空間識失調とは・・・?

[Flight Operations : 運航]

パイロット免許への水先案内人

須永です!

 

前回は、

Carbon Monoxide (一酸化炭素) について

お話しさせていただきました。

 

見えもしなくて臭いもなく

忍び寄る一酸化炭素の危険について

理解していただけましたか?

 

 

 

今回は、

Spatial Disorientation (空間識失調) 

についてお話したいと思います。

エアロバティックは見ていて

とても凄いですよね。

あれだけ激しい動きをしていても

彼らは自分のポジションや姿勢

進んでいる方向など

しっかりと把握できています。

一般的なパイロットや

エアロバティック初心者が

同乗したとしたら

自機が今どういう状態で

飛行しているのか?

慣れないうちは

脳はすぐ混乱に陥るでしょうね。

このことは簡単に想像できると思います。

ところが、そんな激しい動きをしなくても

自機のポジション、姿勢、進行方向などが

一時的に分からなくなってしまう現象が

起こることがあるのです。

これを

Spatial Disorientation (空間識失調)

といいます。

SPATIAL  DISORIENTATION

Temporary confusion

from misleading sensory information

SPATIAL  DISORIENTATION

空間識失調

Temporary confusion 

:一時的な 混乱

from misleading sensory information

:による 紛らわしい 感覚 情報

では、どんな場合に起こるのでしょうか?

視程が悪いときや雲の中などでは

外部も見えにくく

特に水平線が見えないので

天地や自機の傾きが

分からなくなってしまうのです。

また天候が良くても夜間では

起こりやすいと言われています。

夜間は光が少なく錯覚で水平線を

判断できなくなってしまうのです。

実際の水平線の灯りとは別のものが

水平線のように見えたり、

地上の灯りを星の光と

間違えてしまうこともあるそうです。

上下が逆さまに思えてしまう錯覚は

本当に危険です。

水平線が見えるということは

パイロットにとってとても

大事なことなんですね。

一度狂った感覚に陥ると修正できないまま

墜落してしまうケースもあるのです。

これは初心者、ベテランを問わず

誰にでも起こり得ることなのです。

それだけ人間の感覚というのは

いい加減なんですね。

遠心力や荷重方向を人間の身体は

機械のように測定できません。

ですから過信してはいけませんよ。

MORE  SUBJECT TO 

SPATIAL  DISORIENTATION

when no visual cues

MORE  SUBJECT TO 

:よりかかりやすい

SPATIAL  DISORIENTATION

:空間識失調

when no visual cues

:視覚の手がかりが無いとき

では、どんな対処法があるのでしょうか?

それは、

飛行計器が示す情報

(機体の姿勢・上昇または下降の有無・旋回の有無など)

をそのまま信じるということです。

VFR機は雲の中に入ることは違法です。

しかし、間違って入ってしまった場合

外は真っ白で水平線は言うまでもなく

何も見えなくなってしまったとしたら・・・

慌てず飛行計器を信じて飛行しつつ

雲から脱出しましょう。

自分の感覚だと

”機体がターンしているように感じる”

でも、

”飛行計器はレベルフライトの表示”

そんな時は

自分の感覚は無視して

とにかく飛行計器を信じることです。

飛行計器を信じることだけが唯一

Spatial Disorientation の危機から

逃れられる手段です。

<まとめ>

Spatial Disorientation

雲の中など視程が悪く

外部が見えない条件下で

自機の飛行状態が

分からなくなってしまう現象のこと

例)実際は直進水平飛行していても

水平線が見えないがために

ターンをしているんじゃないかと

錯覚を起こしてしまう

対処法

自分の感覚は混乱していて当てにならないので

飛行計器の表示を全面的に信用して飛行すること

ということで、練習問題にトライしてみましょう!

・・・・・・・・・・・・・・・

Q1  :  A state of temporary confusion resulting from misleading information being sent to the brain by various sensory organs is defined as

A  :  spatial disorientation.

B  :  hyperventilation.

C  :  hypoxia.

A state of temporary confusion

:状態 一時的 混乱

resulting from

:起因する

misleading information 

:紛らわしい 情報

being sent to the brain

:送られる 脳に

by various sensory organs

:色々な 感覚器官によって

is defined as

:~と定義される

spatial disorientation.

:空間識失調

hyperventilation.

:過呼吸

hypoxia.

:低酸素症

自力で回答してから

音声を聞いてください。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

Q2  :  Pilots are more subject to spatial disorientation if

A  :  they ignore the sensation of muscles and inner ear.

B  :  visual cues are taken away, as they are in instrument meteorological conditions (IMC).

C  :  eyes are moved often in the process of cross-checking the flight instruments.

Pilots are more subject to

:パイロット より陥りやすい

spatial disorientation

:空間識失調

if

:もし~なら

they ignore the sensation 

:彼ら 無視する 感覚

of muscles and inner ear.

:筋肉と内耳の

visual cues are taken away,

:見える手がかり 奪われる

as they are in instrument meteorological conditions (IMC).

:計器気象条件に入ったように

eyes are moved often 

:目が動かされる しばしば

in the process of

:~の途中で

cross-checking the flight instruments.

:十字チェック 飛行計器

自力で回答してから

音声を聞いてください。

・・・・・・・・・・・・・・・

Q3  :  The danger of spatial disorientation during flight in poor visual conditions may be reduced by

A  :  shifting the eyes quickly between the exterior visual field and the instrument panel.

B  :  having faith in the instruments rather than taking a chance on the sensory organs.

C  :  leaning the  body in the opposite direction of the motion of the aircraft.

The danger of spatial disorientation

:危険 空間識失調の

during flight in poor visual conditions

:飛行中 視程の悪い条件での

may be reduced by

:減らされるだろう ~によって

shifting the eyes quickly

:移動させる 目を 素早く

between

:~の間

the exterior visual field and the instrument panel.

:外部視野と計器盤

having faith in

:信じる

the instruments

:計器を

rather than

:のではなく

taking a chance

:一か八かやる

on the sensory organs.

:感覚器官で

leaning the  body

:傾ける 身体を

in the opposite direction

逆方向に

of the motion of the aircraft.

:航空機の動きの

自力で回答してから

音声を聞いてください。

はい。どうでしたか?

何度かにわたってパイロットの身体に

影響を及ぼす事例についてお話してきました。

車の運転時には受けないような現象も

たくさんありましたね。

改めて飛行機は特別な乗り物なんだということに

気づかれたんじゃないですか?

今回でフィジカルな内容は終わりです。

次回からは滑走路備えられているライト等に

関する内容に入っていきますので

楽しみにしていてくださいね。

ということで、今回は以上となります。

今日も最後まで読んでいただいて

ありがとうございます!

ではまた!

 

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