今の航法ってこんなに楽なの?

Electronic Navigation

[Electronic Navigation : 電子航法]

 

パイロット免許への水先案内人

須永です!

 

 

前回は、

クラスC(Charlie)や

クラスB(Bravo)などの

エアスペースでは、

どのようなレーダー・サービスが提供されるのか

というお話をさせていただきました。

 

それぞれのエアスペースによって

受けられるレーダー・サービスの違いを

しっかりと押さえておきましょうね。

 

 

今回からは

Electronic Navigation(電子航法)

分野に入っていこうと思います。

 

常に今あなたがどこに居るのか表示される

Electronic Navigation System (電子航法システム)を

使うことで迷子になることはないのです。

 

私がフライト・トレーニングを受けたのが

約30年近くも前になるのですが、

当時はこんなナビゲーションシステムは

ありませんでした。

 

車のナビ(カーナビ)の市販が

始まったのが1990年だったらしいので

当然といえば当然なんですけどね。

 

昔は、VFR(有視界飛行方式)

というくらいですから

パイロットはChart(航空図)と

地上の目標物を照らし合わすことで

自機のポジションを確認していました。

 

これを考えると最近は本当に

便利になっているんですね。

 

さて、このナビゲーションシステムは

車のナビでもお馴染みの GPS

使用しているんです。

 

Global Positioning System

(全地球測位システム)

 

これは人工衛星を経由して

あなたが居る場所を教えてくれるわけです。

 

このシステムが導入される以前は

航法のメイン機器といえば

VOR でした。

 

VOR とは、

VHS Omnidirectional Range の略で

超短波全方向式無線標識のことです。

 

簡単にいうと

VHS帯の電波を用いる航空機用無線標識で

標識局を中心として航空機がどの方向にいるかを

知ることができるんですね。

 

古い機体は、まだVORがメインで

運用されています。

 

新しい機体にもバックアップ用として

従来の航法計器が装備されています。

 

万一、最新の装備がアウトの時は

従来型の航法計器を

使いこなさなくてはいけないので

それらの知識を筆記テストでは

問われています。

 

さて、GPSの話に戻りましょう。

 

アメリカの国防総省が管理している

GPS衛星は32個飛んでいます。

GPSシステムは正確なポジションを

計測するために少なくとも

常に5つの衛星と繋がるように

設計されています。

 

これはとても良い設計なんですね。

というのは・・・

 

実際には、

4つだけの衛星と繋がることで

緯度・経度・高度・時間の誤差の補正を

得ることが出来ます。

 

GPSは信号を受信するまでの時間を

計っています。

時間差で生ずる誤差は

同時に4つの衛星と繋がることで

補正されています。

 

 

4 SATELLITES

・Latitude

・Longitude

・Altitude

・Time solution

 

4 SATELLITES

:4つの衛星

・Latitude

:緯度

・Longitude

:経度

・Altitude

:高度

・Time solution

:時間解決

 

 

次にGPSからの位置情報の完全性を

自動的に監視する受信機で

RAIM というものがあります。

Receiver Autonomous Integrity Monitoring

 

Receiver

:受信機

Autonomous

:自主的な

Integrity

:完全性

Monitoring

:監視

 

 

航法精度が指定されている

着陸進入経路においては

GPSの使用が精度実現のために欠かせません。

 

しかし、GPSは衛星の配置や保守作業、

当局の都合などにより必要な精度を

保証できなくなる場合があります。

 

このため航法精度が指定されている

ナビゲーションを使用する空域にあっては

要求される精度を十分に満たさない時間が

発生するかどうか予測する必要があるのです。

 

これをRAIM予測と呼ばれていて

NOTAM(Notice To Airmen)によって周知されます。

 

NOTAM は、航空情報の一種であり、航空関係施設、

業務、方式と危険等に係わる設定や状態、

変更等についての情報のことです。

 

 

もし、RAIMを搭載していない場合は

その機体のGPSが示す位置は

正確性の面で保証されないと

見なされてしまいます。

 

WITHOUT  RAIM

GPS position accuracy is not assured

 

WITHOUT  RAIM

:~のない RAIM

GPS position accuracy

:GPSポジション 正確さ

is not assured

:保証されない

 

 

ナビゲーションシステムの中には

WAASを受信できるものもあります。

 

これは、静止衛星を使い精密に

測量された広域地上基準局の

ネットワークがあり

訂正データを発信しているというものです。

 

WAASを使用することで

更に正確さが増すのです。 

 

WAAS

Wide Area Augmentation System

More accurate

 

