きわどい異常接近があった場合は・・・

[Flight Operations : 運航]

パイロット免許への水先案内人

須永です!

 

前回は、

Avoiding Other Aircraft (他の航空機を回避) について

お話しさせていただきました。

 

他の航空機を回避するために

目視による周りの監視が有効であることや

見る方法も日中と夜間では

目の使い方が違うなど

注意が必要であることは

理解していただけましたか?

 

 

 

今回は、

Near Midair Collisions (きわどい空中衝突) の報告

についてお話したいと思います。

IFR が管制によって

全ての航空機同士の距離をしっかり保ち

互いに衝突しないように運航しているのに対し

VFR は特別なエリア以外では

目視によって他の航空機の接近を

回避しています。

特に VOR の周辺では注意が必要となります。

なぜなら既にご存知の通りですが、

VOR はナビゲーション施設のひとつですから

地上で例えると交差点のようなものなのです。

道路と決定的に違うのは

決められた道だけでなく

全方位から航空機が集まって来るということです。

いつどの方向から他の航空機が

現れるか分からないのです。

ですから特に VOR 周辺の飛行には

注意が必要となりますよ。

さて、万が一他の航空機と衝突の

恐れがあるような近い距離に

接近してしまった状況に遭遇した場合は

パイロット及びまたは乗務員は

直ちに報告をするべきなのです。

第一に最寄りの航空交通管制施設 (ATC facility)

またはフライト・サービス・ステーション (FSS)に

無線機もしくは電話によって

報告してください。

第二に上記の代わりに

最寄りのフライト・スタンダード地区事務所 (FSDO)に

書面で送付するです。

REPORT  NEAR  MIDAIR  COLLISION  (NMAC)

Nearest ATC facility

Flight Service Station

In writing to FSDO

REPORT NEAR MIDAIR COLLISION (NMAC)

:きわどい空中衝突

Nearest ATC facility

:最寄りの航空交通管制施設

Flight Service Station

:フライト・サービス・ステーション

In writing to FSDO

:書面で フライト・スタンダード地区事務所に

プライベートパイロットの

筆記テストで問われるのは

この辺まで十分だと思いますが、

実際のフライトで

もしも、このようなきわどい状況に

なってしまった場合に

慌てないようにするために

もう少しだけ報告の目的や報告項目などについて

書き出しておこうと思います。

Near Midair Collisions

目的

NMAC (Near Midair Collisions) 報告は

全米空域システムの安全性と効率を高めるための

情報を提供することです。

得られたデータは FAA がユーザーに

FAA サービスの質を向上させ

NMAC の発生の削減を目的としたプログラム方針

および手順を開発するために

FAA によって使用されます。

定義

NMAC とは、他の航空機との距離が

500フィート未満であるために

衝突の可能性が生じる事件である。

報告責任

NMAC が発生したと判断し報告を開始するのは

パイロット及びまたは乗務員の責任です。

即座にインシデント (事件) を

報告することが求められます。

無線通信で報告の際、

NMAC の臨時レポートが報告されていると

ATC が解釈しないので

パイロットは最初に

「私は NMAC を報告したい」と述べるべきです。

” I wish to report a near midair collision.”

提出する場所

1 最寄りの FAA ATC 施設または FSS への

無線または電話によるもの

2 上記の代わりに最寄りの

フライト・スタンダード地区事務所 (FSDO) に

書面で送付する

報告される項目

1 事件の日時 (UTC)

2 事件の高度と位置

3 目的地、飛行機の名前と本拠地の識別と種類

4 他の航空機の目的地、名称および在宅基地の識別およびタイプ

5 飛行計画のタイプ、使用される局高度計設定

6 高度または飛行レベルでの詳細な気象条件

7 両方の航空機のおおよそのコース;いずれか又は両方の航空機が

上昇しているか下降しているかを示す

8 最初の視界での距離、水平および垂直に最も近い接近点、

回避行動までの目視時間の長さ

9 もしあれば取られた回避行動の度合い、可能であれば両方の航空機から

10 傷害 (もしあれば)

以上です。

当たり前のことですが、

空を飛んでいるのは

あなただけではありませんから

全員が安全に運航できるように

心がけていきましょうね。

ということで、練習問題にトライしてみましょう!

・・・・・・・・・・・・・・・

Q1  :  Pilot and/or flight crew members involved in NMAC occurrences are urged to report each incident immediately ;

A  :  By cell phone to the nearest Flight Standards District Office (FSDO) as  emergency.

B  :  To local law enforcement.

C  :  By radio or telephone to the nearest FAA ATC Facility or FSS.

Pilot and/or flight crew members involved in NMAC occurrences

:パイロット及びまたは乗務員 巻き込まれた きわどい空中衝突 出来事に

are urged to report each incident immediately ;

:勧められる 報告することを 各事件ごと 直ちに

By cell phone

:携帯電話で

to the nearest Flight Standards District Office (FSDO)

:最寄りのフライト・スタンダード地区事務所に

as this is an emergency.

:非常事態として

To local law enforcement.

:現地の警察当局に

By radio or telephone

:無線や電話で

to the nearest FAA ATC Facility or FSS.

:最寄りの連邦航空局 航空交通管制施設 又はフライト・サービス・ステーションに

自力で答えを導き出してから

音声を聞いてください。

・・・・・・・・・・・・・・・

Q2  :  It is the responsibility of the pilot and crew to report a near midair collision as a result of proximity of at least

A  :  50 feet or less to another aircraft.

B  :  500 feet or less to another aircraft.

C  :  1,000 feet or less to another aircraft.

It is the responsibility of the pilot and crew

:責任です パイロットと乗務員の

to report a near midair collision as a result of proximity

:報告すること きわどい空中衝突を 近接の結果として

of at least

:少なくとも

50 feet or less to another aircraft.

:50 フィート以下 他の航空機まで

500 feet or less to another aircraft.

:500 フィート以下 他の航空機まで

1,000 feet or less to another aircraft.

:1,000 フィート以下 他の航空機まで

自力で答えを導き出してから

音声を聞いてください。

はい。どうでしたか?

きわどい空中衝突

いわゆる異常接近が起こってしまった場合は

直ちに所定の場所に報告するということです。

車の運転もそうですが、

「・・・だろう」ではなく

「・・・かも知れない」という意識で

飛行することが大事だと思います。

あなたは絶対にセーフティパイロットに

なってくださいね!

ということで、今回は以上となります。

今日も最後まで読んでいただいて

ありがとうございます!

ではまた!

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