Time, Speed,Distance (時間・速度・距離) の総合問題

[Cross-Country Planning : 野外飛行計画]

パイロット免許への水先案内人

須永です!

 

前回は、

Plotter Mistakes (プロッターの取り扱いミス)

についてお話しさせていただきました。

Private Pilot license 取得に向け

今取り組んでいることは、

初めてのことだらけだと思います。

全てに緊張感を持って臨んでいる中で

Plotter の取り扱いの

凡ミスの例を見てみると、

“こんなミスはしないよ!”

というのが正直な感想だと思います。

問題は慣れてきた頃に起こるものです。

常に初心を忘れず

Safety Pilot を目指しましょう。

回は、

Time, Speed,Distance (時間・速度・距離)

の総合的な求め方について

お話したいと思います。

Flight Computer と

Plotter を使えるようになった

ということで、

これらをフルに使って

時間・速度・距離を

求める方法についてお話したい

と思います。

時間・速度・距離を求める方法

Cross-Country のフライト中、

私たちは

どのようにして対地速度を求めたり、

目的地の到着時間を算出するのでしょうか?

これも簡単ですよ。

まず、このチャートを見てください。

一緒に考えてみましょう。

赤いラインのコースを

南東に向かって飛行中の

航空機があります。

HAMPTON ROADS 空港を 14:56 に通過して

さらに

CHESAPEAKE RGNL 空港を 15:01 に通過しました。

そのまま最初の目的地である

FIRST FLIGHT 空港に向かいます。

与えられた条件から何時に

最初の目的地に到着するのでしょう?

分かっていることは?

初めに

HAMPTON ROADS 空港と

CHESAPEAKE RGNL 空港の間を

見てください。

まず、はっきりしているのは

2つの空港の通過時間です。

14:56 15:01 ですね。

この2つの空港の間を

飛行するのに要した時間は

5分です。

速度を求める

例によって、

どれくらいの速さで

飛行しているのかを

割り出すことから始めますよ。

速度算出には、まず距離

それには、

この2つの空港間の距離が

分からなければ始まりません。

では、距離を測るために

Plotter を用意します。

Nautical Miles の目盛りを

あてがってくださいね。

それも Sectional Chart 用の

縮尺の方を使用しますよ。

WAC の方ではありません。

なぜなら、

この チャートは

Sectional Chart だからです。

なので、

あなたが使う目盛りは

Nautical Miles の目盛り

ということになります。

それから注意すべきことは

0ポイントの位置です。

Plotter 本体の先端は

0ポイントではないので

きちんと 0ポイントに

合わせることが大切です。

最初のチェックポイントである

HAMPTON ROADS 空港の

中心に 0ポイントを合わせ

CHESAPEAKE RGNL 空港の

中心までの距離を測ります。

6.5 Nautical Miles

ということが分かりました。

最初の目的地の

FIRST FLIGHT 空港までは

CHESAPEAKE RGNL 空港から

残りの距離ということです。

Plotter を移動して

CHESAPEAKE RGNL 空港の中心に

0ポイントを合わせます。

次に、FIRST FLIGHT 空港までの

残りの距離を確認してみましょう。

残りは 35.5 Nautical Miles

ということですね。

このように

Plotter を使ってチャート上の距離を

測ることは飛行計画を立てたり、

Check Ride のとき

ごく当たり前に行われるものです。

Plotter が使えない時は?

