[Weather : 気象]
パイロット免許への水先案内人
須永です!
前回は、
Surface Observations (定時飛行場実況気象通報式)
についてお話しさせていただきました。
定期的に英数字の書式によって
通報される気象情報で
METAR と SPECI があり
記載される内容や順序、
また具体的なデータの読み取り方は
マスターできましたか?
そこさえ押さえておけば
筆記テストは大丈夫です。
今回は、
TAF (Terminal Aerodrome Forecast)
についてお話したいと思います。
日本語では、
「運航用飛行場予報気象通報式」と
めちゃくちゃ硬い名前になっていますが、
簡単に言うと
METAR や SPECI が
現在の気象情報であるのに対して
TAF は、それらを基にした予報です。
METAR が毎時ごとに通報されるの対して
TAF は、1日に4回の通報となっています。
TAF の有効期間は、通常24時間です。
下の例は、Burbank 空港の TAF です。
通報日時は、28日の 23:22 Z で
有効期間は、29日の 00:00 Z から
29日の 24:00 Z までということです。
しかし、いくつかの空港の TAF の有効期間は
30時間になっているのです。
例えば、Los Angels International のように
数多くの長距離便が乗り入れている空港などです。
長距離便の航空機は
当然上空に滞在する時間も長いので
少しでも先までの予報があると
助かるからなんですね。
Los Angels の例を見ると
通報日時は、28日の 23:22 Z で
有効期間は、29日の 00:00 Z から
30日の 06:00 Z までになっています。
この例のように
全ての TAF には日付と時間が含まれています。
しかし、筆記テストでは
時間だけの表記で
日付が省かれているなんて場合も
あるかも知れません。
例えば、下を見てください。
左は通報された時間で
12日の 17:20 Z です。
有効期間は
12日の 18:00 Z から
翌日の 18:00 Z までを意味しています。
こんな場合は慌てないでくださいね。
このように通報された時間と有効期間から
始まる TAF ですが、
以降は METAR と記載内容も記載順も
ほとんど同じだということなんです。
風から始まり以下の通りに進んでいきます。
・風
・視程
・重要な天気
・雲量
METAR とほとんど同じと言いましたが
何か抜けてますよね?
そうです。
温度/露点と高度計規正です。
温度/露点と高度計規正は
観測された値ですよね。
そもそも TAF って何でしたっけ?
はい。予報でしたね。
「Altimeter Setting は、3001の予想です」
なんて値は使えるわけがありませんよね。
実際に現時点の観測値を使用することで
安全な高度が保たれるわけですからね。
なので、予報以外のデータは
TAF には含まれないということです。
では、METAR の読み方を復習するつもりで
Memphis International 空港 (KMEM) と
Will Rogers World 空港 (KOKC) の
TAF を一つずつ見ていきましょう。
12日の1800Zから13日の2400Zまでの
30時間の有効期間の風の予報は
200°の方向から12knotsですね。
続いて視程は、5statute miles で
HZ (Haze) / もや・霞の予報。
雲の予報は、Broken で 3,000 feet です。
次に、PROB40 2022 とありますが、
PROB は、Probability の略で
40 と合わせて
40%の確率 (可能性がある) という意味です。
2022 は、Between 2000Z and 2200Z という意味で
2000Z から 2200Z の間ということですね。
つまり、2000Z から 2200Z の間に
40%の確率で次の事象が予想されますということです。
その事象とは、視程が1SM まで下がり
雷雨と雨が発生するだろうです。
TSは、Thunderstorm の略で
RA は、雨でしたね。
それから、Overcast が800 feet で
その雲の種類は、
CB (Cumulonimbus/積乱雲)ですね。
ここで一つ押さえておいて欲しいのは
予報される雲の種類は、CB だけだということです。
METAR では、Remark として
報告された雲が記載されることはありますが、
予報ではありません。
くり返しますよ。
予報される雲は CB だけです。
では、2行目にいきましょう。
FM (From) 2200Z から変わる予報が
以下の通りですということですね。
まず風は、330°から 15 knots で
突風が20 knots の予報です。
次に視程は、6SM よりも良くなるです。
6の前の P は、プラスの P で
~より良くなるという意味です。
それから雲は、1,500 feet の Broken と
