[Aerodynamics:空気力学]
こんにちは!
パイロット免許への水先案内人・須永です!
昨日は仕事で東京に出張に行ってきました。
天気予報では、
そこそこの雨になりそうとのことでしたが、
列車を降りて外を歩くタイミングには
傘を開く必要もないくらいで助かりました。
実は昔から晴れ男なんです。
お守りで折りたたみ傘を持っていきましたが、
使わずに済んで本当に良かったです。
さて、前回は Left Turning Tendency
について説明させていただきました。
◎ P-ファクター
◎ トルク効果
◎ プロペラ後流
これらの原因によって飛行機は
機首を左に向けようする力が働くんでしたよね。
覚えていただけましたか?
簡単にいうと
P-ファクターは
離陸時又は上昇中など迎え角が大きいときに
プロペラ回転面の左右に推力の差
(パイロットから見て右側が強い推力になる)
が生じるために機首は左に
振られるということですね。
トルク効果は
コックピットから見て
時計回りに回転するプロペラとは
反対方向に回ろうとする力が機体にかかることで
左旋回傾向が出るということでしたね。
それからプロペラ後流は
プロペラによって発生するらせん状の空気の流れが
進行方向に対して左側から垂直安定板に
当たることによって左にヨーイングしようとする
ということでした。
大丈夫ですよね?
もし、怪しかったら前回の記事を
読み返してくださいね。
さて、今回は飛行機の速度制限について
お話させていただきます。
Airspeed Limitations(V-Speeds)
(規制Vスピード)
もし、あなたが操縦する飛行機が
引き込み式のランディング・ギアを装備していたら
VLE という速度が設定されていますよ。
maximum Landing gear Extended speed
のことです。
着陸装置(ランディング・ギア)の
引き出し操作の最大速度のことです。
この VLE よりも速い速度で
ランディング・ギアの引き出し操作を行った場合
ランディング・ギアのシステムや構造上において
ダメージを与えてしまうのです。
ランディング・ギアの引き出し操作は
必ず VLE よりも低い速度で行うようにしましょう。
さて、話は変わりますが、
飛行機が離陸後、すぐに高い障害物を
越えなくてはいけない立地条件のある飛行場を
離陸する場合、
できるだけ短い距離で可能な限り
高い高度を確保しなければなりません。
そのときに選定する速度を
VX
Best angle of climb
(Best altitude over distance)
といいます。
覚えてしまいましょう!
Best angle of climb:最大角度 上昇の
Best altitude over distance:最大高度 に関して 距離
つまり、最大の上昇角度を
可能にするスピードということです。
距離に対して最大の高度を確保することを
可能にする速度を Vx というわけですが、
時間に対して最大高度を得るための速度は
VY
Best rate of climb
(Best altitude over time)
といいます。
これも覚えてしまいましょう!
Best rate of climb:最高率 上昇の
Best altitude over time:最大高度 に関して 時間
一定の時間内に最大の高度を得ることを
可能にする速度のことですね。
次に、飛行中に
乱気流(Turbulence)に遭遇した場合、
指定された速度まで減速するように
決められているんですよ。
その速度をマニューバリング・スピード
VA といいます。
ここで覚えていただきたいフレーズがあります。
MANEUVERING SPEED
is not color corded on airspeed indicators.
MANEUVERING SPEED:設計運動速度
is not:ではない
color corded:色で網掛けされた
on airspeed indicators:対気速度計に
MANEUVERING SPEED の値は
対気速度計内に色で網掛けされるなどの方法では
記されてはいませんということです。
速度計には図のように
数字以外にも色の帯が付いているのですが
それぞれに意味があるのです。
それらについては後日
説明させていただきますね。
今日は速度計の中の色の帯には
それぞれ意味があるんだ位に
頭にいれてくださればOKです。
では、私たちパイロットはどこで
VA を知ることができるのでしょう?
