航空機事故の大半を占めるのは人的ミス!?

[Flight Operations : 運航]

パイロット免許への水先案内人

須永です!

 

 

前回は、

Taxiing in a strong wind について

お話しさせていただきました。

 

地上にいるからといって

風に対して考慮しなくてもいい

ということは決してありません。

特に強い風に中でのタキシングは

あおられる危険が伴います。

その際、一番危険な風は

斜め後方からの風ということと

どの方向から風をうけるかによって

操縦桿やエレベーターの操作の組合せを

しっかりと覚えていただけましたか?

 

 

 

今回は、

Risk Elements (危険要素)

についてお話したいと思います。

航空界では基本的に

4つの危険要素というのがあります。

それらは、PAVE (ぺイヴ) 

と呼ばれています。

    Pilot

    Aircraft

enVironment

    External pressure (mission)

上からパイロット、航空機、環境、外部の圧力の

一文字を取って略語になっているんですね。

最後の外部の圧力は、一部ではミッションと

言われることもあるようです。

Pilot : 資格や経験、技量は十分に備わっているか?

Aircraft : その航空機はそのフライトに適しているか?

性能は十分か?

enVironment : そのフライトの環境や気象に問題は無いか?

External pressure : 安全性を後回しにしてでも、フライトを完了させなくてはいけないと思い込んでいないか?

大まかに言うと、上記のようなことになります。

さて、これらのうち 

航空機に関しては非常に信頼性が

高いということなんです。

構造的、機械的な要素が原因の事故は稀です。

ところが、残念ながら

パイロットはそうではないという

事実があるのです。

一般的な航空事故の原因または

防ぐことが出来る事故の大半は

人的ミスによるものなんです。

HUMAN ERROR

Affects most preventable accidents

HUMAN ERROR

:人的ミス

Affects most preventable accidents

:影響を及ぼす ほとんどの 防ぐことが出来る事故に

では、起こってしまう事故には

何が潜んでいるのでしょうか?

それは、パイロットの危険に対する

認識や態度、姿勢が

危険を招いてしまっているのです。

パイロットは万全の態勢で

そのフライトに臨めているのか?

当然、航空身体検査にパスしていても

その日、その時のフライトに適合しているのか?

ということが重要なのです。

気分が優れないなどのまま

出発してしまうことで起こる危険等を

正しく判断して代理のパイロットに交代、

もしくはフライトのキャンセルをすることは

パイロットの責任なのです。

PILOT IS RESPONSIBLE

To determine if fit for flight

PILOT IS RESPONSIBLE

:パイロットは 責任がある

To determine if fit for flight

:決定すること 適しているか否か フライトに

そこで、危険を回避するための

リスク管理が重要になってくるのです。

Aeronautical Decision Making (ADM)

人間の行動をシステム的に考えて

より正しい判断を行うことで

事故を減らしましょうという考えです。

その ADM の一部に

危険を減らすために

主に3つの要素を管理することが

とても大切だということがあります。

それらは、下の3つです。

◎その場における意識

◎問題の認識

◎正しい判断

REDUCE THE RISK

Situational awareness

Problem recognition

Good judgment

REDUCE THE RISK

:減らす 危険

Situational awareness

:場面の 意識

Problem recognition

:問題 認識

Good judgment

:正しい 判断

上の3つを上手く機能させるために

5つの危険な姿勢・態度について

いつも意識を向ける必要があるのです。

◎反権威

「俺にこれをやれなんていうな!」

◎衝動的行動

考える前に行動してしまう

◎不死身であると思い込み

「そんなこと起こるわけない!」

◎雄々しい

自分は何でも出来る

◎やけっぱち・あきらめ

「どうにでもなれ!」

FIVE HAZARDOUS ATTITUDES

Anti authority

Impulsivity

Invulnerability

Macho

Resignation

FIVE HAZARDOUS ATTITUDES

:5つの 危険な 姿勢

Anti authority

:反権威

Impulsivity

:衝動的行動

Invulnerability

:不死身であるという思い込み

Macho

:雄々しい

Resignation

:あきらめ

どれも自分には当てはまらないと

思いたいですよね?

でもちょっと思い出してください。

自動車免許を取得したとき

適正検査をやりませんでしたか?

人間ですからひとりひとり違いますし、

ハンドルを握ると性格が変わるなんて人も

中には居たりするじゃないですか。

どんな人にも

ブラックなもう一人の自分て

居るはずなんです。

そんなもう一人が出現したときの

矯正手段というか対策法を

知っていることは

とても大切なことなんですね。

それでは、5つの危険な

姿勢・態度・感情が少しでも生じたら

それぞれ次のように対処していきましょう。

1:Anti authority (反権威)

こんなルールを守るなんて面倒だ!

