磁気コンパスのエラーの原理って?

[Flight Instruments:航空計器]

こんにちは!

パイロット免許への水先案内人・須永です!

お待たせしました。

磁気コンパスのエラーについて

説明に使えそうな小道具が用意できました。

かなり手作り感満載ですが、

こういう物の方がかえって記憶に

残り易かったりしたりして・・・。

では、早速いってみましょう。

先ず下の写真を見てください。

この磁気コンパスを分解して

中で回転するコンパスカードを

取り出して分かりやすい模型にしたのが

これです。

Nは当然、北ということですね。

つまり360度を意味しています。

以前にもお話したと思いますが、

方位を表すときは3桁の数字を使っています。

北は起点なので本来は0度となっていいのですが、

3桁で表す場合000度となり、

ややこしいですよね。

それよりは360度と言った方が

間違いがないということで

北を数字で表すときは360度となるんです。

で、Nの右に数字の33とありますよね。

これは、コンパスカードのスペースを考えて

あえて2桁で表記していますが、

実際は330度を意味しているんですよ。

左側の03は030度ということですね。

つまり、全ての表記の

一の位の0が省略されているんです。

続いて、

N(360)から330までの目盛りを見てください。

3つ目が330ということは、

360-330=30度などで

一目盛りは10度ということになりますよ。

ここまで大丈夫ですか?

次に目盛りの配置をよく見ると

勘のいいあなたなら

「あれ?」と思っていませんか?

普通、方位を表すときは

飛行方位計(Heading Indicator)のように

Nから時計回りに360度進んでいくじゃないですか!?

でも、コンパスカードの目盛りは

正反対になっていませんか?

Nの右が330度の目盛りで

Nの左に030度の目盛りがきていますね。

なぜなんでしょう??

これは目線の違いによるものなんですよ。

Heading Indicatorをもう一度見てください。

計器の中心に飛行機が描かれていますよね。

計器自体の仕組みは

この描かれた飛行機は動かずに

方位の目盛りが回転する仕組みになっています。

これに対して磁気コンパスの仕組みは

原則として磁気コンパスの磁石は

常に磁北を指し続けています。

その磁気コンパスに対して

飛行機がどの方向に機首を向けているのかを

示す仕組みになっているんです。

上の写真は磁方位360度に向かって飛行中です。

そこから右旋回をして磁方位030度にすると

下の写真のような位置関係になります。

さらに旋回を続けて磁方位060度を取ると

下の写真のように示すのです。

つまり、操縦席から磁気コンパスを

見ながら旋回をすると

見かけ上はコンパスカードが回転しているように

見えるのですが、

実際は磁北を指し続けるコンパスカードに対して

飛行機の方が動いているんです。

このことが頭に入ってしまえば

磁気コンパスの読み方は、ばっちりですよ!

さて、今回の本題に入っていきましょう。

磁気コンパスのエラーに

加速時と減速時に起こるものがありましたよね。

A・N・D・S(アンズ)

もう覚えていただけましたか?

A:acceleration(加速)

N:north(北)

D:deceleration(減速)

S:south(南)

加速すると北を指して

減速したら南を指すってやつですね。

どうしてこのようなことが起こるのでしょう?

磁気コンパスの構造の話は覚えていますか?

コンパスカードがケロシン(灯油)の中を

プカプカと浮いているだけの簡単な構造でしたね。

例えばこんな実験を考えてみてください。

水の入ったバケツを台車に乗せて

勢いよく動かしたとすると

水面は進行方向と逆側が盛り上がって

高くなりますよね。

これと同じようなことが

磁気コンパス計器の中でも起こるんですよ。

機体が加速すると

下図のようにコンパスカードが

傾きます。

ここまでは大丈夫ですか?

では、その現象は一旦置いておきましょう。

そもそも磁気コンパスはどこを

指すんでしたっけ?

そうですね。磁北です。

では、その磁北はどこにありますか?

地球が一つの磁石だとすると

磁北は地表となりますよね。

空気中には存在しません。

そこで話を戻しますよ。

このように傾いたコンパスカードの指針は

磁北のある地表方向に向きたがるわけです。

コンパスカードの回転面が水平なら

何も起こりませんが、

回転面が少しでも傾いて

縦回転の要素が生まれたときに

指針は地上に向かって動くということなんですね。

それに対して減速した場合は

正反対の動きになりますよ。

ここで回転面が傾いたことで

指針は地上方向を指すのです。

どうですか?

加速時と減速時のエラーの原理は

分かりましたか?

このAccelerationDecelerationのエラーは

東寄り(Easterly)

西寄り(Westerly)に機首方位を取っている場合に

起こるんです。

ここ大事なので押さえておきましょうね。

ところで、この加速や減速時の

影響を受けない機首方位があるのですが、

分かりますか?

そうです。

機首方位360度(北)と180度(南)に向かって

飛んでいるときのみこのエラーは生じません。

はい。このことを英文で覚えてしまいましょう!

Acceleration/Deceleration Errors

occur only on easterly or westerly headings.

(Northern Hemisphere)

Acceleration/Deceleration Errors:加速・減速エラー

occur:起こる

only:だけ

on easterly or westerly headings:東寄り又は西寄りの機首方位のとき

(Northern Hemisphere):北半球

North or South heading has no effect on compass.

North or South heading:北もしくは、南の機首方位

has:持つ・ある

no effect:影響なし

on compass:コンパスで

例えば、東寄り又は西寄りの機首方位で飛行中

ターンもしていないのに磁気コンパスの表示が

北方向を示したとします。

機体に何が起こっているのかというと

お分かりですか?