それは、
機体のインフォメーション・マニュアル
又はパイロット・オペレイティング・ハンドブックに
記載されている値を覚えておくか、
コックピット内の計器盤上のプラカードに
記されているものを見てください。
さて、乱気流(Turbulence)に
突入してしまったら
VA まで減速することは分かりました。
そこで覚えておかなければならない
フレーズがあります。
IN SEVERE TURBULENCE
Maintain level flight attitude
Allow minor variations in airspeed and altitude
IN SEVERE TURBULENCE:中 過酷な 乱気流
Maintain:維持する
level flight attitude:水平飛行姿勢
Allow:許す
minor variations:小さな 変化
in airspeed and altitude:中で 速度計と高度計
どういうことかというと、
乱気流の中で急激な操作をしてしまうと
機体に大きな負荷が掛かり
構造的なダメージを与えてしまい
最悪の場合は空中分解してしまう
恐れもあるのです。
VA もしくは、それ以下の速度に
落としておけばダメージを受ける前に
翼は失速(Stall)を起こします。
一時的に操縦は難しくなるかも知れませんが
失速が機体に掛かる負荷を減らしてくれるんですよ。
十分な高度があれば、失速は危険なものではありません。
むしろ、パイロットと機体を空中分解から
守ってくれるのです。
それから、乱気流の中ではあらゆる方向から
空気の流れを受けますので、
動圧と静圧を利用している計器も
影響を受けてしまいます。
上記の計器のグループは覚えていますか?
そうです。
速度計・高度計・昇降計でしたね。
これらの指針の示す値は乱れた空気の中で
大きくなったり、小さくなったりを
くり返すことになりますよ。
それを見て、いちいち追いかけるような
操作をしてはいけません。
例えば、
速度が落ちているような値を示しているからといって
不用意に機首下げを行って速度回復操作をしたとします。
その後、速度が回復したと思って
機首上げ操作に入った瞬間に
もし突風が来ていたとしたら
機体に相当な負荷を
かけることになってしまうからです。
乱気流から抜け出すまで冷静に
水平飛行を維持することだけを
心がけましょう。
くり返しになりますが、
乱気流に入ってしまったら
VA に速度を下げて水平飛行を保ち
速度計や高度計の小さな変化には
いちいち反応することなく
抜け出すまでやり過ごすということです。
はい。今回は色々なVスピードについて
説明してきましたが、まとめてみましょう。
VLE:ランディング・ギア引き出し操作の最大速度
VX:距離に対して最大高度を得ることを可能にする速度
VY:時間に対して最大高度を得ることを可能にする速度
VA:乱気流の中で機体が受ける負荷を最小限に抑える速度(設計運動速度)
ということで、練習問題にトライしてみましょう!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
Q1:Which V-speed represents maneuvering speed ?
A : VA
B : VLo
C : VNE
Which V-speed:どの Vスピード
represent:表す
maneuvering speed:マニューバリング・スピード
・
・
・
自力で答えを導き出してから
音声を聞いてください。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
Q2:Which would provide the greatest gain
in altitude in the shortest distance
during climb after takeoff ?
A : VY
B : VA
C : VX
Which:どれ
would provide:だろう 供給する
the greatest gain:最大の 増加
in altitude:高度で
in the shortest distance:最小距離で
during climb:の間 上昇
after takeoff:の後 離陸
・
・
・
自力で答えを導き出してから
音声を聞いてください。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
Q3:What is an important airspeed limitation
that is not color corded on airspeed indicators ?
A : Never exceed speed
B : Maximum structural cruising speed
C : Maneuvering speed
What:どれ
is:です
an important:一つの 重要な
airspeed limitation:速度制限
that is not:ではない
color corded:色で網掛けされた
on airspeed indicators:対気速度計に
・
・
・
自力で答えを導き出してから
音声を聞いてください。
はい。どうでしたか?
今回の内容もそんなに
難しくありませんでしたよね?
今まで通りしっかり日本語で
理解してしまえば
プライベートパイロットの
筆記テストで問われることは
そこまでレベルの高いものではないのです。
大丈夫です。
これからも一緒に頑張っていきましょう!
今日も最後まで読んでいただいて
ありがとうございます!
ではまた!
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