航空機の Icing and Frost (着氷と霜)

[Weather : 気象]

パイロット免許への水先案内人

須永です!

お久しぶりです!

おかげさまで、

本業の繁忙期もピークを越えて

その日のうちに

帰宅できるようになってきました。

また以前のペースで更新できるように

していきたいと思いますので

よろしくお願いします。

 

さて前回は、

Stability (大気の安定度) について

お話しさせていただきました。

空気の安定度によって

発生する雲のタイプや降水のタイプが

決定することを

理解していただけましたか?

 

 

今回は、

Icing and Frost (着氷と霜)

についてお話したいと思います。

飛行中の空気の条件の中には

着氷を引き起こす問題が

潜んでいるということです。

その条件というのは

目に見える水分の中を飛行するときです。

STRUCTURAL ICING

Visible moisture

STRUCTURAL ICING

:構造的 着氷

Visible moisture

:目に見える 水分

目に見える水分とは

雲もそのひとつです。

雲の中で温度の条件がそろうと

気体に着氷する可能性があるのです。

雲以外にも

目に見える水分というと

雪や Freezing rain (みぞれ) のときかも知れません。

Freezing rain が発生する環境としては

温暖前線に伴う降水が挙げられます。

暖気には沢山の水分が含まれています。

雨となって寒気の中に降りてくるわけですね。

寒気の中で冷やされた雨は

Freezing rain (みぞれ) になることもあるのです。

更に冷却が続くようであれば

Ice Pellets (凍雨) に変化していきます。

中でも一番危険な状況は

Freezing rain (みぞれ) です。

この中を飛行することが

機体が着氷してしまう問題を

一番受けやすい条件ということです。

HIGHEST ACCUMULATION RATE OF STRUCTURAL ICE

in freezing rain

HIGHEST ACCUMULATION RATE OF STRUCTURAL ICE

:一番高い 蓄積率 氷に関与するもの

in freezing rain

:みぞれの中

次に地上で

Ice Pellets (凍雨) が地面まで

到達したことを確認したとしたら

何を意味しているでしょうか?

それは、Freezing rain (みぞれ) が

とても高い高度で発生しているということです。

なぜなら Freezing rain (みぞれ) が

より長い時間冷たい空気の中を

さらされながら落ちてくることによって

Ice Pellets (凍雨) が形成されるからです。

ICE PELLETS AT THE SURFACE

Freezing rain at a higher altitude

ICE PELLETS AT THE SURFACE

:凍雨 地上で

Freezing rain at a higher altitude

:みぞれ 高い高度

では、Frost (霜) は

どのように形成されるのでしょう?

霜は、

収集された表面 (このケースでは機体表面) の温度が

Dewpoint (露点温度) と同じ、もしくは低い場合

且つ Dewpoint (露点温度) が氷点よりも

低い場合に発生するのです。

ここでのポイントは

Dewpoint (露点温度) が氷点よりも低い

ということです。

氷点よりも高かければ

水分は液体 (水滴) として

機体表面に現れるだけです。

ところが、

Dewpoint (露点温度) が氷点よりも低いと

水分を含んだ空気が凝結を始める温度が

氷点下ですから機体の表面は

霜で覆われることになってしまうのです。

特に翼に霜が付着してしまうと

空気の流れも悪くなり

揚力に影響が出たり

失速速度も早くなったりと

危険が増すばかりで

良いことは一つもありません。

ですから、飛行前点検で

翼に霜を発見したときは

全て取り除いてから

出発するようにしてくだいね。

FROST

Temperature of collecting surface at or below dewpoint

Dewpoint below freezing

FROST

:霜

Temperature of collecting surface at or below dewpoint

:温度 収集面(機体表面)の 露点温度と同じか低い

Dewpoint below freezing

:露点温度 下 氷点より

補足:着氷の種類

クリアアイス (Clear ice・雨氷)

