Takeoff Ground Roll (離陸滑走距離) の求め方

[Aircraft Performance : 航空機の性能]

パイロット免許への水先案内人

須永です!

 

前回は、

温度による密度高度の変化

についてお話させていただきました。

単純な話ですが、

気象条件は、ひとつの要素が変われば

他の要素も変わるということです。

特に密度高度が上昇した場合は、

航空機の性能も低下しますので

注意が必要ということを

理解してくださいね。

 

今回は、

Takeoff Distance Chart の読み方ということで

Takeoff Ground Roll (離陸滑走距離) の求め方

の練習をしてみたいと思います。

Takeoff Distance Chart の構成

たとえフライトに

申し分のない晴天であっても、

あなたの航空機の離陸に必要な

滑走距離と言うのは

知っていなければなりません。

そこで登場するのが

Takeoff Distance Chart です。

Takeoff Distance Graph

呼ばれることもあります。

筆記テストでは

この Chart に関する

出題もありますので

基本的なことをしっかりと

押さえておきましょう。

この Chart は

4つのセクションに分かれています。

例を挙げながら

一緒に見ていきましょう。

まず1番左のセクションです。

下は外気温の目盛りになっています。

その上には気圧高度の

等圧線が記されています。

この組み合わせは

Density altitude chart でも

お馴染みですよね。

サンプルの矢印は、

外気温15°C の目盛りから上に登って

気圧高度の 6,000フィートの

すぐ下にヒットしてから

矢印は右に進んでいます。

次のセクションは、

離陸重量が最大から減った場合

離陸滑走距離は

どれほど減少するのかを

割り出すセクションです。

今回は、最大離陸重量を

想定しているということで

ストレートラインで

通過しましょう。

次のセクションは、

離陸時に受ける風が

向かい風なのか追い風なのかで

滑走距離が増減しますので、

それに対するセクション

ということです。

この例では、

10ノットの向かい風のようです。

最後のセクションは、

50フィートの障害物を

越えるのに必要な距離を

割り出すセクションです。

下の目盛りを見ると

0 から 50 とありますね。

0 は単純に離陸するまでの

地上滑走距離を意味しています。

隣のセクションから

ストレートにスルーしたところの

目盛りが地上滑走距離

ということになります。

離陸後 50フィートまでの障害物を

越える必要がある場合は

このセクションを使うということです。

具体例で読んでみよう

ここからは具体的な数値をもとに

Chart の読み方を見ていくことにしましょう。

下記の条件を当てはめて

地上滑走距離を求めてみましょう。

外気温  摂氏37.7°

気圧高度  2,000フィート

離陸重量  2,750ポンド

向かい風成分  穏やか

 

OAT  37.7°C

Pressure altitude  2,000 ft.

Takeoff weight  2,750 lbs.

Headwind component   Calm

 

左側からスタートしますよ。

与えられている条件は、

気圧高度 2,000フィートでしたね。

このラインを使います。

それから外気温は

摂氏37.7°ですから、

37.7°C のところを縦に

マークしてしまいましょう。

そのマークと

気圧高度 2,000フィートのラインが

交差した所 (黄色の✖) から

右に水平に進んで (緑の→)

2つ目のセクションの縦のラインに

ヒットしたところにマークしましょう。

2つ目のセクションは

離陸重量を加味するものでしたね。

今回の離陸重量は

2,750ポンドという条件です。

下の目盛りの 2,750ポンドの所にも

縦にマークを入れます。

左のセクションから

伸びてきた値ですが、

マークしたポイントからは

ガイドラインに沿って右に進みますよ。

これらのガイドラインは並行しています。

今回は、ちょうどガイドラインと

一致していますので簡単ですね。

もし、

2本のガイドラインの間の場合は、

幅が細くなる割合に

合わせながら進むということです。

 

次のセクションは、

風の成分ですが、

与えられた条件は穏やかな風ですから、

考慮する必要はありません。

そのまま水平に移動しましょう。

 

次のセクションは、

離陸後の障害物に関するものですが、

今回は、やはり障害物の条件は

与えられていませんので

そのまま水平に最後の縦の目盛りまで

いってしまいましょう。

目盛りを読むと1,150フィートです。

この離陸に必要な地上滑走距離

1,150フィートということです。

まとめ

Takeoff Ground Roll (離陸滑走距離) の求め方

Takeoff Distance Chart の構成

左から

◎気圧高度と温度のグラフ (密度高度) セクション

◎離陸重量セクション

◎風成分セクション

◎障害物セクション

(最後の障害物セクションをスルーすれば単純に地上滑走距離が求められる)

の順に該当箇所をたどることで離陸距離が割り出せる

練習問題にトライしてみよう!

Q  :  (Refer to figure) determine the approximate ground roll Distance required for takeoff.

 

OAT  32°C

Pressure altitude  2,000 ft

Takeoff weight  2,500 ft

Headwind component  20 kts

 

A  :  650 feet.

B  :  850 feet.

C  :  1,000 feet.

(Refer to figure)

図を参照してください

determine the approximate ground roll Distance required for takeoff.

:割り出しなさい およその地上滑走距離を 離陸に必要とされる

OAT  32°C

:外気温度 32°

Pressure altitude  2,000 ft

:気圧高度 2,000フィート

Takeoff weight  2,500 lbs

:離陸重量 2,500ポンド

Headwind component  20 kts

:向かい風成分 20ノット

650 feet.

:650フィート

850 feet.

:850フィート

1,000 feet.

:1,000フィート

参照図を使っての解答・解説を

「あとがき」の次に記載してあります。

自力で回答してから確認してください。

あとがき

はい。どうでしたか?

また新しい Chart が登場しましたが、

前回の Density altitude chart の

読み方を経験済みのあなたには、

どうってことなかったですよね。

使用する滑走路が

安全に離陸することができる

十分な長さがあるかどうかを

判断する上で、

今回求めた地上滑走距離を

割り出すことはとても重要です。

Chart の読み違いのような

ケアレスミスをしないように

マスターしてくださいね。

 

ということで、今回は以上となります。

今日も最後まで読んでいただきまして

ありがとうござます!

ではまた!

問題の解答・解説

この問題は

必要とされる離陸地上滑走距離を

求めるものです。

条件は、以下の通りです。

OAT  32°C

Pressure altitude  2,000 ft

Takeoff weight  2,500 ft

Headwind component  20 kts

Takeoff Distance Chart を使い

まず、外気温度の32°Cと

気圧高度2,000フィートが

交差する箇所をマークします。

そこから右のセクションに

水平に移動して

離陸重量のガイドラインに沿って

2,500ポンドのラインと

交差したポイントから

水平に風のセクションへ

20ノットの向かい風を

受けるので、

ガイドラインに沿って

20ノットのラインまで下がります。

今回の条件には

障害物に関するものは

含まれていないので

最後のセクションは

水平に素通りして

一番右の距離の目盛りを読めば

地上滑走距離となるわけです。

ということで、

この離陸に必要な地上滑走距離は

650フィートとなります。

選択肢は

A  :  650 feet.

B  :  850 feet.

C  :  1,000 feet.

ですから

正解は、

A  :  650 feet. です。

お疲れさまでした。

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