ここであなたに

謝らなければいけません。

Plotter を使って測った

第1チェックポイント空港と

第2チェックポイント空港の間は

6.5 NM では不正解です。

第2チェックポイント空港から

最初の目的地空港までの距離も

35.5 NM これも不正解です。

なぜなら、

テスト用参照 Chart の縮尺は

実物とは違うからです。

筆記テストにおいて

同じようなことを求める問題が

出題された場合は、

Plotter を使うことが出来ません。

では、

そんな時は

どうしたらいいのかというと、

与えられた参照用 Chart の上部には

その Chart に合った

マイル目盛りが記載されています。

筆記テストでは、

このマイル目盛りを使わなければ

正しい答えは得られません。

どのようにするのかというと・・・

テスト前に配布される紙を使うのです。

最初のチェックポイントに

紙の角を合わせます。

その紙の一辺を飛行ルートに

重ねてセットしてから、

第2のチェックポイントの所に

鉛筆で印をつけます。

次にその紙を移動して

マイル目盛りに合わせます。

この時、紙の角を

マイル目盛りの0ポイントに

合わせてください。

そこで注意するのは、

マイル目盛りの0ポイントは

目盛りの左端ではないということです。

では、

きちんとセットできたら

鉛筆で印をつけた所の

距離を読んでみましょう。

10マイル弱というところでしょうか。

10マイル未満の場合は、

紙をスライドさせて印のところを

0ポイントに合わせます。

左に向かって目盛りを読んでみると

9.25マイルということですね。

これが正解の距離です。

では、

目的地までの残りの距離を

測ってみましょう。

紙のコーナーを

第2のチェックポイントの

空港の中心に合わせます。

先程と同じように

紙の一辺をルートに合わせて

最初の目的地の空港の所で

再び印をつけます。

そしてもう一度

マイル目盛りのところに持ってきて

紙のコーナーを0ポイントに合わせます。

右側にある鉛筆の印のところの

目盛りを読んでみましょう。

ちょうど 50マイルです。

改めてこれが

第2のチェックポイントから

最初の目的地空港までの

正しい距離なんです。

FAA は筆記テストにおいて

正しい答えを得るために

このマイル目盛りをきちんと

使えるかどうかというところを

見ているのです。

この方法を知っていれば、

テスト以外の実際の場面でも

距離を測ることが必要な際に

もしも手元にプロッターが無かったり

破損して使えないとしても

紙切れを使って距離を測ることが

出来るので覚えておきましょう。

材料 (時間と距離) が揃ったところで速度です

ここまで分かったところで、

Flight Computerの登場です。

基本ルールに従って、

速度を求めてみましょう。

今回ここまでの条件の中に

速度の情報はありませんでしたね。

しかし、

“9.25マイルの距離を5分で移動している”

という条件を割り出しました。

そこで、Flight Computer の

外側の目盛りの 9.25マイルに

内側の目盛りの 5分を合わせます。

このセットによって

どれくらいの速度で

移動しているかが分かるわけですね。

例によって

9.25という数字はありませんから、

92.5を 9.25と見立てます。

次に

内側の目盛りも

5という数字がありませので

50を 5と見立てるわけですね。

ここまでセットできれば、

あとは 60分に一致する

外側の目盛りを読めば

それが時速ということです。

いくつを指していますか?

11.1ですね。

ということは11.1マイルですか?

いいえ。違いますよね。

5分で 9.25マイル進むんですから、

60分で 111マイルということになりますね。

ということで、

この航空機の時速は 111ノットです。

到着予定時刻は?

では、

次に求めたいのは

最初の目的地の到着時間です。

既に時速の比率は

セット完了していますから、

目盛りをずらさないように

残りの距離である 50マイルの目盛りに

一致している内側の目盛りを

読めば良いということです。

いくつを指していますか?

27分ですね。

これは、

第2のチェックポイント空港から

27分ということです。

第2のチェックポイント空港を

通過したのが

15:01ですから

それに27分を加えます。

ですので

15:28 が到着予定になるということですね。

9.25 NM in 5 min. = 111 kts

50 NM at 111 kts = 27 min.

15:01 + 27 = 15:28

筆記テストにおいて、

この種類の問題の答えとして

選択肢の中にあなたが出した答えと

ぴったり合うものがないとしても

焦らないくださいね。

紙を使っての計測に

多少の誤差が生じるためと

思ってください。

明らかに遠い数値でなければ、

1番近いものを選べば大丈夫ですからね。

この種類の問題で

間違いやすいポイントとして

最後にお伝えしておきます。

一連の流れでようやく

残り 27分という飛行時間を

算出できたとします。

正しくは

第2のチェックポイント空港の

通過時間にプラスすべきところを

第1のチェックポイント空港の

通過時間に加えてしまう

受験者も少なくないようです。

慌てず落ち着いて

回答するようにしましょう。

時間は十分にありますからね。

まとめ

Time, Speed,Distance (時間・速度・距離)

全ての基準になる速度を求める

(速度を求めるための情報収集)

◎チェックポイントの通過時間は?

◎チェックポイント間の距離は?

◎距離と時間の関係から速度を算出

◎速度が決まれば到着予定時刻などは

 必要箇所の目盛りを読むだけ

Plotter が使えない場合

◎Chart のマイル目盛りを活用

◎紙切れを Plotter 代わりに

練習問題にトライしてみよう!

Flight Computer や Plotter の

使い方は十分に

身についていると思いますので、

本文で解いた内容を

そのまま英文にしたのが以下の

問題です。

英文では、こういう表現になるんだ

ということを感じてください。

Q  :  (Refer to figure) En route to First Flight Airport (area 5), your flight passes over Hampton Roads Airport (area 2) at 1456 and then over Chesapeake Regional at 1501. At what time should your flight arrive at First Flight?

A  :  1516.

B  :  1521.

C  :  1529.

(Refer to figure)

:図を参照してください

En route to First Flight Airport (area 5),

:ファーストフライト空港(エリア5)に向かう途中

your flight passes over Hampton Roads Airport (area 2) at 1456

:あなたは通過します ハンプトンロード空港(エリア2)を 14時56分に

and then over Chesapeake Regional at 1501.

:それから チェサピークリージョナル空港を 15時01分に

At what time should your flight arrive at First Flight?

:何時に到着すべきですか ファーストフライトに

1516.

:15時16分

1521.

:15時21分

1529.

:15時29分

本文と同じ内容のため

音声は割愛させていただきます。

正解は一番最後に記載してあります。

あとがき

はい。どうでしたか?

今回の問題は

今までのように単純にパッ!と

出せるものではありませんでした。

これまで得た知識を

試される応用問題でしたね。

まず、与えられた情報・条件から

航空機の速度を求めることから

スタートすることです。

これが本当に大事だということを

改めて感じていただけたとしたら

それで大成功だと思います。

引き続き頑張っていきましょう。

ということで、今回は以上となります。

今日も最後まで読んでいただいて

ありがとうございます!

ではまた!

★練習問題の正解は、C です。

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