2,500 feet のOvercast です。
更にまたまた40%の確立で
2200Z から 0200Z の間に
3SM の視程と
にわか雨 (SHRA=Shower Rain) です。
では、3行目です。
FM (From) 0200Z から変わる予報が
以下の通りです。
350°から12knots の風で
800 feet の Overcast 。
次に、40%の確立で
0200Z から 0500Z の間に
視程は2SM に下がり
-RASN は、light rain and snow 。
– は、light で
SN は、雪です。
まあ、実際は雨と雪が
同時になんて天気はあり得ませんね。
ここは読み方の練習ということで
ご理解ください。
さあ、次に進みましょう。
BECMG 0608 の
BECMG は、Becoming の略で
徐々に変化していくでしょうという意味で
0608 は、PROB の場合と同じで
0600Z と 0800Z の間ということです。
つまり、
0600Z と 0800Z の間に
風は、020°から 8knots 、
雲は、1,200 feet の Broken に
徐々に変わっていくでしょう
ということですね。
4行目を見ると、
別の徐々に変化する天気が出てきました。
時間帯は、1310/1312 となっています。
13日の 1000Z から 13日の 1200Z までの間
ということです。
いきなり時間帯表記が変わりましたが、
練習用の参考資料ということで
色々なパターンに触れさせる意図があるのだと
思いますので、統一感がありませんが、
ご理解くださいね。
先に進みますよ。
風は、風向も風速も全て数値が0ですね。
これは無風ということです。
視程は、3SM で BR を含む。
BR は、mist と意味しています。
SKC は、Sky is clear です。
次に、TEMPO 1212/1214 の
TEMPO は、Temporary の略で
一時的ということで
その時間帯が、
12日の 1200Z から12日の 1400Z の間ですね。
何が一時的なのかというと
視程が、1/2SM で FG を含むです。
霧の影響で2時間ほど
視程が2分の1マイルに下がる予報ですね。
では、5行目です。
FM131600 は、
また別の天気の変化が
13日の 1600Z から変わるでしょう
ということです。
何が変わるのかは、
VRB06KT の
VRB は、Variable の略で
変わりやすいという意味です。
つまり、風向は一定せず変化しやすいが
風速は、6knots で安定している
という状態ですね。
視程は、P6SM なので
6SM よりも良くなり
Sky is clear の予報ですね。
最後の = は、
予報は以上ですの意味です。
これでおしまい!ってことですね。
では、次に
Will Rogers World 空港 (KOKC) の
TAF の中から
一つだけ触れておきましょう。
2行目を見ると
5日の 1600Z から天気の変化が
予報されていますね。
風に的を絞って見ると
5日の 1600Z から
180°から 10 knots と予報が出ています。
その後、徐々に変化していくのが
5日の 2200Z から5日の 2400Z の時間帯で、
200°から 13 knots 、突風が、20 knots とあります。
ここまで大丈夫ですか?
ですから、5日の 1600Z から
5日の 2200Z までの間が、
180°から 10 knots の予報ということになります。
以上が、基本的な TAF の読み方です。
<まとめ>
TAF (Terminal Aerodrome Forecast)
◎METAR を基にした予報
◎1日4回の通報
◎有効期限は24時間、30時間の所もある
◎記載内容と順序は METAR とほぼ同じ(ただし、温度/露点・高度計規正など観測値は含まない)
◎TAF の予報に記載される唯一の雲は、CB のみ
略語に慣れながら正確に読み取れるようになりましょう。
https://www.weather.gov/media/wrh/mesowest/metar_decode_key.pdf
では、練習問題にトライしてみましょう!
・・・・・・・・・・・・・・・
Q1 : (Refer to figure) What is the valid period for the TAF for KMEM?
A : 1200Z to 1200Z.
B : 1200Z to 1800Z.
C : 1800Z to 2400Z.
(Refer to figure)
:図を参照してください
What is the valid period for the TAF for KMEM?
:何ですか 有効期間は KMEMのTAFの
1200Z to 1200Z.
:1200ズールから1200ズールまで
1200Z to 1800Z.
:1200ズールから1800ズールまで
1800Z to 2400Z.
