Mixture(ミクスチャー)の役割とは?

[Flight Operations : 運航]

パイロット免許への水先案内人

須永です!

前回は、

飛行機のプロペラには

ブレード角が固定されたもの

(Fixed Pitch Propeller)と

ブレード角を選択できるもの

(Constant-Speed Propeller)で

2タイプあるということについて

お話しさせていただきました。

 

より効率の良いパフォーマンスを

引き出してくれるのは

後者のプロペラだということは

理解していただけましたか?

 

今回は、

Mixture について

お話したいと思います。

スロットルレバーやノブの近くに

赤い色のレバーノブがあるのですが、

これが Mixture Control です。

これらは、どんな目的で

取り付けられているのでしょうか?

基本的な目的は、

エンジンに送り込まれる燃料は

空気と混ぜられて混合気となって

シリンダー内に入っていきます。

その混合気の

空気と燃料の割合を調整するために

設けられているんですね。

飛行高度が高くなるにつれて

燃料の供給は少なくて済むんです。

これは空気密度に関係しています。

高い高度になるほど空気密度は

低く (薄く) なりますよね。

仮に地上で1gの燃料を燃やすのに

15gの空気が必要であるとします。

割合は (1:15)となりますね。

このセッティングのまま上昇していくと

空気が薄くなってくるので

一定の容量の中において

必要となる15g の空気が

確保できなくなるわけです。

となると混合気の割合は

空気に対して燃料の割合が

多い状態となってしまうんですね。

この燃料が多い割合の状態を

リッチ (Rich) といいます。

リッチ (Rich) になると

燃焼効率が悪くなるため

エンジンの回転も

ラフになってしまうんですね。

そこで Mixture Control を使って

空気と燃料の割合が適正になるように

調整してあげるわけです。

基本的な Mixture の役割が分かったところで

標高の高い空港から出発する際について

考えてみましょう。

離陸前点検において

マグネトー・チェックの時ではなく

キャブレター・ヒート・チェックの時に

キャブレター・ヒートをONにした際

エンジンの RPM が減じたり

ラフなエンジン運動になったとしたら

まず、試して欲しいことがあるんです。

それは、Mixture のセッティングを

リーン (Lean/薄い) にしてください。

なぜなら

キャブレター・ヒートを

ONにすることで

温められた空気がキャブレター内に

入っていくことになりますよね。

温められた空気というのは膨張します。

膨張した空気の密度は、どうなりますか?

はい。空気密度は低く (薄く) なりますね。

この空気が薄くなった分だけ

燃料はリッチ (Rich) になるということです。

なので、適正な混合気の割合にするために

Mixture のセッティングを

若干、リーン (Lean) に調整する

必要があるんですね。

理論的にこのような現象が

起こりますので、

キャブレター・ヒートをONにする際には

Mixture のセッティングは

少しだけ薄めに調整してあげましょう。

次に着陸に向けて

降下を開始する場合です。

手順の中にMixture は

リッチ (Rich) にセットするわけです。

もし、この操作を怠ってしまうと

どうなると思いますか?

勘のいいあなたなら

予想がつくと思います。

降下とともに

機体周辺の空気は密度は

濃くなっていきますよね。

高い高度のときの

Mixture のセッティングのままでは

混合気の割合は、

過度にリーン (Lean) の状態に

なってしまいます。

エンジンの回転もラフになり

必要十分なパワーを得ることが

難しくなってしまうんです。

降下時の Mixture (Rich) セットは

忘れてはいけませんよ。

FAILURE  TO

READJUST  MIXTURE  ON  DESCENT

Fuel/air mixture may become

excessively lean

FAILURE  TO

:~の怠慢

READJUST  MIXTURE  ON  DESCENT

:再調整する ミクスチャー 降下時に

Fuel/air mixture may become

:燃料/空気 混合気 なるだろう

excessively lean

:過度に 薄い

 

<まとめ>

エンジンへ送り込まれる

燃料と空気の混合気には

適正な割合というのある

空気の密度は高度の増減や

熱の加減によって変化する

空気密度の変化に合わせて

適正な混合気を作るために

燃料の流量を調節する機器を

Mixture Control という

燃料過多の割合の状態を Rich

燃料過小の割合の状態を Lean

では、今回の練習問題にトライしてみましょう!

・・・・・・・・・・・・・・・

Q1  :  The basic purpose of adjusting the fuel/air mixture at altitude is to

A  :  decrease the amount of fuel in the mixture in order to compensate for increase air density.

