[Weather : 気象]
パイロット免許への水先案内人
須永です!
前回は、
Low-level Prognostic Charts (Low-level 予報図)
その2: Turbulence and Freezing Level (乱気流と凍結高度)
についてお話しさせていただきました。
実際には目に見えない乱気流や凍結高度が
予報図上では目視できる状態で
表示されているので
さらに避けるべきエリアが明確になるので
飛行計画を立てる際には
とても役立つツールであることが
分かりましたか?
活用していきましょう。
今回は、
Pilot Reports (パイロットレポート)
その1: Format and Cloud Height (書式と雲の高さ)
についてお話したいと思います。
パイロットレポートとは、
PIREPと略されることもあるもので、
飛行中のパイロットによる
特殊な気象現象についての観測報告のことです。
それらの情報は雲の観測や
METAR・SPECIの補足情報として利用されます。
また重要な気象情報であるため、
管制塔や各航空会社の運航管理者・パイロットなどに提供しています。
では早速パイロットレポートを
見ていきましょう。
このパイロットレポートは各情報が
/ によって内容が区分されていますよ。
/ 場所 / 時間 / 高度 / 機体のタイプ / 雲の状況・・・
まず頭の UA が、
通常のパイロットレポートを表す識別コードです。
Pilot Report が UA ?
ちょっとピンとこないですね。
なぜ UA が使用されるのか不思議ですね。
Ultimate Authority (最高権威) からきているのでしょうか。
というのは、パイロットが現場で生の情報を
報告するわけですから1番が信頼性が高いわけです。
もしくは Upper air から来ているのかも知れません。
はっきりした理由は分かりませんが、
いずれにしても UA が通常のパイロットレポートの
識別コードということですので覚えましょう。
対して緊急性のあるパイロットレポートは
UUA という識別コードになります。
さて、次の OV は over の略でロケーションを示します。
この例では、KOKC-KTUL とありますので
Oklahoma City から Tulsa までの上空という意味になります。
次の TM は Time です。
1800 Zulu time に報告されたものということですね。
次の FL は Flight level です。
パイロットがレポートをした高度ということになります。
例では 120 とありますので、
いつものように00を付け加えますよ。
つまり 12,000フィートということです。
次の TP は Type of aircraft です。
ちなみに BE90 は
Beachcraft King Air のモデル90シリーズの
機体ということです。
先に進んで SK は Sky condition です。
雲の層ごとに / で区分して表示されます。
順番は一番下の層からの記載となっています。
記載される雲のタイプはご存知の通り
Scattered, Broken, Overcast になります。
この例では BKN (Broken) ブロークンです。
雲のタイプのすぐ後に来る数字は
その雲の Base (底) の高度で
TOP は雲の頂上の高度を意味しています。
この例では BKN018-TOP055 ですので
1800フィートから5500フィートの厚さの
ブロークンの雲が存在しているということです。
仮にその雲の頂上の高さが分からない場合は
UNKN (unknown) という略が入ります。
雲の高さの単位は海抜高度ですよ。
なぜならこれらはパイロットからのレポートだからです。
パイロットが雲の底の高さと頂点の高さを
知るにはどうしているかというと
上昇中、雲の中に入った瞬間の高度がベースであり
その後雲の上に抜け出た高度が雲の頂点ということです。
その時の高度計の読みを報告しているわけです。
パイロットは気圧高度計を用いて
高度を把握するわけですから
MSL (Mean Sea Level・海抜高度) になるわけですね。
ここで、もしもそのエリアの標高が与えられたら
そのエリアの Ceiling を求めることができますよね。
あなたは Ceiling の定義については、
もうすっかり理解していますよね。
雲量が Broken 以上の雲に覆われている時
地上から1番下の層の
雲の底までの高さ (地上高度) が
Ceiling でしたよね。
これをきちっと理解できていれば
”このエリアの標高が、1,295フィートだとすると Ceiling はいくつになりますか?”
こんな問題も簡単に解けてしまうはずです。
1番下の雲のベースはこの例ですと
Broken の1,800フィートMSLとなりますので、
そこから標高の1,295フィートを引いて上げると
このエリアの Ceiling が
求められるというわけですね。
1800’ MSL − 1295’ Terrain = 505’ AGL
IFR コンディションの場合
コントロールタワーは正確な Ceiling の値を欲しています。
もし、将来あなたが IFR の有資格者になった際、
Broken 以上の雲量の雲の中に入る場合は
予報、予測より確かな情報を
与えてあげることができるのですから
積極的にレポートしてあげてください。
サンプルに戻りましょう。
次の層の雲を見てみましょう。
OVC は Overcast ですね。
そのベースは 072 に 00 を付け加えて
7,200フィートです。
その雲の頂点は 089 に 00 を付け加えて
8,900フィートということです。
大丈夫ですよね。
次の / の後ろには
CLR (Clear) ABV (Above) とありますので
2番目の層である Overcast より上
つまり 8,900フィートより上には
雲はないということですね。
ところで、このタイプの書式の読み方は、
かなり慣れてきたんじゃないですか?
初めて METAR に触れたときと比べたら
内容もスラスラ理解できているはずです。
残りは次回ということで、
ちょこっと練習問題にトライしてみましょう!
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Q1 : (Refer to figure) The base and tops of the overcast layer reported by a pilot are
A : 1800 feet MSL and 5500 feet MSL.
B : 5500 feet AGL and 7200 feet MSL.
C : 7200 feet MSL and 8900 feet MSL.
(Refer to figure)
:図を参照してください
The base and tops of the overcast layer reported by a pilot are
:底と頂上は オーバーキャストの層の 報告された パイロットにより
1800 feet MSL and 5500 feet MSL.
:海抜1800フィートと海抜5500フィート
5500 feet AGL and 7200 feet MSL.
:地上5500フィートと海抜7200フィート
7200 feet MSL and 8900 feet MSL.
:海抜7200フィートと海抜8900フィート
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(日本語訳に関して:英語の語順のまま理解してほしいので、敢えて意訳ではなく直訳式を採用しています)
自力で回答してから音声を聞いてください。
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Q2 : (Refer to figure) If the terrain elevation is 1295 feet MSL, what is the height above ground level of the base of the ceiling?
A : 505 feet AGL.
B : 1295 feet AGL.
C : 6586 feet AGL.
(Refer to figure)
図を参照してください
If the terrain elevation is 1295 feet MSL,
:もし その地形高度 海抜1295フィートなら
what is the height above ground level of the base of the ceiling?
:なんですか? 地上高度は シーリングの底の
505 feet AGL.
:地上 505 フィート
1295 feet AGL.
:地上 1295 フィート
6586 feet AGL.
:地上 6586 フィート
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自力で回答してから音声を聞いてください。
はい。どうでしたか?
これまで、METARやTAFといったデータの読み方を練習してきましたので、
今回のパイロットレポートの読み方は難なく取り組めたんじゃないですか?
それだけ力が付いてきたということですよ。
自身を持ってくださいね。
では、次回はサンプルレポートの残りの部分をやっつけちゃいましょう!
ということで、今回は以上となります。
今日も最後まで読んでいただきまして
ありがとうございます!
ではまた!
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