色は透明から半透明で固い特徴がある。

積雲系の雲に多く存在する大粒の過冷却水滴から

発生することが多く短時間で形成される。

ライムアイス (Rime ice・樹氷)

白から乳白色で表面は粗く、

細かい粒の集合体のため砕けやすい特徴がある。

層雲系の雲に多く含まれる小粒の過冷却水滴から

発生することが多いが、

クリアアイスほど形成時間は早くない。

ミックスアイス (Mixed ice)

ライムアイスとクリアアイスが混在するものをミックスアイスという。

過冷却とは、

物質の三態 (固体・液体・気体) の変化において

変化するべき温度を下回っても

その状態が変化しないでいる状態のこと。

水であれば、摂氏0度以下でも凍結しない状態をさします。

ごくゆっくりと温度を下げていくと低温の水が出来る場合があります。

身近な例でいうとペットボトルのふたを開けた瞬間に

凍り出す炭酸飲料を飲んだことありますか?

あれが正に過冷却の状態です。

わずかな刺激で凍結し始めるあれです。

飛行機の翼に衝突する刺激で

過冷却水滴が氷になるということです。

<まとめ>

Icing and Frost (着氷と霜)

◎目に見える水分の中が着氷の恐れあり

(雲・雪・みぞれ・凍雨)

◎一番危険:Freezing rain (みぞれ)

◎Ice Pellets (凍雨) を地上で確認

(みぞれが高い高度で発生している)

◎霜:収集面 (機体表面) の温度が

露点温度と同じか低く、

露点温度が氷点より低いとき発生

はい。

では、早速練習問題にトライしてみましょう!

・・・・・・・・・・・・・・・

Q1  : The presence of ice pellets at the surface is evidence that there

A  :  are thunderstorm in the area.

B  :  has been cold frontal passage.

C  :  is a temperature inversion with freezing rain at a higher altitude.

The presence of ice pellets at the surface

:存在 凍雨の 地上で

is evidence that there

:証拠です という

are thunderstorms in the area.

:雷雨がある そのエリア内に

has been cold frontal passage.

:寒冷前線を通過した

is a temperature inversion with freezing rain at a higher altitude.

:温度逆転がある 高い高度のみぞれと共に

自力で回答してから音声を聞いてください。

・・・・・・・・・・・・・・・

Q2  :  One in-flight condition necessary for structural icing to from is

A  :  small temperature / dewpoint spread.

B  :  stratiform clouds.

C  :  visible moisture.

One in-flight condition necessary

:一つのフライトでの 必要条件

for structural icing to form is

:着氷を形成するのは~です

small temperature / dewpoint spread.

:温度と露点温度が近い

stratiform clouds.

:層雲

visible moisture.

:目に見える水分

自力で回答してから音声を聞いてください。

・・・・・・・・・・・・・・・

Q3  :  In which environment is aircraft structural ice most likely to have the highest accumulation rate?

A  :  Cumulus clouds with below freezing temperature.

B  :  Freezing drizzle.

C  :  Freezing rain.

In which environment

:どの環境ですか

is aircraft structural ice most likely to have the highest accumulation rate?

:航空機の着氷で一番蓄積率が高いのは

Cumulus clouds with below freezing temperature.

:積雲 伴う 氷点温度より低い

Freezing drizzle.

:冷たい細雨

Freezing rain.

:みぞれ

自力で回答してから音声を聞いてください。

はい。どうでしたか?

着氷も霜も

いずれも機体表面の形状を

変えてしまいますから

その機体本来のパフォーマンスが

発揮できなくなってしまうのです。

できるだけ着氷や霜などの

危険から離れるためにも

目に見える降水の中には

入らないということが

何よりも大切なんですね。

最悪、墜落事故につながる

可能性があるわけですから

しっかりと理解しておきましょう。

はい。ということで

今回は以上となります。

今日も最後まで読んでいただいて

ありがとうございます!

ではまた!

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