他の航空機を回避するために・・・

Flight Operations

[Flight Operations : 運航]

 

パイロット免許への水先案内人

須永です!

 

先週くらいから体調不良が続いていたため

前回の更新から少し時間が空いてしまいました。

本当にお待たせして申し訳ないです。

では早速はじめてみたいと思います。

 

 

前回は、

Crosswind Landing (横風着陸) について

お話しさせていただきました。

 

風上側に機首を向けた (Crabを取った)ままでの

接地は Landing gear (着陸装置) に多大の負荷を

かけてしまうので、

機体の縦軸を機体が動いている方向と平行にする

ということが大事だということは

理解していただけましたか?

 

 

 

今回は、

Avoiding Other Aircraft (他の航空機を回避)

についてお話したいと思います。

 

全てのパイロットは他の航空機と出合い頭のように

遭遇するなんてことは望んではいませんよね。

 

では、どのようにしてそんな状況を

避ければいいのでしょうか?

 

私たちが取得する情報の80%は

視覚によるものです。

 

ですから、日中のフライトで一番効率的なものは

何といっても目視によるチェックです。

 

VFR機は特定のエリア以外の場所では

基本的に自分の目が一番頼りになるわけですね。

 

しかし、人間の身体は機械ではありませんから

特徴や弱点などをよく把握していることも

とても大事なこととなりますよ。

 

目の機能としては、

何かを見ようとしてしっかりと捉えるまでに

数秒以上かかってしまうのです。

 

特に異なる距離に焦点を合わせる場合です。

 

コックピット内の計器を確認した後に

外の遠くのものに目をやる。

 

一瞬で焦点を合わせることは難しいということを

頭に入れておいてくださいね。

 

それから、視野の焦点が非常に狭いということです。

 

おおよそ200度の弧を可視化することは可能ですが、

大きくても15度未満の範囲までしか正確に

捉えることは出来ません。

なので、一連の中で

規則的に監視する方向を

目を小さく動かしながら

10度ほどの狭い範囲ずつ

ずらしていくというやり方です。

 

SCANNING  DURING  DAYLIGHT  HOURS

Use short eye movements

to search each 10 degree sector

 

SCANNING  DURING  DAYLIGHT  HOURS

:見る の間 日中時間

Use short eye movements

:使う わずかに目を動かすこと

to search each 10 degree sector

:監視するため 10度の範囲ごと

 

 

直進水平飛行中、前方の他にも

右方向や左方向にも目を配るは当然のことですね。

 

ただし、全方向を通しで監視することは

望ましくありません。

 

前方の監視が終わったら一呼吸した後に

右方向又は左方向を監視し始めます。

 

常に僅かながらにでも目を動かし続けていると

目にもストレスが溜まってしまい

いざという時に焦点が合わせにくくなってしまう

恐れがあるからです。

 

SCANNING  TO  RIGHT  AND  LEFT

Focus on different segments of the sky

for short intervals

 

SCANNING  TO  RIGHT  AND  LEFT

:見る 右と左を

Focus on different segments of the sky

:焦点を合わせる 違う範囲 空の

for short intervals

:短い間隔の間

 

 

さて、

他の航空機を発見した際に

自分の目線から

その航空機が左から右へ

または右から左へ

あるいは上から下へや下から上へと

移動して見えていれば

大きな問題はありません。

気をつけなけらばいけないのは、

もしもその航空機が見かけ上、

動いていないように見える場合です。

 

自分の視点の一か所にとどまりながら

徐々に大きく見えるように

なってきているのであれば

これは要注意な状態なんです。

一体何を意味しているのかというと

その航空機とあなたの機体は

コリジョンコースに乗っているということなのです。

 

Collision Course (コリジョンコース/衝突針路) とは

双方のコースが交わる角度が変化しないまま

接近するコースのことです。

 

コースの交わる角度が変化するように操舵しなければ、

やがて衝突する危険を回避できないのです。

 

周辺視野では、相対角度が変化しない物体に対する

認識力は意外なほど低いのです。

 

このため発見も遅れがちになるため

本当に注意が必要なこととして

認識しておきましょう。

 

AIRCRAFT  ON  COLLISION  COURSE

Provides no apparent relative motion

 

AIRCRAFT  ON  COLLISION  COURSE

:航空機 コリジョンコース上の

Provides no apparent relative motion

:提供する はっきりしない 相対運動

 

 

次に Haze (もや/霞) が、かかった日は

やっかいですよ。

なぜなら Haze の中に現れた

他の航空機や地形は

実際の距離よりも

遠くに見えてしまうからなんです。

 

対象物まではまだ遠いから大丈夫だなんて

勘違いしてしまう可能性があるのです。

 

HAZE

Traffic and terrain appear

further away than actual distance

 

HAZE

:もや/霞

Traffic and terrain appear

:他の航空機と地形 ように見える

further away than actual distance

:さらに遠く 実際の距離より

 

 

以上が日中の監視の方法と注意点です。

 

では、夜間の場合はどうなるのでしょう?