B  :  decrease the fuel flow in order to compensate for decreased air density.

C  :  increase the amount of fuel in the mixture to compensate for the decrease in pressure and density of the air.

The basic purpose

:基本的な目的

of adjusting the fuel/air mixture

:燃料/空気 混合調整の

at altitude

:高度によって

is to

:~のためです

decrease

:減らす

the amount of fuel in the mixture

:混合気内の燃料の量

in order to compensate for increase air density

:空気密度の増加を補うため

decrease

:減らす

the fuel flow

:燃料の流れ

in order to compensate for decreased air density

:空気密度の減少を補うため

increase

:増やす

the amount of fuel in the mixture

:混合気内の燃料の量

to compensate for the decrease in pressure and density of the air

:空気の圧力と密度の減少を補うため

自力で答えを導き出してから

音声を聞いてください。

・・・・・・・・・・・・・・・

Q2  :  During the run-up at high-elevation airport, a pilot notes a slight engine roughness that is not affected by the magneto check but grows worse during the carburetor heat check.

Under these circumstances, what would be the most logical initial action ?

A  :  Check the results obtained with a leaner setting of the mixture.

B  :  Taxi back to the flight line for a maintenance check.

C  :  Reduce manifold pressure to control detonation.

During the run-up

:エンジンを温めて準備している間

at high-elevation airport,

:標高の高い空港で

a pilot notes a slight engine roughness

:パイロット 気づく わずかなエンジンの荒さ

that is not affected by the magneto check

:マグネトー・チェックによる影響ではない

but grows worse during the carburetor heat check

:しかし キャブレター・ヒート・チェックの間にひどくなる

Under these circumstances,

:この中で

what would be the most logical initial action ?

:理論上最初の対処は何でしょう?

Check the results obtained

:確認する 得られた結果

with a leaner setting of the mixture

:ミクスチャー 薄めのセッティングによる

Taxi back to the flight line

:駐機・整備区域までもどる

for a maintenance check

:整備チェックのため

Reduce manifold pressure

:下げる マニホールド・プレッシャー

to control detonation

:デトネーションをコントロールするため

自力で答えを導き出してから

音声を聞いてください。

・・・・・・・・・・・・・・・

Q3  :  While cruising at 9,500 feet MSL, the fuel/air mixture is properly adjusted.

What will occur if a descent to 4,500 feet MSL is made without readjusting the mixture ?

A  :  The fuel/air mixture may become excessively lean.

B  :  There will be more fuel in the cylinders than is needed for normal combustion, and the excess fuel will absorb heat and cool engine.

C  :  The excessively rich mixture will create higher cylinder head temperatures and may cause detonation.

While cruising at 9,500 feet MSL,

:海抜高度9,500フィートで巡行中

the fuel/air mixture is properly adjusted

:燃料/空気の混合気は適性に調整されています

What will occur

:何が起こるでしょう?

if a descent to 4,500 feet MSL is made

:もし、海抜高度4,500フィートまで降下を行った場合

without readjusting the mixture 

:ミクスチャーの調整なしで

The fuel/air mixture may become

:燃料/空気の混合気 なるかも知れない

excessively lean

:過度に薄く

There will be more fuel in the cylinders

:シリンダー内の燃料は多くなる

than is needed for normal combustion,

:正常な燃焼に必要とされる (量) より

and the excess fuel will absorb heat and cool engine

:そして 過剰な燃料は熱を吸収してエンジンを冷やす

The excessively rich mixture will create higher cylinder head temperatures and may cause detonation.

:過度にリッチな混合気はシリンダーヘッドの温度を高めてデトネーションの原因となるだろう

自力で答えを導き出してから

音声を聞いてください。

はい。どうでしたか?

Mixture の調整は

なぜ必要なのか?ということは

理解していただけましたか?

エンジンが正常な燃焼をするために

適正な燃料と空気の混合気の割合を

維持するためでしたね。

飛行機が上昇したり降下するに伴って

エンジンに取り込められる空気の密度が

変化するわけです。

それによって燃料の割合が多すぎたり

少なすぎたりすることを防ぐ目的で

Mixture を調整してあげる必要がある

ということですね。

OK!

では、引き続き頑張っていきましょう!

今回は以上となります。

今日も最後まで読んでいただいて

ありがとうございます!

ではまた!

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