[Cross-Country Planning : 野外飛行計画]
パイロット免許への水先案内人
須永です!
前回は、
Compass Heading (CH) の求め方
についてお話しさせていただきました。
それまでの延長戦感覚で
特に大変なこともなかったと思います。
上の計算式の順序だけ
しっかりと覚えてくださいね。
今回は、
風向・風速の求め方
ということで切り口を少し変えて
逆算して求める練習を
してみたいと思います。
実際の風を割り出す
これまで
Flight Computer を使い
風の条件から
WCA、各ヘディングの求め方を
練習してきました。
今回は
少しタイプの違う
風に関する問題について
考えてみましょう。
これまでは、必要条件として
風の情報が予め与えられていましたが、
逆に実際の風の成分 (風向・風速) を
割り出すというものです。
飛行計画時の予測と比べて
実際に遭遇する風が違う
ということもあるのです。
これは、風に限らず
全ての気象条件は
常に変化しているからです。
例えば、
以下のような情報が提供されて
ここから風を (風向・風速 ) について
問われたとしても答えられるように
ならなくてはいけません。
・TH 135°
・GT 130°
・TAS 135 kts.
・GS 140 kts.
どんな風が吹いているのか
逆算して風を求めるのです。
初めに WCA を求める
まずに初めに
やるべきことは
WCA を求めることからです。
この航空機の
True Heading (TH) は、
135° です。
それから GT というのは
Ground Track (地上航跡) の略で
意味はTrue course と同じです。
それが、130° ですね。
二つの差は、5° です。
TH と GT (TC) の差
ということですから
この 5° が、WCA になります。
では、この WCA は
L (左) ですか?
R (右) ですか?
GT (TC) に対して
TH の方が方位角が大きいですね。
ですから、
R (右) の WCA ということです。
これで、
右に 5° の WCA であることが
分かりました。
その風は、追い風?向かい風?
次に
TAS と GS の差を見てみましょう。
TAS 135 kts と
GS 140 kts ですから
5 kts の差があります。
GS が、TAS よりも速いということは
追い風を受けているということです。
最後に Flight Computer で求める
ここまで整理したところで、
Flight Computer の Wind 側を
使用します。
TRUE INDEX の真下に
TCの 130° をセットします。
次に
GS 140 kts ですら、
透明ディスクの中心を
140 kts の位置にスライドさせてください。
ここで先ほど出した WCA の登場です。
右に 5° でしたね。
右に 5°のライン上のどこかに
✖︎マークが来ることになりますが、
どこでしょう?
TAS は、135 kts でしたね。
速度 135 kts のラインと
右に 5°のラインの交点に
✖︎マークをつけてください。
次に
透明ディスクを回転させて
✖︎マークが縦のセンターラインに
重なるように移動させます。
ここまで来たところで
TRUE INDEX が指している方位角を
読んでください。
246°ですね。
この 246° が風向ということです。
風速はどうかというと、
透明ディスクの中心から
✖︎マークまでの目盛りを読むと
140 kts から 153 kts で、
その差は 13 kts ですね。
はい。
この 13 kts が、
この風の風速ということなんです。
これで
246° から 13 kts の風
ということが判明できました。
まとめ
風向・風速の求め方
求め方の流れ
◎与えられている TC, TH から WCA を求める
二つの角度差、TC>TH(左), TC<TH(右)
◎Flight Computer に TC をセット
◎透明ディスクの中心を GS にセット
◎WCA と TAS の交差点に✖マーク
◎✖マークを INDEX の下(センターライン)に合わせる
◎その位置の INDEX の方角が風向
◎透明ディスク中心と✖マークの速度差が風速
練習問題にトライしてみよう!
Q : If a true heading of 135° results in ground track of 130° and a true airspeed of 135 knots results in a groundspeed of 140 knots, the wind would be from
A : 019° and 12 knots.
B : 200° and 13 knots.
C : 246° and 13 knots.
If a true heading of 135° results in ground track of 130° and
:もし真針路135°が 地上航跡130°をもたらし
a true airspeed of 135 knots results in a groundspeed of 140 knots,
:真対気速度135ノットの際 対地速度が140ノットなる
the wind would be from
:その風は ・・・からだろう
019° and 12 knots.
:019°で12ノット
200° and 13 knots.
:200°で13ノット
246° and 13 knots.
:246°で13ノット
・
・
・
この問題は本文の例題と同じ内容のため
音声解説は割愛させていただきます。
英文の表現を感じてください。
正解は、最後に記載してあります。
あとがき
はい。どうでしたか?
思ったより簡単でしたよね。
次回は、もう一つ新しいことに挑戦ですよ。
計画を立てたプラン通り
定刻に到着するため、
パイロットは飛行速度を
把握しておく必要があります。
今まで Flight Computer で
扱ってきた速度は、
TAS にしても GS にしても、
実際のコックピット内では
実用的な数値ではありません。
なぜなら、速度計に表示される速度は
指示速度であって
TAS でも GS でもないからです。
そこで計算に必要な
TAS, GS から指示速度に換算することも
Flight Computer を使えば簡単です。
その方法に触れてみたいと思います。
楽しみにしていてください。
と同時に次回で
Cross-Country のカテゴリーは
終了となります。
ということで、今回は以上となります。
今日も最後まで読んでいただきまして
ありがとうございます!
ではまた!
問題の正解は、
C : 246° and 13 knots. です。
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