[Flight Instruments:航空計器]
こんにちは!
パイロット免許への水先案内人・須永です!
いや~、一週間ぶりの更新です。
以前にもお伝えしていますが、
本業の繁忙期に入り
現在の平均睡眠時間は3時間もない状況です。
毎日更新していきたいのですが、
やはり4月は厳しいので
週一回となりますが、
お許しください。
では、早速ですが次の計器の説明に
入りたいと思います。
今回は旋回釣合計
(Turn Coordinator・ターンコーディネーター)
ですね。
その前に飛行機の動きについて
知っていいただきたいことがあります。
飛行機の重量の中心である重心を
Center of Gravity : CGというのですが、
飛行機の全ての動きはこの重心を
中心とした回転運動となるんです。
※重心は人や荷物などの搭載状況によって
変化(移動)します。
これについてはウエイト&バランスのところで
詳しくお話したいと思います。
で、その回転運動というのは
3つの軸の回転運動なんですね。
①:横軸(Lateral Axis:ラテラル アクシス)
②:縦軸(Longitudinal Axis:ロンジチューディナル アクシス)
③:垂直軸(Vertical Axis:ヴァーティカル アクシス)
これら3つの軸は常に飛行機の
重心を通っているんですね。
では、それぞれについて触れていきましょう。
まず、横軸です。
横軸まわりの回転運動(Pitch:ピッチ)は
簡単にいってしまうと
操縦桿を引いたり押したりすることで
昇降舵(Elevator)の作用によって
機首が上がってり下がったりする
運動のことです。
次に、縦軸まわりの回転運動(Roll:ロール)は
操縦桿を車のハンドルのように
左右に回すことによって
補助翼(Aileron:エルロン)が作動して
左右の翼の揚力を増減させて
ロールという動きが発生します。
補助翼というのは左右対照の動き方をします。
操縦桿を左に回すと左の補助翼は上に動き
左翼の揚力を減少させ、
右の補助翼は下に動いて
右翼の揚力を増加させます。
これによって
右の翼が上がり
左の翼が下がることになり
機体は縦軸に対してローリングするんですね。
最後は、垂直軸のまわりの回転運動(Yaw:ヨー)です。
方向舵(Rudder:ラダー)と呼ばれる
垂直尾翼の後縁に取り付けられている可動翼面で
垂直軸まわりの回転運動をコントロールしています。
ラダーの操作はコックピットの床にある
ラダーペダルを足で押すことによって
左右に動かすことができます。
右のペダルを踏み込めば機首は右に振れ
左のペダルを踏み込めば逆に左に振れる
ようになっているんですよ。
この3軸の動きが分かったところで
今回の計器の話にやっと入っていくのですが、
旋回釣合計(Turn Coordinator:ターンコーディネーター)は
何をパイロットに教えてくれるのかというと
ヨー(Yaw)と初動時のロール(Roll)を知らせてくれんですよ。
ターンコーディネーターの中心に
飛行機の形をした針(ミニチュアプレーン)がありますね。
この飛行機の形をした針が
左に傾いたとしたら
機体は左方向にヨーイングしてますよって
ことなんです。
反対に右に傾いたとしたら
機首は右方向にヨーイングしてますってことです。
直進飛行中では飛行機の形をした針の
翼は水平を指示しています。
ミニチュアプレーンの両翼端は
水平の目盛りを指していますね。
旋回することによって
飛行機の形をした針が旋回方向に
傾くのですが、
これは下図の姿勢指示器が示すバンクを
表しているものではありません。
ここは混同しないようにしてくださいね。
ターンコーディネーターは
バンクではなく旋回率を表します。
ただし、実際に実機に乗って
ターンコーディネーターの動きを
目の当たりすると
ローリングを示しているように
感じるかも知れません。
というのは、飛行機の形をした針の動きは
正にローリングそのものの動きと
同じように動くんですね。
しかも、機体が旋回に入るために
ローリングを開始した動きにも
反応するので
あたかもローリングを示しているように
錯覚してしまうのです。
ターンコーディネーターが普及する前は
下の画像のような
ターン・アンド・スリップ・インディケーター
という計器が主流で搭載されていました。
このターン・アンド・スリップ・インディケーターも
旋回率を示す計器なのですが、
2つの計器には相違点があるのです。
それは何かというと
ターンコーディネーターの電動ジャイロ軸が
飛行機の前後の縦軸に対して
約35度の角度を持っていることです。
