Balance の公式

についてお話させていただきました。

 

複雑な問題は

Item   Weight × Arm = Moment

この形の一覧を書き出して

不明な部分を割り出していく

という手順が有効であることを

覚えていただけましたか?

 

今回は

重量オーバー時の対処法

についてお話させていただきます。

 

重量オーバーに気づいたら

あなたはフライトに向けて

飛行計画を立て

ウエイト&バランスの計算も

手馴れたもので

あっという間に終了しました。

 

そこで、

110 lbs. over maximum certificated gross weight

であることが判明しました。

 

認可された最大離陸重量

Maximum certificated gross weight

(認可された最大離陸重量)

110ポンドオーバーしていました。

 

Maximum certificated gross weight とは、

認可された最大離陸重量のことで

航空機の耐空証明を条件とする

最大離陸重量を意味しています。

 

ですから、

このままでは離陸できません。

 

どうしますか?

後部座席の誰かに

搭乗を断念してもらいますか?

荷物を減らしますか?

 

そんな時一番シンプルな方法として

排水口から燃料を抜くということです。

 

そこで、

パイロットであれば

知っていて当然なことですが、

燃料の重さが重要となります。

 

FUEL WEIGHS 6 lbs. per gallon

 

FUEL WEIGHS 6 lbs. per gallon

:燃料は1ガロンにつき6ポンドの重さがある

 

燃料の重さは1ガロン、6ポンドなんですね。

 

ということで、

オーバーしている110ポンド分を

6ポンドで割ってあげれば

抜くべき必要な量が割り出せますよね。

 

計算すると

18.333…ですから 18.4にしますよ。

 

110 lbs.  ÷  6 lbs.  /  gal.  =  18.4 gal.

 

18.4ガロン、これが筆記テスト用の答えです。

 

実際このような状況に遭遇した場合は

18.4ガロンより多目に抜くことをお勧めします。

 

認定されているからといっても、

最大離陸重量で離陸を試みることは

危険を伴ないます。

 

もしも、

急に密度高度が高くなってしまったとしたら

安全に離陸できないかも知れませんからね。

 

ただし、

減らした分の飛行時間も距離も

短くなるということは忘れないでくださいね。

 

さて、

ウエイト&バランスを考える上で

今登場した最大離陸重量というのは

欠くことの出来ない重量ですが、

他にも覚えておくべき重量があります。

 

自重

プライベートパイロットの筆記で

頻出するのは

Empty Weight (自重) です。

 

Empty Weight (自重) とは

機体構造、エンジン、固定装備、

内部装備の重量の合計の重さのことです。

 

よく問われるのは

以下のものは

自重に含まれるのか?

含まれないのか?

というものです。

 

INCLUDED EMPTY WEIGHT

unusable fuel

undrainable oil

installation of new equipment

 

INCLUDED EMPTY WEIGHT

:自重に含まれる

unusable fuel

:使用不可能な燃料

undrainable oil

:排除不可能なオイル

installation of new equipment

:新しい機器の設置

 

unusable fuel とは

燃料タンクにある燃料を全て使うことは出来ません。

これは意図的な構造になっているからです。

エンジンへの供給ラインは、

タンクの一番底にはありません。

なぜかというと

水や不純物が混入した場合

タンクの底に溜まるようにして

エンジンには送り込まないように

するためなんです。

このように

燃焼に使われない燃料は

自重に含まれるのです。

 

undrainable oil

通常の排除作業では完全に全てを

抜き取ることは出来ませんので

潤滑ライン内に残ったオイルの重量は

機体の自重に含まれるのです。

 

installation of new equipment

GPS などの新しい機器を

オプションで装備した場合は

フライトごとの取り付け取り外しを

することはありませんので

これらも自重に含まれます。

 

まとめ

重量オーバー時の対処法

認可された最大離陸重量

◎オーバーした分の燃料を抜く

◎1ガロン・6ポンドで計算

 

Empty Weight に含むもの

◎使用不可能な燃料

◎排除不可能なオイル

◎オプションで取り付けた機器

 

練習問題にトライしてみよう!

Q1  :  Which items are included in the empty weight of an aircraft?

 

A  :  Unusable fuel and undrainable oil.

B  :  Only the airframe, powerplant, and optional equipment.

C  :  Full fuel tanks and engine oil to capacity.

 

 

Which items are included in the empty weight of an aircraft?

:どの項目が含まれますか 自重に 航空機の

Unusable fuel and undrainable oil.

:使用不可能な燃料と排除不可能なオイル

Only the airframe, powerplant, and optional equipment.

:機体、エンジン、オプション装置のみ

Full fuel tanks and engine oil to capacity.

:容量いっぱいの燃料とオイル

自力で回答してから音声を聞いてください。

 

・・・・・・・・・・・・・・・

Q2  :  If aircraft is loaded 90 pounds over a maximum certificated gross weight and fuel (gasoline) is drained to bring the aircraft weight within limits, how much fuel should be drained?

 

A  :  10 gallons.

B  :  12 gallons.

C  :  15 gallons.

 

 

If aircraft is loaded 90 pounds over a maximum certificated gross weight and

:もし航空機に積載されて 90ポンド超過した 認定された最大離陸重量よりも

fuel (gasoline) is drained to bring the aircraft weight within limits,

:燃料(ガソリン)を抜くことで 航空機の重量の制限内に収まるとしたら

how much fuel should be drained?

:どれくらいの燃料を排出すべきか

10 gallons.

:10ガロン

12 gallons.

:12ガロン

15 gallons.

:15ガロン

自力で回答してから音声を聞いてください。

 

あとがき

はい。どうでしたか?

 

重量オーバー時の対処法として

燃料を減らすことが

一番手っ取り早いということと

その際に必要となる燃料の重さを

ちゃんと知っているかどうかを

問われる問題でした。

 

典型的な出題例ですので

しっかりと押さえておきましょう。

 

ということで、今回は以上となります。

今日も最後まで読んでいただきまして

ありがとうございます!

ではまた!

 

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