[Weather : 気象]
パイロット免許への水先案内人
須永です!
前回は、
Inversion and Fog (逆転と霧) について
お話しさせていただきました。
地上よりも上空の温度の方が高いという
温度の逆転が起こる原因や
各種霧の発生する原理を整理して
押さえることは出来ましたか?
今回は、
Thunderstorms (雷雨)
についてお話したいと思います。
もし、乱気流に注意するのであれば
積乱雲または、雷雨 (雲) は
特に要注意です。
なぜなら、これらの雲が
一番激しい乱気流を抱えているからです。
CUMULONIMBUS (THUNDERSTORM) CLOUDS
Greatest turbulence
CUMULONIMBUS (THUNDERSTORM) CLOUDS
:積乱雲 (雷雨) 雲
Greatest turbulence
:最大の 乱気流
また、雷雨が発生している周辺の空域にも
Wind shear turbulence (ウインドシア乱気流) が
存在しているということも知っておいてくださいね。
ウインドシアとは、
突然、風向・風速が変わる部分ですね。
そういったウインドシアによる乱気流が
雷雨の周辺には、たくさんあるということです。
ところで、雷雨は
地上から見ているだけならいいですが、
「雷雨」という名前だけですと
そのイメージって
「雷を伴った雨」くらいの印象に
感じませんか?
でも、実際は想像よりも
遥かに強烈なものであるということを
再認識する必要があるんです。
英語では、Thunderstorm ですね。
雷の Thunder に
雷鳴を伴った嵐という storm がついてます。
大気中に生まれる最大級の強さの対流を
発生させる積雲の究極型と思ってください。
航空機にとっては厄介な気象現象の
一つなんですね。
さて、発達中の積乱雲は
見ているだけでも強いエネルギーを
感じるものです。
やがてその積乱雲から激しい雨が
降って来ることでしょう。
しかし、
どんなに大きな雲に発達しても
どんなに激しい雨が降ろうとも
分類上、積乱雲は積乱雲なんですね。
そこにもう一つの条件が加わった瞬間に
雷雨という呼び名に変わるのです。
その条件とは・・・雷/稲妻です!
名称を考えれば一目瞭然ですね。
雷雨の定義づけに無くてはならないもの
それは、雷/稲妻です。
THUNDERSTORM
Must have lighting
THUNDERSTORM
:雷雨
Must have lightning
:持っているべき 稲妻を
その Thunderstorm の中でも
最も危険なものというと・・・
Squall line (スコールライン) です。
移動速度の速い寒冷前線の前に
発達していく雷雨自体が
細長い形状になりながら
前線に沿って形成されることもあれば
前線よりも100~300km先行する場合もあるので
必ずしも前線付近に発生するとは限りませんが、
いずれにしても航空機にとって一番危険な気象現象です。
SQUALL LINE
Non-frontal, narrow band of active thunderstorm
SQUALL LINE
:スコールライン
Non-frontal, narrow band of active thunderstorm
:非前線性、 細い帯 活発な雷雨の
スコールラインが及ぼす影響は、
竜巻の可能性、大きな氷・霰、激しい雨、強力な風
などが挙げられます。
スコールラインの移動速度は速いので
常に新しいエネルギー (湿った暖かい空気等) を
活動域内に継続的に吸い込んでいくわけで
なかなか衰えません。
そういう意味でも非常に危険といえるのです。
さて、積乱雲や雷雨が発達するために
必要となる要素 (条件) は3つあります。
・Lifting force (持ち上げる力)
・Unstable air (不安定な空気)
・Moist air (湿った空気)
熱せらてた空気は軽くなり上昇を始めますね。
そのとき空気が不安定であれば、
一度登り始めた空気は上昇し続けます。
その空気に大量の水分が含まれていたなら
低温の上空で凝結して雲となります。
ですから、
上記の3条件が基本になるわけですね。
では、雷雨および積乱雲の
発達から衰弱していく過程を
見ていきましょう。
これには3つのステージがあるんですね。
1 Cumulus stage (積乱期<発生期>)
2 Mature stage (最盛期)
3 Dissipating stage (衰弱期)
では、1から見ていきましょう。
1 Cumulus stage (積乱期<発生期>)
ここでは上昇気流だけが継続されている段階です。
水分を含んだ空気が熱エネルギーを受け
上へ上へと昇っていき
上空で凝結し雲となる一連の流れが
続いている段階ですね。
CUMULUS
Continuous updrafts
CUMULUS
:積雲
Continuous updrafts
:連続的な上昇気流
2 Mature stage (最盛期)
強い上昇気流だけでなく
強い下降気流も存在しいる段階です。
ここで、一つポイントがありますよ。
もし、雲からの降水が確認できれば
その雲が Mature stage に
達したことを意味するんです。
つまり、雨やひょうなど
何らかの降水が始まった時点で
危険度が最高域になった状態
ということになるんですね。
MATURE
Precipitation begins
Greatest intensity
MATURE
:最盛期
Precipitation begins
:降水 始まる
Greatest intensity
:最強度
また、積乱雲の底に
Cumulonimbus Mamma clouds と呼ばれる
哺乳瓶の先を連想させる形の雲が
集合している状態が確認されたとしたら
要注意です!