そうです。

加速してますってことです。

さて、

北もしくは、南の機首方位で飛行中の

加速時・減速時のエラーはありません

ということなんですが、

別のエラーがあるんでしたよね?

Compass Turning Errors(コンパス旋回時エラー)

N・O(ノー)と

C・O・S・U・N(コースン)

て覚えていますか?

N:north(北)

O:opposite(反対の)

N・O(ノー)とは、

磁方位360度(北)から旋回を開始すると

磁気コンパスの初動は反対を

表示するエラーが生じるということですね。

上の写真は磁方位360度(北)に向かって

飛行しているところです。

ここから右旋回を開始すると

機体は右にロールをしますよね。

磁気コンパス計器は操縦席の計器盤に

固定されて装備されているので

当たり前ですが、機体と同じ傾きをするわけですね。

するとコンパスカードの回転面が

水平でなくなりますよね。

= 縦回転の要素が入ってくるわけです。

ということで、コンパスカードの指針は

地上方向を指そうとするんですよ。

すると、実際の機体は右旋回を

開始していますから方位は360度から030度方向へ

向かっているのに、上の写真のように

コンパスカードの目盛りは330度の方を指すことに

なってしまうんですね。

逆に磁方位360度(北)から左旋回を開始する場合は

全く反対のエラーが生じるわけなんです。

このように

磁方位360度(北)から旋回を開始すると

磁気コンパスの初動は反対を

表示するエラーが生じるということですね。

覚え方はN・O(ノー)です。

では、逆に磁方位180度(南)から

旋回をする場合は、どうなるのか?

もう察しのいいあなたなら

予想はつきますよね!?

はい。

N・O(ノー)とは全く逆の動きになるんですよ。

磁方位180度(南)から旋回を開始するために

ロールすると磁気コンパスの初動は

方向は同じなんですが、

実際の機首方位よりコンパスカードの目盛りは

先に進んでしまいます。

つまり先行してしまうエラーが生じるということです。

これを覚えるための言葉が

C・O・S・U・N(コースン)です。

このC・O・S・U・N(コースン)は

N・O(ノー)の説明も含んでいますよ。

C:compass(コンパス)

O:overshoots(超え過ぎる)

S:south(南)

U:undershoots(届かない)

N:north(北)

「コンパスは、

オーバーシュートするのは南から

アンダーシュートするのは北から」

ということをいっているんです。

またまた英文で一つ覚えてしまいましょう!

Heading of south start a turn to the right

compass will indicate a turn to the right

but at faster rate.

Heading of south:南の機首方位

start:始める

a turn to the right:右への旋回

compass:コンパス

will indicate:表示するだろう

a turn to the right:右への旋回

but:しかし

at faster rate.:早い比率で

OK!

では、最後に

Magnetic Deviation Errors

についての話ですね。

磁気コンパスは方位磁針の一種ですので

機体の磁気や振動などの影響を

受けてしまいます。

操縦席周りには電気系統で動く

計器なども多数ありますし、

機体を空中に浮かすだけの馬力を

備えたエンジンが放つ振動も

バカになりません。

これらによって自差( Deviation)が

生じるということなんですね。

この自差( Deviation)は当然ですが、

機体ごとに違いますよ。

地上で全ての機器を作動させた状態で

誤差を計測しておきます。

その誤差の修正値が磁気コンパスには

取り付けられているんです。

上の表を見てください。

例えば、磁方位360度(北)を取りたいとき

Nの下の値は001とありますね。

これは飛行時に磁気コンパスを001度に

合わせれば360度(北)に

きちっと向いてますよってことです。

その誤差は1度ですね。

または、300度に合わせたければ

その磁気コンパスで302度に

合わせてあげればいいということになりますよね。

以上で磁気コンパスのエラーについての

説明は終了となります。

これらのことを押さえておけば

筆記テスト対策は問題ないと思いますよ。

今回はかなりボリュームがありましたが、

繰り返し読み返してくださいね。

じゃ、慣れるために早速ですが、

ちょっとだけ練習問題にトライしてみましょう!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

Q1:In the northern Hemisphere, a magnetic compass

will normally indicate a turn toward the north if

A  :  a left turn is entered from a west heading.

B  :  an aircraft is decelerated while on an east or west heading.

C  :  an aircraft is accelerated while on an east or west heading.

In the northern Hemisphere:北半球で

a magnetic compass:磁気コンパス

will:だろう

normally indicate:普通表示する

a turn:旋回・ターン・回る

toward:・・・の方へ

if:もし

is entered:入られる

from:から

a west heading:機首方位西(ウエスト・ヘディング)

is decelerated:減速される

while:・・・する間

is accelerated:加速される

自力で答えを導き出してから

音声を聞いてください。

Q1

Q2:In the northern Hemisphere, a magnetic compass

will normally indicate initially a turn toward the west if

A  :   a left turn is entered from a north heading.

B  :  a right turn is entered from a north heading.

C  :  an aircraft is accelerated while on a north heading.

initially:初めに

自力で答えを導き出してから

音声を聞いてください。

Q2

はい。いかがでしたでしょうか?

難しかったですか?

今、間違えたとしても全然大丈夫です。

今回の内容を何度も何度も

読み返してください。

日本語で理解できてしまえば

英語ではどんな表現になるのかを

押さえるだけでいいのです。

もし、分からないことがあったら

どんな小さなことでも構いませんので

聞いてくださいね。

一緒に頑張っていきましょう!

ということで今回は以上となります。

今日も最後まで読んでいただいて

ありがとうございます!

ではまた!

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