Wide Area Augmentation system

:広域増強システム

More accurate

:より正確

 

 

ただし、覚えていてほしいのは

GPSシステムのモニター上に

表示される高度は信頼性に欠けるため

通常の高度計の代替として

使うべきではありません。

 

緯度と経度のように平面的な位置は

正確に計測できても

3次元の空間の位置(高度)となると

まだまだ曖昧な測定となってしまうようです。

 

高度計だけは気圧の変化に反応して

指示する従来型のものの方が

優れているのです。

 

 

さて、このGPSシステムの使い方は

とても簡単です。

ほぼカーナビと一緒ですね。

 

目的地や経由地点の名前またはその略語を

入力するだけで直線的に針路が表示されます。

 

その針路に沿って飛行してあげれば

ロストポジションすることなく

目的地まで飛ぶことができてしまいます。

モデルによっては、

地上の地形もデータ化されているので

山が近づいたら「上昇せよ」と

メッセージがモニター上に

表示される優れものもあるのです。

 

ただし、設定される針路は

目的地までの最短距離の直線です。

 

なので、気づかないうちに

制限区域を通過する針路になっている

可能性もあるのです。

 

ですから、フライト・プランを立てる際は

必ずChart(航空図)を使って行うように

してくだいね。

 

 

それから、GPSのデータベースは

28日毎に更新されます。

 

古いデータのままで飛んでも

法的に罰せられることはありませんが、

やはり最新のデータをもとに

飛行した方が賢明だと思います。

 

PILOT  REQUIREMENTS  

TO  UPDATE  GPS  DATABASE

Must update from instrument panel

Cannot disassemble GPS unit

Cannot use tools or special devices

 

 

PILOT  REQUIREMENTS  

:パイロット 必要とする

TO  UPDATE  GPS  DATABASE

:アップデートする GPSデータベース

Must update from instrument panel

:しなければ アップデート 計器盤から

Cannot disassemble GPS unit

:できない 分解 GPSユニット

Cannot use tools or special devices

:使えない 道具や特別な装置

 

 

またGPSシステムには

NRST(Nearest)というボタンが付いています。

 

もしも、緊急事態で着陸を迫られた場合は

NRST(Nearest)ボタンを押すことで

一番近い空港情報を表示してくれるのです。

 

このようにGPSシステムは

本当にワンダフルなシステムなのです。

 

 

<まとめ>

◎電子航法のひとつにGPSシステムがある

 

◎4つのGPS衛星と繋がり位置を計測する

(常に少なくとも5つの衛星と繋がっている)

 

◎GPSシステムの精度が保証されない場合もある

その時間帯を予測することをRAIM予測という

RAIMを伴わないGPSポジションは

正確さを保証されない

 

◎GPSではじき出された高度の値は

従来型の高度計の代替にならない

 

◎静止衛星を使い精密に測量された広域地上局の

ネットワークが訂正データを発信する(WAAS)

 

◎パイロットはGPSデータベースを

アップデートしなくてはならない

 

 

 

ということで、

練習問題にトライしてみましょう!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

Q  :  If Receiver Autonomous Integrity Monitoring

(RAIM) capability is lost in-flight,

 

 

A  :  the pilot may still rely on GPS derived altitude

for vertical information.

 

B  :  the pilot has no assurance of the accuracy

of the GPS position.

 

C  :  GPS position is reliable provided

at least 3 GPS satellites are available.

 

 

If

:もし

Receiver Autonomous Integrity Monitoring(RAIM)

:自主的に完全性を監視する受信機 (RAIM / ライム)

capability is lost

:能力が失われる

in-flight

:飛行中

the pilot may still rely

:パイロット かもしれない まだ 信頼する

on GPS derived altitude

:GPSではじき出された高度

for vertical information

:のため 垂直情報

the pilot has no assurance of the accuracy

:パイロット 持たない 保証 正確さ

of the GPS position

:GPS位置情報

GPS position is reliable provided

:GPS位置情報 信頼できるものとして

provided at least 3 GPS satellites

:提供された 少なくとも 3つのGPS衛星から

are available

:利用できる

自力で答えを導き出してから

音声を聞いてください。

はい。

どうでしたか?

 

今回の問題は英語の独特の言い回しの

表現がありましたので

ちょっと大変でしたかね?

 

私も英語の専門家ではないので

どういう表現にしたら伝わりやすいのかを

今後の課題にしたいと思います。

 

引き続き

よろしくお願いします。

 

ということで、

今回は、以上となります。

今日も最後まで読んでいただいて

ありがとうございます!

ではまた!

 

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