それによって、飛行機の動きが
垂直軸、前後の縦軸
どちらの軸に対するものであっても
計器の針はその動きの方向に対して
傾くようになっているのです。
(ターン・アンド・スリップ・インディケーターは、垂直軸に対するヨーの力にしか反応せず、縦軸のロールの力には反応しません。)
ターンコーディネーターは、
その計器の心臓部であるジャイロ軸が
前後(縦軸)に対して傾斜しているので
横転率を感知することができて
パイロットに対して旋回の初動を
知覚させることができる
ということなんです。
旋回のためのバンク角が確立したあとは
横転率はゼロとなり、
飛行機の形をした針は
旋回率のみを指示することになるんです。
例えば、実機に乗った際に
飛行機を水平に保ったまま
ヨーイングの操作を行ってみてください。
姿勢指示器は変化しませんが、
ターンコーディネーターは
ヨーイングした方向に傾くはずです。
このことからも
ターンコーディネーターは
ローリング(バンク)を示す計器ではない
ということですね。
(初動にだけは反応してしましますが)
OKですか?
では、先に進みましょう。
もう一度ターンコーディネーターを
見てほしいのですが、
水平の両翼端が指すところに
白い目盛りがありますよね。
そこから下方に左右それぞれに
一つずつ同じように白い目盛りが
あるのが分かりますか?
左旋回あるいは右旋回のときに
ミニチュアプレーンの翼端を
この目盛りに合わせると
標準率旋回をしているということを
意味しています。
標準率旋回(Standard Rate Turn)とは
1秒間に3°、1分間に180°
2分間で360°旋回することをいうんですね。
磁北0°に進んでいる機体が
右でも左でも標準率旋回で
旋回したとしたら
2分後にはぐるりと一周して
元の針路0°に戻るってことなんですよ。
それからターンコーディネーターを
もう一度見てください。
ミニチュアプレーンの下に
白いゲージがあり、中に黒いボールが
あるのが分かりますか?
このゲージは旋回の釣り合いを
表示してくれています。
この黒いボールが中央に収まっていれば
釣り合いが取れていますよってことなんですね。
例えば、下図は
ボールは中央で全ての釣り合いが
取れている釣り合い旋回(Coordinated Turn)を
しているところです。
相対風は機体正面から当たっています。
次の図は
ボールは旋回方向の外側にあります。
これは外滑り(Skid)
してますよということなんです。
つまり、相対風が旋回方向の外側から
機体に当たっています。
釣り合いを取るためには
バンクを深くするか
右ラダーを加える必要があります。
また、次の図は
ボールは旋回方向の内側にあります。
これは内滑り(Slip)
してるということです。
相対風は旋回方向の内側から機体に
当たっています。
釣り合いを取るためには
バンクを浅くするか
左ラダーを加える必要があります。
以上のことを押さえておけば
プライベートパイロットの筆記テストで
ターンコーディネーターについて
クリア出来ているはずです。
では、練習問題にトライしてみましょう!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
Q:A turn coordinator provides an indication of the
A : movement of the aircraft about the yaw and roll axes.
B : angle of bank up to but not exceeding 30°.
C : attitude of the aircraft with reference to the longitudinal axis.
axes:軸 axisの複数形
provide:供給する
indication:表示
movement:動き
of the:・・・の
about:について
angle of bank:バンク角
exceeding:上回る
attitude:姿勢
with reference to:に関連して
the longitudinal axis:縦軸
・
・
・
・
・
自力で答えを導き出してから
音声を聞いてください。
どうでしたか?
簡単でしたか?
ちょっと難しかったですか?
日本語で理解しているあなたですから
少しずつ英語に慣れるだけで大丈夫です。
これからも頑張っていきましょう!
次回はまた一週間後となりますが、
よろしくお願いします!
今日も最後まで読んでいただいて
ありがとうございます!
ではまた!
コメント