[Cross-Country Planning : 野外飛行計画]
パイロット免許への水先案内人
須永です!
前回は、
Time, Speed,Distance (時間・速度・距離)
の総合的な求め方について
お話しさせていただきました。
与えられた条件から
必要なものを1つずつ割り出していく
流れが見えてきましたか?
そんな流れを完全にものにするため
今回は、
Estimated Time of Arrival (到着予定時刻)
の求め方の類似問題を一緒に
考えていきたいと思います。
到着予定時刻の求め方
下の Chart を見て下さい。
ある航空機が赤いラインで示した
航空路 (V 185) にそって
南東に向かって飛行しています。
向かっている先は
SAVANNAH VORTAC です。
この SAVANNAH VORTAC は
パッと見てすぐにここだと分かりますか?
参照の Chart には
赤いラインが引かれているので
簡単ですが、
まっさらの Chart 上では
すぐ確認するのは
少し難しいかも知れませんね。
見つけるためのいくつかの
ヒントをお伝えしましょう。
一つは、
Identification (識別) ボックスです。
このボックスが見つかれば
近くにあるはずですね。
もう一つは、ここにある
Compass rose (コンパス図) です。
その中から 0ポイントを探してください。
磁方位 0°を指す矢印
といってもいいでしょう。
この矢印に沿って南に下がります。
Compass rose の中心が
VORTAC が設置されている
位置ということです。
SAVANNAH VORTAC は
SAVANNAH 空港の敷地内に
設置されているということですね。
この航空機は
航空路 (V 185) 上を南東方向に進んで
SAVANNAH VORTAC に
向かっていることを
はっきりと確認できましたね。
さあ、
この状況であなたに
求めて欲しいのは
SAVANNAH VORTAC に
到着する予定時刻です。
与えられている情報
与えられている情報は
以下の通りです。
2つのチェックポイントの
通過時間です。
チェックポイントの位置を
確認しておきましょう。
第1のチェックポイントは
航空路 (V 185) 上を
南東に進んでいる途中、
ALLENDALE VOR から
248°の方向に伸びている
航空路 (Ⅴ 70) と交差するポイントです。
既にご存知の通り
Chart 上の航空路は
ブルーのラインで示されているので
見つけやすいポイントですね。
その第1のチェックポイントを通過したのが、
09:53 (9時53分) です。
第2のチェックポイントは
ALLENDALE VOR から
216°の方向に伸びる
航空路 (V 157) との交差ポイントです。
先程と同じように
航空路同士の交差ポイントということで
あなたは特に Chart 上に
ラインを引く必要はありません。
あらかじめ
ブルーのラインが印刷された箇所を
チェックすれば良いということです。
その第2のチェックポイントを
通過した時間が
10:00 (10時00分) です。
ここで、
2つのチェックポイントの
時間差は、
09:53 と 10:00 ですから
7分ということですね。
第1チェックポイントから
第2チェックポイントまで
飛行するのに要した時間は
7分です。
2地点間の距離は?
まず初めに
あなたに必要なことというのは、
この7分で移動した距離を
割り出すことです。
別の言い方をすると
この2つのチェックポイント間の
距離のことですね。
前回と同じように
1枚の紙を使って測ってみましょう。
紙の一辺をコースに沿わせながら
第1チェックポイントに
紙の角を合わせます。
次に
第2チェックポイントのところに
鉛筆またはペンで印をつけます。
印をつけたら紙を動かして
Chart 上部のマイル目盛りに合わせて
2地点の距離を確認してみましょう。
紙の角を0ポイントに合わせ、
鉛筆で印をつけた箇所を読んでみると
約 10 NM (Nautical Miles) ですね。
残りの距離は?
では、次に
残りの距離を測ってみましょう。
もう一度紙を戻して
角を第2チェックポイントに合わせ
一辺をコースに沿わせてください。
SAVANNAH VORTAC のところに
印をつけます。
再びマイル目盛りで
確認してみましょう。
もしも、目盛りが足らないときは?