Cumulonimbus Mamma clouds は
しばしば強烈な雷雨と竜巻の発生に
深く関係している存在ですので
本当に注意が必要ですよ。
3 Dissipating stage (衰弱期)
対流のほとんどが下降気流となります。
嵐のエネルギーも次第に弱まり
やがて消えていく段階です。
DISSIPATING
Predominantly
downdraft
DISSIPATING
:消散
Predominantly
:主に
downdraft
:下降気流
以上が Thunderstorm の
ライフサイクルです。
<まとめ>
Thunderstorms (雷雨)
Cumulonimbus (Thunderstorm) Clouds
◎積乱雲 (雷雨)雲 が最大の乱気流を持つ
◎雷雨の周辺にもウインドシア乱気流が存在する
Thunderstorm の定義
◎雷/稲妻を伴っていること
Squall line
◎最も危険な気象現象
◎非前線性の活発な細い帯状の雷雨
積乱雲/雷雨が発達する条件
◎Lifting force (持ち上げる力)
◎Unstable air (不安定な空気)
◎Moist air (湿った空気)
積乱雲/雷雨のライフサイクル
1 Cumulus stage (積乱期<発生期>)
2 Mature stage (最盛期)
3 Dissipating stage (衰弱期)
Cumulonimbus Mamma clouds
◎雷雨と竜巻に関連する
はい。ということで、
早速練習問題にトライしてみましょう!
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Q1 : What clouds have the greatest turbulence?
A : Towering cumulus.
B : Cumulonimbus.
C : Nimbostratus.
What clouds have the greatest turbulence?
:どんな雲 持っている 最大の 乱気流
Towering cumulus.
:塔状に形成中の積雲
Cumulonimbus.
:積乱雲
Nimbostratus.
:乱層雲
・
・
・
自力で回答してから音声を聞いてください。
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Q2 : The conditions necessary for the formation of cumulonimbus clouds are a lifting action and
A : unstable air containing an excess of condensation nuclei.
B : unstable, moist air.
C : either stable or unstable air.
The conditions necessary
:条件 必要な (必要条件)
for the formation of cumulonimbus clouds
:形成に 積乱雲の
are a lifting action and
:持ち上げる働きと ~です
unstable air containing an excess of condensation nuclei.
:不安定な空気 含んでいる 過剰な結露核
unstable, moist air.
:不安定な 湿った空気
either stable or unstable air.
:安定しているか 不安定な空気のどちらか
・
・
・
自力で回答してから音声を聞いてください。
・・・・・・・・・・・・・・・
Q3 : What feature is normally associated with the cumulus stage of a thunderstorm?
A : Roll cloud.
B : Continuous updraft.
C : Frequent lightning.
What feature is normally associated
:どんな特徴 通常 形成される
with the cumulus stage of a thunderstorm?
:積乱期で 雷雨の
Roll cloud.
:ロール雲
Continuous updraft.
:連続的な 上昇気流
Frequent lightning.
:頻繁な 稲妻
・
・
・
自力で回答してから音声を聞いてください。
・・・・・・・・・・・・・・・
Q4 : Which weather phenomenon signals the beginning of the mature stage of a thunderstorm?
