Indicated Air Speed (IAS/指示対気速度) の求め方

Cross-Country Planning

[Cross-Country Planning : 野外飛行計画]

 

パイロット免許への水先案内人

須永です!

 

 

前回は、

風向・風速の求め方

についてお話しさせていただきました。

 

与えられた条件から逆算して

風向風速を求める方法を

理解していただけましたか?

 

 

今回は、

Indicated Air Speed (IAS/指示対気速度) の求め方

について練習してみることにしましょう。

 

IAS の必要性

フライトプランによって

算出された予定到着時刻に

オンタイムで着くようにするための

IAS (指示対気速度) を

問われることがあります。

 

今まで、フライトプランで

扱われてきた速度は、

TAS (真対気速度) と

GS (対地速度) です。

 

これらは、

計算上役立つ速度ではあるのですが、

実際の操縦時には

意識して使われることはありません。

 

というのは、

航空機の速度計

Indicated Airspeed (指示対気速度) を

表示するものだからです。

 

計算で出された

TAS に対する IAS が分かれば、

パイロットは、その IAS を

計器上でキープすれば、

計算通りの飛行が可能

ということがいえますよね。

 

例題で流れをつかもう!

では、例題を見ながら

一緒に考えていきましょう。

 

A地点を15:00に通過して

B地点に15:30に到着予定の

航空機があるとします。

 

Point A 15:00

Point B 15:30

 

その他の情報として

A地点からB地点の距離は、70 NM です。

風の予報は、310° から 15ノット

気圧高度は、8,000フィート

気温は、−10°C

TC は、270° です。

 

Distance A to B

70 NM

Forecast wind

310° at 15 kts.

Pressure altitude

8,000’

Temperature

−10°C

True Course

270°

 

以上の条件のフライトで

予定到着時刻に着くために

必要となる IAS (指示対気速度) は

何ノットですか?

という問題です。

 

GS を求める

このような問題では

3段階に分けて算出していくと簡単です。

 

1)GS (Groundspeed) を求める

2)TAS (True airspeed) を求める

3)IAS (Indicated airspeed) を求める

 

では、早速 GS から求めてみましょう。

 

A,B間の距離は、70 NM で

所要時間は、30分の予定です。

 

Flight Computer の

計算盤側を使いますよ。

 

外側の目盛りの 70 に

内側の目盛りの 30 を合わせます。

次に、

内側の▲マーク(60分)の箇所と

一致している外側の目盛りを

読んでみましょう。

14ですね。

ということは、

時速140マイルということです。

 

条件は、30分で70マイルですから

60分で140マイルは当然ですね。

 

これで、GS (対地速度)

時速140マイルが割り出されました。

 

TAS を求める

では、Wind側に移りましょう。

風は、310° からですね。

 

TRUE INDEX の下に

310° を合わせます。

次に、

風速を記入しますが、

透明ディスクの中心を

100ノットの目盛りに合わせると

分かりやすいんでしたよね。

 

透明ディスクと内側の板状目盛りを

上下にズラしてあわせてください。

風速は15ノットですから、

透明ディスクの中心から

上に向かって115ノットの

目盛りに✖︎マークをつけましょう。

次に、

透明ディスクを回転させて

TC である 270° を

TRUE INDEX の下に合わせますよ。

それから、

先ほど出した GS 140ノット

透明ディスクの中心に

重なるようにスライドさせましょう。

ここまで出来たら

✖︎マークの位置が TAS

表示していることになります。

目盛りを読むと152ですね。

 

はい。

このフライトに必要な

TAS は、152ノットということになります。

 

IAS を求める

TAS までが割り出されれば、

あとはこれを IAS に

換算するだけでいいのです。

 

そのためには、

Flight Computer の

計算盤側に戻ってください。

 

気温の条件は、−10°Cで、

気圧高度は、8,000フィートでしたね。

 

速度換算をするための

温度と気圧高度の目盛りを見てください。

気温は、−10°Cなので

この目盛りになります。

この −10°Cの目盛りが

気圧高度は8,000フィート

一致するまで回転させましょう。

ここまでセットできたら、

外側の目盛りと内側目盛りを

再び使います。

 