対処:まずはルールに従いましょう。

たいていは、それらのルールは

安全を守るために正しいのです。

2:Impulsivity (衝動的行動)

衝動的に動きたくなったとき

対処:まずは考えてみることです。

3:Invulnerability (不死身であるという思い込み)

そんなこと起こりはしないとう

根拠のない自信が生じたとき

対処:「だろう」ではなく「かも知れない」を

意識するべきです。

4:Macho (雄々しい)

自分には不可能なことは無いと

自信過剰なもう一人の自分が現れたとき

対処:絶対ということは無いを自覚する

5:Resignation (あきらめ)

問題を抱えたとき、あきらめの心が湧いたとき

対処:自分は無力じゃない。他のやり方があるはずだと最後まであきらめてはいけない。

<まとめ>

基本的な危険要素

PAVE

P:パイロット

A:航空機

V:環境

E:外部の圧力

事故の大半の原因は

Hunman Error (人的ミス)

フライトに適合か否かの決定は

Pilot is responsible (パイロットの責任)

危険を減らす3つの要素

Situational awareness (場面の意識)

Problem recognition (問題認識)

Good judgment (正しい判断)

5つの危険な姿勢・態度

Anti authority (反権威)

Impulsivity (衝動的行動)

Invulnerability (不死身であるという思い込み)

Macho (雄々しい)

Resignation (あきらめ)

5つの危険な姿勢・態度の対処法

Anti authority (反権威): 

“Follow the rules. They are usually right.”

ルールに従う。それらはいつも正しい。

Impulsivity (衝動的行動):

“Not so fast. Think first.”

慌てるな まず考えろ

Invulnerability (不死身であるという思い込み):

“It COULD happen to me.”

それは自分に起こるかも知れない。

Macho (雄々しい):

“Taking chances is foolish.”

大丈夫の可能性を信じることは愚か

Resignation (あきらめ):

“I’m not helpless. I CAN make a difference.”

自分は無力じゃない。他の方法で乗り切れる。

以上です。

今回のリスク・エレメントについては

あくまでもプライベートパイロットの

筆記テスト対して

必要最小限の内容に

絞らせていただきました。

勉強しようと思えば

かなり奥の深いところまで

いくことになるかと思います。

もっと詳しく知りたいと

思われたならFAAのサイトを覗いたり

担当のインストラクターに

相談してみてください。

では、練習問題にトライしてみましょう!

・・・・・・・・・・・・・・・

Q1  :  What is antidote when a pilot has a hazardous attitude, such as “Anti authority”?

A  :  Rules do not apply in this situation.

B  :  I know what I am doing.

C  :  Follow the rules.

What is antidote when a pilot has a hazardous attitude,

:何が 対処法ですか パイロット 危険な姿勢・態度のとき

such as “Anti authority”?

:反権威のような

Rules do not apply in this situation.

:ルール ありません この状況

I know what I am doing.

:万事心得ている

Follow the rules.

:従う ルールに

自力で回答してから

音声を聞いてください。

・・・・・・・・・・・・・・・

Q2  :  What is the antidote when pilot has a hazardous attitude, such as “Impulsivity”?

A  :  It could happen to me.

B  :  Do it quickly to get it over with.

C  :  Not so fast, think first.

What is the antidote when a pilot has a hazardous attitude,

:何が 対処法ですか パイロット 危険な姿勢・態度のとき

such as “Impulsivity”?

:衝動的行動のような

It could happen to me.

:それは私に起こるかも知れない

Do it quickly to get it over with.

:する 素早く 片づけるため

Not so fast, think first.

:慌てるな まず考えろ

自力で回答してから

音声を聞いてください。

・・・・・・・・・・・・・・・

Q3  :  Who is responsible for determining whether a pilot is fit to for a particular fight, even though he or she holds a current medical certificate?

A  :  The FAA.

B  :  The medical examiner.

C  :  The pilot.

Who is responsible

:誰に責任があるのか

for determining whether a pilot is fit to for a particular fight,

:決定するため パイロット 適合するか否か 特定のフライトで

even though he or she holds a current medical certificate?

:彼また彼女 現在の 航空身体検査証明書を 持っていても

The FAA.

:連邦航空局

The medical examiner.

:身体検査医

The pilot.

:パイロット

自力で回答してから

音声を聞いてください。

・・・・・・・・・・・・・・・

Q4  :  What is the one common factor which affects most preventable accidents?

A  :  Structural failure.

B  :  Mechanical malfunction.

C  :  Human error.

What is the one common factor

:何ですか 一つの一般的な要因は

which affects most preventable accidents?

:影響を及ぼす 一番 防ぐことができる事故に

Structural failure.

:構造的欠陥

Mechanical malfunction.

:機械的な故障

Human error.

:人的ミス

自力で回答してから

音声を聞いてください。

はい。どうでしたか?

起こってしまう事故の原因の大半は

人的ミスによるものということを

しっかりと受け止めて

勘に頼らず

人間の行動をシステム的に

考えるということの

大切さを知っていただければ

いいのかなと思います。

パイロットは

臆病と呼ばれる勇気を持つことが

やはり大切なんですね。

ということで、今回は以上となります。

今日も最後まで読んでいただいて

ありがとうございます!

ではまた!

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