FSS (Flight Service Station) の役割とは?

[Aviation Communications : 航空コミュニケーション]

パイロット免許への水先案内人

須永です!

前回は、

ATIS について

お話させていただきました。

空港周辺の気象状態や

その他、離着陸に必要な情報を

録音した音声を繰り返して

放送しているサービスのことでしたね。

さて、今回は無線機による

コミュニケーションの手順の概要の

お話となります。

フライトをする上で

パイロットは、タワー、アプローチ、センターなどの

管制官と交信しています。

交信をスタートさせるには

まず、話したい相手に

呼びかけます。

「○○タワー、」

すると、○○タワーは

呼びかけられた相手の

内容を聞き始めるという感じです。

管制官とのやり取りというのは

簡単に言ってしまうと

安全の飛行を確立するための

交通誘導が主な目的です。

実際には交通管制だけあれば

いいのか?というと

そうではないんですね。

例えば、

飛行計画を立てる上で

ウエザーブリーフィングをやったり、

その飛行計画を受理したり、

到着予定時刻を過ぎても

飛行計画完了の連絡がない場合、

その機体の捜索と救助が開始されたりと

フライトに関する

様々なサービスを提供している施設が

あるのです。

その施設を

FSS(Flight Service Station) といいます。

FSS

Pilot weather briefings

Filing flight plans

Initiate search and rescue

FSS

:Flight Service Station

Pilot weather briefings

:パイロット ウエザーブリーフィング

Filing flight plans

:申請 飛行計画

Initiate search and rescue

:発動する 捜索と救助

1970年代初め、全米に約400あった施設は

技術の進歩と統合によって

FSS の施設は減少していきました。

2005年、残り58か所の FSS は

わずか6つの施設に統合されました。

かつては、各空港に施設が

設置されていたなごりが

Station という名前からも

想像できると思います。

ただし、まだアラスカ州だけは

空港に FSS が設置されてる

環境が残っているようです。

ノンタワー空港や

運営時間外のタワー空港で

FSS はエアポート・アドバイザリー・サービスを

提供しています。

その内容は、

ローカル・ウエザーの情報であったり、

トラフィック情報(離陸、着陸)などです。

空港周辺は

エアポート・アドバイザリー・エリアと

呼ばれています。

空港周辺だけでなく

全米をカバーしていますので、

飛行中もコンタクトを取れば

有益な情報を提供してくれるんですね。

FLIGHT  SERVICE  INFORMATION

Update weather

TFRs

Status of special use airspace or MTRs

FLIGHT  SERVICE  INFORMATION

:フライト・サービス・インフォメーション

Update weather

:最新版 気象情報

TFRs (Temporary Flight Restrictions)

:一時的な飛行規制

Status of special use airspace or MTRs

:状況 特別空域又はミリタリー・トレーニング・ルート

上記のような情報を得たいときは

そのエリア管轄の FSS にコンタクトすれば

いいのです。

例として

下のChart(航空図)を見てください。

PEACH SPRINGS VOR の情報ボックスの

下に PRESCOTT とあるのが見えますか?

この PRESCOTT がこのエリアを管轄している

FSS なんです。

ボックスの上にある数字が

コンタクト用の周波数なんです。

このエリアで FSS と連絡を取るには

無線機の周波数を 122.25 MHz にセットして

「PRESCOTT Radio !」と呼びかけてください。

飛行中に FSS と交信する際は

タワーでも、アプローチでも、センターでもなく

「Radio」をつけてくださいね。

FSS=Radio です!