A : The appearance of an anvil top.
B : Precipitation beginning to fall.
C : Maximum growth rate of the clouds.
Which weather phenomenon signals the beginning
:どの気象現象 合図か 始まりの
of the mature stage of a thunderstorm?
:最盛期 雷雨の
The appearance of an anvil top.
:出現 鉄床雲
Precipitation beginning to fall.
:降水 落ち始める
Maximum growth rate of the clouds.
:最大成長率 雲の
・
・
・
自力で回答してから音声を聞いてください。
・・・・・・・・・・・・・・・
Q5 : Thunderstorms reach their greatest intensity during the
A : mature stage.
B : downdraft stage.
C : cumulus stage.
Thunderstorms reach their greatest intensity during the
:雷雨 達する その最大の 強度に ~の期間
mature stage.
:最盛期
downdraft stage.
:下降気流段階
cumulus stage.
:積乱期
・
・
・
自力で回答してから音声を聞いてください。
・・・・・・・・・・・・・・・
Q6 : A non-frontal, narrow band of active thunderstorms that often develop ahead of a cold front is a known as a
A : prefrontal system.
B : squall line.
C : dry line.
A non-frontal, narrow band of active thunderstorms that often develop ahead of a cold front
:非前線性、活発な帯状の雷雨 しばしば 発達する 寒冷前線の前に
is a known as a
:~として知られている
prefrontal system.
:前線の前にあるシステム
squall line.
:スコールライン
dry line.
:ドライライン
・
・
・
自力で回答してから音声を聞いてください。
・・・・・・・・・・・・・・・
Q7 : If there is thunderstorm activity in the vicinity of an airport at which you plan to land, which hazardous atmospheric phenomenon might be expected on the landing approach?
A : Precipitation static.
B : wind-shear turbulence.
C : Steady rain.
If there is thunderstorm activity in the vicinity of an airport
:もし 雷雨の活動がある 近所で 空港の
at which you plan to land,
:そこで あなた 計画している 着陸を
which hazardous atmospheric phenomenon might be expected
:どの 危険な 大気現象 予測されるか
on the landing approach?
:着陸進入において
Precipitation static.
:降水空電
wind-shear turbulence.
:ウインドシア乱気流
Steady rain.
:安定した雨
・
・
・
自力で回答してから音声を聞いてください。
・・・・・・・・・・・・・・・
Q8 : Which weather phenomenon is always associated with a thunderstorm?
A : Lightning.
B : Heavy rain.
C : Hail.
Which weather phenomenon is always associated with a thunderstorm?
:どの気象現象 いつも 関連している 雷雨に
Lightning.
:稲妻
Heavy rain.
:激しい雨
Hail.
:ひょう/あられ
・
・
・
自力で回答してから音声を聞いてください。
・・・・・・・・・・・・・・・
Q9 : Cumulonimbus Mamma clouds are associated with
A : The dissipating stage of a thunderstorm.
B : Violent thunderstorms and tornadoes.
C : The cumulus stage of a thunderstorm.
Cumulonimbus Mamma clouds are associated with
:キュミロニンバス ママ クラウド 関連している ~と
The dissipating stage of a thunderstorm.
:衰弱期 雷雨の
Violent thunderstorms and tornadoes.
:猛烈な 雷雨と竜巻
The cumulus stage of a thunderstorm.
:積乱期 雷雨の
・
・
・
自力で回答してから音声を聞いてください。
はい。どうでしたか?
問題数も多くて疲れましたね。
でも、説明本文の内容を理解できていれば
簡単に答えられる問題だったはずです。
くり返しくり返し読んで
特に赤い文字の英文フレーズは
丸暗記するくらいで取り組んでください。
筆記テストは記述式ではりません。
全て選択問題です。
選択肢の中に知らない単語が出てきたら
無視するくらいでも大丈夫です。
ブログ内で説明している内容さえ
しっかりと押さえておけば
合格ラインを突破できるように
フレーズ等も厳選していますので
信じてついて来てくださいね。
はい。
ということで、今回は以上となります。
今日も最後まで読んでいただいて
ありがとうございます!
ではまた!
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