:1800ズールから2400ズールまで
・
・
・
自力で回答してから音声を聞いてください。
・・・・・・・・・・・・・・・
Q2 : (Refer to figure) The only cloud type forecast in TAF reports is
A : Nimbostratus.
B : Cumulonimbus.
C : Scattered cumulus.
(Refer to figure)
:図を参照してください
The only cloud type forecast in TAF reports is
:唯一の雲の種類の予報は TAFレポートで ~です
Nimbostratus.
:乱層雲
Cumulonimbus.
:積乱雲
Scattered cumulus.
:散在する積雲
・
・
・
自力で回答してから音声を聞いてください。
・・・・・・・・・・・・・・・
Q3 : (Refer to figure) Between 1000Z and 1200Z the visibility at KMEM is forecast to be?
A : 1/2 statute mile.
B : 3 statute miles.
C : 6 statute miles.
(Refer to figure)
:図を参照してください
Between 1000Z and 1200Z the visibility at KMEM
:1000Zと1200Zの間 視程 KMEMの
is forecast to be?
:と予報される
1/2 statute mile.
:1/2スタチュートマイル
3 statute miles.
:3スタチュートマイル
6 statute miles.
:6スタチュートマイル
・
・
・
自力で回答してから音声を聞いてください。
・・・・・・・・・・・・・・・
Q4 : (Refer to figure) What is the forecast wind for KMEM from 1600Z until the end of the forecast?
A : Variable in direction at 4 knots.
B : No significant wind.
C : Variable in direction at 6 knots.
(Refer to figure)
:図を参照してください
What is the forecast wind for KMEM
:何ですか 風の予報 KMEMの
from 1600Z until the end of the forecast?
:1600Zから予報の有効期限まで
Variable in direction at 4 knots.
:風向変わりやすく 風速4ノット
No significant wind.
:重要な風はなし
Variable in direction at 6 knots.
:風向変わりやすく 風速6ノット
・
・
・
自力で回答してから音声を聞いてください。
・・・・・・・・・・・・・・・
Q5 : (Refer to figure) In the TAF from KOKC, the “FM(from) Group” is forecast for the hours from 1600Z to 2200Z with the wind from
A : 180° at 10 knots.
B : 180° at 10 knots, becoming 200° at 13 knots.
C : 160° at 10 knots.
(Refer to figure)
:図を参照してください
In the TAF from KOKC, the “FM(from) Group”
:KOKCのTAFにある FMグループは
is forecast for the hours from 1600Z to 2200Z
:予報です 1600Zから2200Zまでの時間の
with the wind from
:風が~から
180° at 10 knots.
:180°から10ノット
180° at 10 knots, becoming 200° at 13 knots.
:180°から10ノット、200°から13ノットに変わりつつある
160° at 10 knots.
:160°から10ノット
・
・
・
自力で回答してから音声を聞いてください。
・・・・・・・・・・・・・・・
Q6 : (Refer to figure) During the time period from 0600Z to 0800Z, what visibility is forecast for KOKC?
A : Possibly 6 statute miles.
B : Not forecasted.
C : Greater than 6 statute miles.
(Refer to figure)
:図を参照してください
During the time period from 0600Z to 0800Z,
:0600Zから0800Zまでの時間帯で
what visibility is forecast for KOKC?
:どんな視程 予報される KOKCで
Possibly 6 statute miles.
:6スタチュートマイルの可能性
Not forecasted.
:予報されていない
Greater than 6 statute miles.
:6スタチュートマイルよりも良くなる
・
・
・
自力で回答してから音声を聞いてください。
はい。どうでしたか?
ひとつひとつ読み取ることは
意外に大変な作業だったと思います。
ですが、TAF も前回の METAR にしても
書式は同じですし、
一度読み方を覚えてしまえば
どうってことはないはずです。
略語に慣れるまでが
少し時間がかかるかも知れませんが、
コツコツと身につけていってください。
はい。ということで、
今回は以上となります。
今日も最後まで読んでいただいて
ありがとうございます!
ではまた!
コメント
この記事のおかげでTAFの読み方についてぶち当たってた壁を超えることができました。
とても感謝しております。
ありがとうございます。
mitsu様
お返事が大変遅くなってしまい
申し訳ございません。
お役に立てて光栄です。
また何かございましたら
ご連絡ください。
ありがとうございます。