 

夜間においては先程少し触れましたが

Peripheral Vision (周辺視野) を使うことがベストなんです。

 

この周辺視野というのは

風景を眺めたり、コップを持ち上げるなどといった

動作の時に無意識で見ている状態のことをいいます。

 

視野の周辺部の広い範囲の動きや位置を

漠然と捉えることができるので

一度に得られる情報量が多いのですが、

色や型を捉えているだけで

きちんとした認識はないのです。

 

動いているものに対しては

反応が早いというのが特徴になりますね。

 

少し回りくどい言い方になりましたが、

簡単に言うと

物体を直視せず少しずらして見るということです。

FAAでは、この見方のことを

Off Center Viewing という言葉を使っています。

 

小さい区分ごとにスキャンすることは

変わりありませんが、

ゆっくり行うことが大事ですよ。

 

 

それから夜間飛行に適応するための

目の機能を準備する必要があるんですね。

 

それは、フラッシングライトのような

明るい光を見ることを避けなくていけません。

もしもストロボライトが目に入ってしまった場合は

少なくとも30分間あけてから出発してください。

 

なぜなら白い明るい光は目の機能の適応を

一瞬にして破壊してしまうからなんですね。

 

Haze コンディションや夜間は

目視力が制限されるので要注意です。

 

 

ここで質問です。

 

一番衝突事故が起こりやすいのは

どんな条件下だと思いますか?

 

これは、意外にも

良く晴れた昼間なんです。

 

一番他の航空機の存在を確認しやすい

条件下であるにもかかわらず

なぜそんなことになってしまうのでしょう?

良いコンディションであれば

レジャーとして楽しむ航空機を含む

より多くの機体が飛んでいるということが

まずあげられます。

 

また、視程が良すぎることで

パイロットもリラックスしてしまうことも

あると思います。

 

それから気の知れた友人や家族を

乗せているとツアーガイドのような

行為をしてしまいがちです。

心理的に警戒する意識が

甘くなってしまうのが原因です。

 

とにかくパイロットとして

同乗している全員の命を預かっている

ということを忘れずに

他の航空機の接近に対する警戒を

怠ってはいけないのです。

 

 

Haze や夜間など薄暗くて視程が悪く

他の航空機の発見が遅れてしまいそうな

条件下では

FAA は次のことをリクエストしています。

 

高度10,000フィート未満のエリアを

飛行している場合は

常にランディングライトを ON にするようにと。

これは本当に重要なことです。

規則ではないのですが、

視程が悪いときには

自分の存在を周りに知らせるためにも

積極的に実施するようにしましょう。

 

OPERATION  LIGHTS  ON

Below 10,000 feet

 

OPERATION  LIGHTS  ON

:実施 ライトオン

Below 10,000 feet

:10,000フィート未満

 

 

<まとめ>

他の航空機を回避

目視によるチェックが一番効果的である

 

日中の監視

小さな目の動きを用いて

水平方向に10度ずつの区分を見る

 

右方向や左方向のように

違う区分見る場合は通しで行わず

短いインターバルを取ること

 

目で捉えた対象機の見える角度に

変化がないとき互いに

Collision Course (衝突針路) に乗っている

 

Haze (もや/霞) の中では対象物が

実際の距離より遠くに見える

 

 

◎夜間の監視

Peripheral Vision (周辺視野)

= Off Center Viewing を用いる

 

出発前少なくとも30分間は

白く明るい光を見ないこと

 

 

衝突事故が一番起こりやすいのは

晴天の日中である

 

視程が悪いとき

高度10,000フィート未満のエリアでは

常にランディングライトを点灯する

 

 

 

では、練習問題にトライしてみましょう!

・・・・・・・・・・・・・・・

Q1  :  What is most effective way to use the eyes during night flight ?

 

A  :  Look only at far away, dim lights.

B  :  Scan slowly to permit off center viewing.

C  :  Concentrate directly on each object for a few seconds.

 

 

What is most effective way to use the eyes

:何ですか 最も効果的な 目の使い方

during night flight 

:夜間飛行中

Look only

:~だけ 見る

at far away, dim lights

:遠くの 薄明かり

Scan slowly to permit off center viewing.

:見る ゆっくり 許して オフセンターヴューを

Concentrate directly on each object for a few seconds.

:集中する 直接 目標ごと 数秒間

自力で答えを導き出してから

音声を聞いてください。

 

・・・・・・・・・・・・・・・

Q2  :  What effect does haze have on the ability to see traffic or terrain features during flight ?

 

 

A  :  Haze causes the eyes to focus at infinity.

 

B  :  The eyes tend to overwork in haze and do not detect relative movement easily.

 

C  :  All traffic or terrain features appear to be further away than their actual distance.

 

 

 

What effect does haze have on the ability to see

:どんな現象ですか もや/霞の持つ 性質 見え方

traffic or terrain features during flight ?

:航空機の往来や地形の見た目 飛行中

Haze causes

:もや/霞は原因となる

the eyes to focus at infinity.

:目が焦点を合わせること 無限遠で

The eyes tend to overwork in haze

:目は傾向にある 過度に働く もや/霞の中で

and do not detect relative movement easily.