外側の目盛りは、TAS を表示します。

内側の目盛りのところに

CAS とありますね。

CAS は、

Calibrated Airspeed のことです。

 

IAS (指示対気速度) というのは、

以前お伝えしてありますが、

全圧と静圧の差から対気速度を

表示しています。

 

IAS の値は、

測定したそのままの圧力値で

取り付け位置や機体姿勢の変化によって

生じる誤差等は一切修正されていません。

 

それらの誤差を補正して得られるものを

CAS (較正対気速度) といいます。

 

しかし、

小型機では、速度も小さいことから

IAS の持つ誤差も数値的に

大きくなりませんので、

IAS=CAS とみなして使用しています。

 

ということで

外側の目盛りの TAS 152ノットと

一致している内側の目盛り CAS を読めば

= IAS ということになります。

ということで、この問題の答えは

CAS=IAS=137 kts.

となります。

 

まとめ

Indicated Air Speed (IAS/指示対気速度) の求め方

3段階に分けて考える

1)GS (Groundspeed) を求める

・移動距離と時間から

2)TAS (True airspeed) を求める

・風向風速条件の下、透明ディスクに✖マーク

・透明ディスクをTCにセット

・透明ディスクの中心をGSに合わせる

・✖マークの下にくる速度がTAS

3)IAS (Indicated airspeed) を求める

・温度と気圧高度の条件をセット

・TASに一致するCAS(IAS)を読む

 

練習問題にトライしてみよう!

Q  :  On a cross-country flight, point A is crossed at 1500 hours and the plan is to reach point B at 1530 hours. Use the following information to determine the indicated airspeed required to reach point B on schedule.

 

Distance between A and B・・・70NM

Forecast wind・・・310° at 15 kts

Pressure altitude・・・8,000 ft

Ambient temperature・・・−10°C

True course・・・270°

 

The required indicated airspeed would be approximately

 

A  :  126 knots.

B  :  137 knots.

C  :  152 knots.

 

 

On a cross-country flight,

:クロスカントリー飛行で

point A is crossed at 15:00 and

:A地点を15時に通過で

the plan is to reach point B at 15:30.

:B地点を15時30分に到着予定です

Use the following information

:次の情報を使用して

to determine the indicated airspeed required

:割り出します 指示対気速度を 必要とされる

to reach point B on schedule.

:到着するため B地点に 予定通りに

 

Distance between A and B・・・70NM

:AとBの距離・・・70ノーティカルマイル

Forecast wind・・・310° at 15 kts

:風予報・・・310°から15ノット

Pressure altitude・・・8,000 ft

:気圧高度・・・8,000フィート

Ambient temperature・・・−10°C

:周囲の温度・・・-10°

True course・・・270°

:真航路・・・270°

The required indicated airspeed would be approximately

:必要とされる 指示対気速度は 約・・・になるでしょう

126 knots.

:126ノット

137 knots.

:137ノット

152 knots.

:152ノット

この問題は本文の例題と同じ内容のため

音声解説は割愛させていただきます。

英文の表現を感じてください。

正解は、最後に記載してあります。

 

あとがき

はい。どうでしたか?

Flight Computer の計算盤側の

温度と気圧高度の目盛りを

初めて使いましたが、

大丈夫でしたか?

 

Flight Computer を使って

基本的な速度・時間・距離を

求めることからスタートして、

風を考慮した計算も

逆に風を割り出すことも

出来るようになりました。

 

さらに

今回 CAS (IAS) の算出方法も

覚えましたね。

 

これで、

Flight Computer の使い方を始め

Cross-country について

プライベートパイロットの

筆記テストに求められる知識は

全て揃ったことになります。

 

筆記テスト突破に

必要な内容を網羅するまで、

あと2つのカテゴリーを

残すのみとなりました。

 

次回から

Aircraft Performance (航空機の性能) の

学習に入っていきます。

引き続き頑張っていきましょう。

 

ということで、今回は以上となります。

今日も最後まで読んでいただきまして

ありがとうございます!

ではまた!

 

 

問題の正解は、

B  :  137 knots. です。

 

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