[Aerodynamics:空気力学]
こんにちは!
パイロット免許への水先案内人・須永です!
前回は下記のV-speedsの説明をさせていただきました。
VLE:ランディング・ギア引き出し操作の最大速度
VX:距離に対して最大高度を得ることを可能にする速度
VY:時間に対して最大高度を得ることを可能にする速度
VA:乱気流の中で機体が受ける負荷を最小限に抑える速度(設計運動速度)
もう覚えていただけましたか?
今回はその続きということになります。
え!? まだあるの?
という声が聞こえてくるようですが、
あるんですよ。
パイロットのライセンスを取るために
覚えなくてはならない速度ですから
頑張ってついてきてくださいね。
以前、速度計には仕組みという角度から
触れていますが、
今回は、運用上知っておくべきことについての
お話となりますね。
では、早速始めたいと思います。
速度計を見ると
指針が指す目盛りで速度を
知ることが出来ますね。
単位はノット(knots)を使用するものが主流ですが、
マイル(miles)表示のものもありますよ。
で、目盛りの部分には
白・緑・黄色のアークと
赤いラインが配されているのが
分かりますか?
これらは、カラフルに飾るために
あるのではないんですね。
それぞれちゃんとした意味があるので
しっかりと覚えていきましょう。
先ずは、白いアーク(WHITE ARC)です。
この速度範囲内でフラップの操作が行われます。
英文で覚えてしまいましょう!
WHITE ARC
Flap operating range
WHITE ARC:白色弧線
Flap operating range:フラップ操作範囲
「白色弧線」て堅苦しくないですか?
日本語の本ではこういう訳し方になるのですが、
ホワイト・アークでいきましょう。
例に挙げた図では
55ノット(KTS)から100ノット(KTS)の間
ということですね。
このホワイト・アークの下限は
ランディング・ギアと
フラップを最大に下げて
着陸態勢のとき
パワーをアイドリングにした際の
失速速度を示しているんです。
英文では、
LOWER LIMIT OF WHITE ARC
Power-off stalling speed
with flaps and landing gear in the landing position
LOWER LIMIT:下限
OF WHITE ARC:の ホワイト・アーク
Power-off:アイドリング
stalling speed:失速速度
with:とともに
flaps and landing gear:フラップとランディング・ギア
in the landing position:着陸態勢で
それから、ホワイト・アークの下限の速度を
VSO と呼んでいますよ。
VSO
stalling speed or minimum steady flight speed
in the landing configuration
or:もしくは
minimum :最小源の
steady flight speed:しっかりとした飛行速度
configuration:形状
で、ホワイト・アークの上限の速度を
VFE といってフラップ操作の
最大高度のことです。
VFE
MAXIMUM FLAP EXTENDED SPEED
Top of white arc
次に、グリーン・アークを見てください。
このグリーン・アークは常用運用範囲を表しています。
英語で書くと
GREEN ARC
Normal operating range となります。
このグリーン・アークの下限は
ランディング・ギアも
フラップも引き込んで
巡行態勢のとき
パワーをアイドリングにした際の
失速速度を示しているんです。
英語では、
LOWER LIMIT OF GREEN ARC
Power-off stalling speed
Flap/landing gear retracted
retracted:引込められた
グリーン・アークの上限は
気流が安定している場合以外は
超過してはならない
構造上の巡行最大速度です。
英語では
MAXIMUM STRUCTURAL CRUISING SPEED
となります。
さらに、この構造上の巡行最大速度を
VNO と呼んでいます。
VNO
Velocity Normal Operation
グリーン・アークの上にある
イエロー・アークは警戒範囲です。
英語では
CAUTION RANGE
このコーション・レインジは
気流が安定している場合のみ、
慎重な操縦で飛行することが
許される速度の範囲です。
イエロー・アークの上限の上に
赤いラインが見えますか?
これは超過禁止速度といい
いかなる状態においても
この速度を超過してはなりません。
もし、超過した場合には
構造の破損を生ずる恐れがあるのです。
英語では
RED RADIAL LINE
VNE
Never exceed speed
RED RADIAL LINE:赤色放射線
VNE (Velocity Never Exceed):速さ 決してしてはならない 超える
Never exceed speed:決してしてはならない 超える 速度
このレッド・ラインは
超えてはいけない速度であって
解釈上はスムーズな気流の中で
出すことのできる最大速度ということなんです。
まあ、やってみようとは思いませんけどね。
一応、英語で別の言い方をすると
VNE
Maximum speed flown in calm air
Maximum speed:最大速度
flown:飛行される
in calm air:の中で 穏やかな 空気
はい。今回もたくさん速度について
新しい内容が出てきましたね。
まとめてみましょう。
速度計には
ホワイト・アーク
グリーン・アーク
イエロー・アーク
レッド・ラジアル・ラインが
配されています。
◎ フラップの操作は
このホワイト・アークの範囲内で
行われなくてはいけない。
◎ ホワイト・アークの下限は
ギア・ダウン、フルフラップという
着陸態勢時においてパワーをアイドリングに
した場合の失速速度を意味している。
その時の速度をVSOという。
◎ ホワイト・アークの上限は
フラップ操作の最大速度である。
◎ グリーン・アークは
常用運用範囲を表している。
◎ グリーン・アークの下限は
フラップアップ、ギア・アップの状態で
パワーをアイドリングにした場合の
失速速度である。
◎ グリーン・アークの上限は
穏やかな気流以外では超えてはいけない
構造上の巡行最大速度でVNOで表す。
◎ イエロー・アークは警戒範囲である。
穏やかな気流のときのみ運用される。
◎ レッド・ラインは超過禁止速度である。
決して超えてはいけない。
ということで、今日の説明は以上となります。
では、練習問題にトライしてみましょう!
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Q1:VNO is defined as the
A : normal operating range.
B : never-exceed speed.
C : maximum structural cruising speed.
VNO:(Velocity normal operation)
is defined:定義される
as the:…として
normal operating range:常用運用範囲
never-exceed speed:超過禁止速度
maximum structural cruising speed:構造上の巡行最大速度
・
・
・
自力で答えを導き出してから
音声を聞いてください。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
Q2: What does the red line
on an speed indicator represent ?
A : Maneuvering speed.
B : Turbulent or rough-air speed.
C : Never-exceed speed.
What does:何 です
the red line:レッド・ライン
on an speed indicator:上の 速度計
represent:表わす
・
・
・
自力で答えを導き出してから
音声を聞いてください。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
Q3:(Refer to figure) Which color identifies
the normal flap operating range ?
A : The lower limit of the white arc to
the upper limit of the green arc.
B : The green arcl
C : The white arc.
Refer to figure:図を参照してください
Which color:どの色
identifies:識別する
the normal flap operating range:フラップ操作範囲
The lower limit:下限
of the white arc:の ホワイト・アーク
to:まで
the upper limit:上限
of the green arc:の グリーン・アーク
・
・
・
自力で答えを導き出してから
音声を聞いてください。
はい。説明はごちゃごちゃしていて
脳みそも疲れたかと思いますが、
練習問題をやってみたら
問われるのはこんな感じなんだというのが
分かったと思います。
そうです。
日本語で理解できていれば
誰でも答えられるレベルの問題です。
筆記テストはそこまで
怖いものじゃありませんよ。
これからも一緒に頑張っていきましょう!
ということで、今回は以上となります。
今日も最後まで読んでいただいて
ありがとうございます!
ではまた!
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