万が一、こんな場合は・・・
ということで触れておきますね。
紙に印をつけた距離が
マイル目盛りよりも長くて
読めないというケースです。
そんな時は
印の箇所が目盛りの数字の上に
なるように左にずらします。
このケースでは
1番右の数字の
30 NM に合わせます。
この状態で
0ポイントから左の部分を見ると
紙の角は 10 NM を指していますね。
ですので、
0ポイントから右の 30 NM と
0ポイントから左の 10 NM を足します。
つまり、トータルで
40 NM であることが分かりました。
速度は?
ここまでわかったところで
Flight Computer の出番です。
では、速度を算出してみましょう。
第1チェックポイントと
第2チェックポイント間の
10 NM を移動するのに
要した時間は7分でしたね。
なので、
外側の目盛りの 10 に
内側の目盛りの 70 を合わせます。
(7という数字がないので70を7と見立てる)
これで速度のセットは完了です。
この状態のまま
60分に一致している距離を読めば、
それが時速でしたね。
時速 86 Knots ということです。
この時速 86 Knots のまま
飛行を続けて、
SAVANNAH VORTAC までの
残りの距離 40 NM を加味すると
移動に要する時間が
求められるわけです。
外側の目盛りの 40に一致している
内側の目盛りはいくつを指していますか?
28ですね。
ということで、
残りの 40 NM を移動するのに
要する時間は
28分ということです。
この 28分というのは
第2チェックポイントからなので、
第2チェックポイントの通過時間に
28分をプラスした時間が
SAVANNAH VORTAC への
到着予定時刻ということになります。
第2チェックポイントの
通過時間は 10:00 です。
プラス28分ですから
SAVANNAH VORTAC に
到着するのは
10:28 の予定となります。
まとめ
Estimated Time of Arrival (到着予定時刻)
与えられた情報から速度を求める
今回のケースとしての流れ
1)各チェックポイントの通過時間から
所要時間を算出する
(09:53/10:00・・・7分)
2)チェックポイント間の距離を計測する
参照Chart用のマイル縮尺に合わせるため
紙を使用して距離を計測
紙の角と印の長さをマイル目盛りで読む
(10 NM)
3)上の1と2から時速を求める
(10 NM in 7 min. = 86 kts.)
4)第2チェックポイントからの
残りの距離を計測する
再び紙を使用して距離を計測
紙の角と印の長さをマイル目盛りで読む
(40 NM)
5)3と4から時間を割り出す
(40 NM at 86 kts. = 28 min.)
6)第2チェックポイントの通過時間に
残りの所要時間をプラスすれば
到着予定時刻が算出される
(10:00 + 28 = 10:28)
練習問題にトライしてみよう!
今回も本文で解いた内容を
そのまま英文にしたのが以下の
問題です。
英文では、こういう表現になるんだ
ということを感じてください。
Q : (Refer to figure) While en route on Victor 185, a flight crosses the 248° radial of Allendale VOR at 0953 and then crosses the 216° radial of Allendale VOR at 1000. What is the estimated time of arrival at Savannah VORTAC?
A : 1023.
B : 1036.
C : 1028.
(Refer to figure)
:図を参照してください
While en route on Victor 185,
:航空路ビクター185の途中で
a flight crosses the 248° radial of Allendale VOR at 0953
:あるフライトが横切ります 磁方位248°を アレンデールVORからの 9時53分に
and then crosses the 216° radial of Allendale VOR at 1000.
:その後 横切ります 磁方位216°を アレンデールVORからの 10時ちょうどに
What is the estimated time of arrival at Savannah VORTAC?
:どれくらいですか 到着予定時刻は サバンナVORTACに
1023.
:10時23分
1036.
:10時36分
1028.
:10時28分
・
・
・
今回も前回同様に
本文と同じ内容のため
音声は割愛させていただきます。
正解は一番最後に記載してあります。
あとがき
はい。どうでしたか?
前回にも触れていますが、
到着予定時刻の求め方の流れを
見ていただきました。
この流れに沿って回答していく
パターンを覚えてしまえば大丈夫です。
筆記テストでは、
Plotter は使わずに
参照 Chart のマイル目盛りを使用して
距離を計測することを忘れなければ、
Flight Computer の使い方を
マスターしてしまっているあなたには、
もう簡単すぎる問題に
なったんじゃないですか?
この調子で頑張っていきましょう。
ということで、今回は以上となります。
今日も最後まで読んでいただきまして
ありがとうございます!
ではまた!
★練習問題の正解は、C です。
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