さて、冒頭にも書きましたが

無線機による交信において

最初にすべきことは

話したい相手に

「呼びかける」ということでしたね。

「Chandler Tower !」

「Phoenix Approach !」

「Prescott Radio ! 」

というようにです。

しかし、これだけでは

相手はどこの誰から呼びかけられたのか

分かりません。

なので、呼びかけの後に

必要になるのは、

あなたの機体の登録記号です。

下の図を見てください。

機体の横に

N9823X とありますね。

これが登録記号です。

N は、アメリカの国籍記号です。

以下の 9823X が登録記号になりますよ。

交信の際、

N(November) は言う必要はありません。

全部の機体に付いていますからね。

それよりも飛行機のタイプを言うことに

なっていますよ。

「セスナ 9823X(X-ray)」

「ムーニー 4036S(Sierra)」

「トマホーク 2351V(Victor)」

こんな感じです。

すると相手は、あなたの機体の

性能を大体把握できるのです。

当然、プロペラ機よりも

ジェット機の方が速度は速いので

管制官にとっては

どんな速度の機体が周辺を飛んでいるのか

というのも分かるので

適切な指示を受けられるのです。

ということで、

機体のタイプと登録記号ですよ!

もし、登録記号が下のようなものだったとしたら

あなたはどう言いますか?

(飛行機のタイプは置いておきましょう)

「N666CB」

666の部分を「トリプル6」と言いたい

かも知れませんが、

一つ一つ発音するのが正しいのです。

「six,six,six,charlie,bravo」ですよ。

無線交信では、アルファベットを

伝えるには

フォネティック・コードが必須ですので

マスターしてくだいね。

それから、管制官から

あなたの現在高度を聞かれた場合、

高度計が指しているのが

「10,500 feet」だったら

何て答えますか?

「Ten thousand, Five hundred feet」

ですか?

英語には日本の「万」という単位がありません。

千の単位を二桁で表しています。

1万=10千 って感じです。

千の単位をやはり一つずつ発音するんです。

聞き間違いを無くすためですね。

「One Zero thousand, Five hundred feet」

が正しいんです。

「4,500 feet」の場合は

普通に

「Four thousand, Five hundred feet」

となります。

<まとめ>

フライト全般の様々な情報提供や

業務を担っている施設を

FSS (Flight Service Station) という

主な提供サービス

◎ウエザーブリーフィング

◎飛行計画の受付

◎捜索と救助

◎最新のウエザーリポート

◎一時的な飛行規制

◎特別空域、ミリタリー・トレーニング・ルート

など状況の情報

飛行中も FSS には

管轄 Radio を経由して連絡を取れる

Chart(航空図)から

管轄 FSS 名と周波数が見つかる

Radio 以外にも

Tower, Approach, Center への

最初のコンタクトは

○○Radio !

○○Tower !

の呼びかけから始まる

次にあなたの機体登録記号を伝える

実際には、時間短縮のため

呼びかけと自機の登録記号の名乗りは同時に行う

「セスナ9823X」の場合は下記の通りです。

「Chandler Tower ! Cessna Niner,eight,two,three,x-ray」

※ アルファベットは、フォネティック・コードを用いますが、

数字の9だけは

聞き間違いを無くす目的で

「ナイン」ではなく「ナイナー」になります。

無線での高度の報告は

千フィートの単位が二桁の場合は

一つずつ発音する

× Ten thousand

○ One Zero thousand

では、練習問題にトライしてみましょう!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

Q  :  The correct method stating

10,500 feet MSL to ATC is

A  :  ”TEN THOUSAND, FIVE HUNDRED FEET.”

B  :  ”TEN POINT FIVE.”

C  :  ”ONE ZERO THOUSAND, FIVE HUNDRED.”

The correct method stating

:正しい言い方

10,500 feet MSL

:10,500 フィート(海抜高度)

to ATC is

:対して 航空管制 は

自力で答えを導き出してから

音声を聞いてください。

はい。どうでしたか?

フォネティック・コード然り

無線での聞き間違いを無くすために

数字も言い方に決まりがある

ということでしたね。

日本人にとっては

筆記テストよりも

無線による ATC のやり取りの方が

壁になるかも知れませんね。

ただ、これも慣れなので

実際に飛行訓練に入ったら

間違いを恐れずに

挑戦しながら慣れていってください。

ということで今回は以上となります。

今日も最後まで読んでいただいて

ありがとうございます!

ではまた!

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