[Aircraft Performance : 航空機の性能]
パイロット免許への水先案内人
須永です!
前回は、
Crosswind Component Chart (横風成分図表)
についてお話させていただきました。
航空機は風に向かって
離着陸することが理想ですが、
自然現象が相手のため
そういうわけにもいきません。
滑走路上では、
多かれ少なかれ横風成分を
受けながらの運航となります。
ただし、
航空機ごとに横風の制限値が
設けられています。
この範囲内での運用が
安全運航には欠かせないということと、
Crosswind Component Chart の
使い方を覚えていただけましたか?
今回は、
Crosswind Component Chart ②
として練習の続きをしたいと思います。
適切な滑走路
Crosswind Component Chart に関する
筆記テストに出題されるであろう
別の例題を一緒に解いてみましょう。
今回は、
複数の滑走路を持つ空港において
風の条件をもとに
どの滑走路に着陸するのが
一番適切なのか?
というケースです。
与えられている条件は
Wind from south
20 kts.
Available runway
10,14,or 24
Maximum crosswind component
13 kts.
南 (180°) から 20ノットの風
利用可能な滑走路は、10, 14,or 24
最大横風制限は、13ノット
これらの条件で、
着陸に適正な滑走路はどれでしょう?
ということですね。
滑走路10を選ぶとすると
風は 180°からということは
分かっているので、
進行方向に対する角度の差は
80°になってしまいます。
ほとんど真横からの風ということで、
まあ普通に考えたら
この滑走路は選びませんね。
では、滑走路24を使用する場合、
進行方向は 240°に対して
風は 180°から受けますので、
角度は 60°の差になります。
次に滑走路14だと
進行方向140°に対して
風は180°ですから
その差は40°です。
3本の滑走路の中では
滑走路14が、
一番横風成分が小さくなるので
この滑走路14が適切といえますね。
Chart で確かめてみましょう。
角度差 40°のラインと
強さ 20ノットのラインの交点から
真下に下りた目盛りが、
横風成分となります。
はい。13ノットです。
問題文の中にある条件、
Maximum crosswind component
13 kts.
と一致しましたね。
ギリギリ収まったということです。
他の角度差 (80°と60°)で
強さ20ノットの風ですと
いずれも横風制限値 13ノットを
オーバーしてしまいます。
ということで、この例題の答えは
滑走路14が適切となります。
では、
この問題のパターンが見えたところで
練習問題に挑戦してみましょう。
練習問題にトライしてみよう!
Q : (Refer to figure) With a reported wind of north at 20 knots, which runway (6,29,or 32) is acceptable for use for an airplane with a 13-knot maximum crosswind component?
A : Runway 6.
B : Runway 29.
C : Runway 32.
(Refer to figure)
:図を参照してください
With a reported wind of north at 20 knots,
:北の風20ノットが報告されています
which runway (6,29,or 32) is acceptable
:どの滑走路 (6,29,or 32)が許容されますか
for use for an airplane with a 13-knot maximum crosswind component?
:飛行機を使用するには 最大横風制限13ノットの
Runway 6.
:滑走路6
Runway 29.
:滑走路29
Runway 32.
:滑走路32
・
・
・
参照図を使っての解答・解説を
「あとがき」の次に記載してあります。
自力で回答してから確認してください。
あとがき
はい。どうでしたか?
ほぼ前回の続きでしたから
特に問題はありませんでしたよね。
今回をもって
Aircraft performance (航空機の性能) の
カテゴリーは終了となります。
いよいよ残すのは
Weight & Balance (ウエイト&バランス)
のみとなりました。
このカテゴリーは全6話を予定しています。
さあ、ラストスパートです!
最後まで頑張っていきましょう!
ということで、今回は以上となります。
今日も最後まで読んでいただきまして
ありがとうございます!
ではまた!
問題の解答・解説
この問題は、
「滑走路6,29,32を持つ空港で
北の風20ノットと報告されている場合、
横風制限が13ノットの飛行機を使用するには
どの滑走路が許容範囲で収まるのか?」
ということですね。
北の風ということは、
360°からですね。
この360°とそれぞれの滑走路との
角度差を考えてみましょう。
・対滑走路6
360° (000°) と 060° なので
角度差は 60°です。
・対滑走路29
360° と 290° なので
角度差は 70°です。
・対滑走路32
360° と 320° なので
角度差は 40°です。
3つの中で一番角度差の小さい
滑走路32に当たりをつけて
Chart で確認してみよう!
40°のラインと
風の強さ20ノットの交点から
真下に下りて横風成分の目盛りを読むと
13ノットで、
制限ギリギリということです。
他の 60°と 70°のケースも
確認してみましょう。
いずれも制限の 13ノットを
越えてしまっています。
これらの滑走路は使用できません。
ということで、
滑走路32だけが許容範囲に
収まっていることになります。
選択肢は
A : Runway 6.
B : Runway 29.
C : Runway 32.
ですから、
正解は、
C : Runway 32. です。
お疲れさまでした。
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