:そして 見つけない 相対運動を 簡単に

All traffic or terrain features appear

:全ての航空機や地形の見た目 ~のように見える

to be further away than their actual distance.

より遠くに それらの実際の距離よりも

 

・・・・・・・・・・・・・・・

Q3  :  How can you determine if another aircraft is on a collision course with your aircraft ?

 

 

A  :  The other aircraft will always appear to get larger and closer at a rapid rate.

 

B  :  The nose of each aircraft is pointed at the same point in space.

 

C  :  There will be no apparent relative motion between your aircraft and the other aircraft.

 

 

 

How can you determine

:どのようにあなたは確定できるか

if another aircraft is on a collision course

:もし他の航空機 衝突針路にある

with your aircraft ?

:あなたの航空機と

The other aircraft will always appear

:他の航空機 常に~ように見えるだろう

to get larger and closer at a rapid rate.

:大きく 近く 急速に

The nose of each aircraft is pointed

:各航空機の機首 向けられる

at the same point in space.

:空間の同じポイントに

There will be no apparent relative motion

:はっきりしないだろう 相対運動

between your aircraft and the other aircraft.

:あなたの航空機と他の航空機の間で

自力で答えを導き出してから

音声を聞いてください。

 

・・・・・・・・・・・・・・・

Q4  :  What preparation should a pilot make to adapt the eyes for night flying ?

 

A  :  Wear sunglasses after sunset until ready for flight.

B  :  Avoid red lights at least 30 minutes before flight.

C  :  Avoid bright white lights at least 30 minutes before flight.

 

 

What preparation should a pilot make

:どんな準備 パイロットすべきか

to adapt the eyes for night flying ?

:適応させるため 目を 夜間飛行のため

Wear sunglasses after sunset

:着用する サングラス 日没後

until ready for flight.

:フライト準備整うまで

Avoid red lights at least 30 minutes before flight.

:避ける 赤い光 少なくとも30分間 フライト前の

Avoid bright white lights at least 30 minutes before flight.

:避ける 明るい白い光 少なくとも30分間 フライト前の

自力で答えを導き出してから

音声を聞いてください。

 

・・・・・・・・・・・・・・・

Q5  :  The most effective method of scanning for other aircraft for collision avoidance during daylight hours is to use

 

 

A  :  regularly spaced concentration on the 3-, 9-, and 12-o’clock position.

 

B  :  a series of short, regularly spaced eye movements to search 10-degree sector.

 

C  :  peripheral vision by scanning small sectors and utilizing off-center viewing.

 

 

 

The most effective method of scanning for other aircraft

:最も効果的な方法 他の航空機を見る

for collision avoidance

:衝突回避のため

during daylight hours

:日中の時間帯

is to use

:~を用いることです

regularly spaced concentration

:規則正しく 区別に 集中

on the 3-, 9-, and 12-o’clock position.

:3時、9時、それと12時の方向において

a series of short, regularly spaced eye movements

:一連の 短く 規則正しい 区別の 目配り

to search 10-degree sector.

:10度の範囲ずつ

peripheral vision

:周辺視野

by scanning small sectors and utilizing off-center viewing.

:狭い範囲を見ることとオフセンターヴューイングを利用することによる

自力で答えを導き出してから

音声を聞いてください。

 

・・・・・・・・・・・・・・・

Q6  :  Most midair collision accidents occur during

 

A  :  haze days.

B  :  clear days.

C  :  cloudy nights.

 

 

Most midair collision accidents occur during

:最も空中衝突事故が起こる ~の間に

haze days.

:もや/霞の日

clear days.

:晴天の日中

cloudy nights.

:曇りの夜間

自力で答えを導き出してから

音声を聞いてください。

 

・・・・・・・・・・・・・・・

Q7  :  The Aeronautical Information Manual (AIM) specifically encourages pilots to turn on their landing lights when operating below 10000 feet, day or night, and especially when operating

 

A  :  in Class B airspace.

B  :  in conditions of reduced visibility.

C  :  within 5 miles of a controlled airport.

 

 

The Aeronautical Information Manual (AIM) specifically encourages pilots

:航空情報マニュアル 奨励します パイロットに

to turn on their landing lights

:点灯すること 彼らのランディングライトを

when operating below 10,000 feet, day or night,

:10,000フィート未満で飛行中 昼でも夜でも

and especially when operating

:特に以下の運航中には

in Class B airspace.

:クラスBの空域内

in conditions of reduced visibility.

:視程の悪くなって条件下

within 5 miles of a controlled airport.

:管制された空港から5マイル以内

自力で答えを導き出してから

音声を聞いてください。

 

はい。どうでしたか?

 

今回は、今までになく

練習問題が7問ということで

長丁場でしたが、

お疲れさまでした。

 

まあ、問題数は多かったと思いますが、

ひとつひとつについては

それほど難しい内容ではなかったはずです。

 

これからもコツコツと前進していきましょうね。

 

ということで、今回は以上となります。

今日も最後まで読んでいただいて

ありがとうございます!

ではまた!

 

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