飛行機の操縦性に関わる要素は?

[Aerodynamics:空気力学]

こんにちは!

パイロット免許への水先案内人・須永です!

前回は飛行機の安定性について学びましたね。

今回は操縦性についてお話させていただきます。

操縦性(Controllability)は

3つの条件によって左右されるんです。

① 重心(CG)の位置によって変わる

この重心(CG)というのは

それぞれの機体ごとに制限(Limit)が

設けられているんですね。

パイロットはその都度

CGが前後のリミット内に収まっているか

確認してから飛んでいるんです。

乗客の人数や体重、座席の位置も考慮しますよ。

何Kgの人(実際はポンド)が後部座席の左側にとか

荷物の重さなども全て計算されて

はじき出すんです。

その際に絶対に避けなくてはならないのは

後方制限を越えることですね。

仮に制限内だとしてもCGが後方寄りに

あるということは、

後ろが重たくなるということですから

機首下げ操作が難しくなるからです。

もし、機体が失速(Stall)に陥った場合に

回復操作が大変になってしまいますからね。

CG AFT OF LIMITS

Difficult to recover from stall condition

CG:重心(Center of Gravityの略)

aft of limits:制限の後方(aft=after)

difficult:難しい

to recover:回復すること

from stall condition:失速状態から

上記の英文は覚えてしまいましょう!

AFTはafterの略字ですね。

こういった表記にも少しずつ慣れていきましょう。

② パワーの変化によるもの

巡行飛行中にスロットルを絞って

パワーを下げるとどうなるのか?

操縦桿を操作することなしに

機首はピッチダウンになるのです。

なぜか?

T-tail型の飛行機を除くほとんどのタイプの飛行機は

プロペラからの空気が水平尾翼の上を流れていきます。

もし、パワーを絞った場合、

プロペラスリップストリームも減少します。

このために水平尾翼のダウンフォースも減り

操縦桿を操作しなくても

ピッチダウンするんですね。

そこで英文いきますよ。

REDUCING  POWER  AND  NO  CONTROL  ADJUSTMENT

Less air from propeller slipstream

reducing power:パワーの減少

and:且つ

no control adjustment:操縦操作なしで

less air:より少ない空気

from propeller slipstream:プロペラ後流

ELEVATOR  EFFECTIVENESS  REDUCE

As power is reduced

As down-wash  from propeller slipstream is reduce

elevator:昇降舵(エレベーター)

effectiveness:効力

reduce:減少させる

as power is reduce:パワーが減少することで

as:…と同じ程度に

down-wash:後流によって誘導される下降気流

from propeller slipstream:プロペラ後流から

※ T-tail型の飛行機とは

水平尾翼が垂直尾翼の上部に取り付けられている機体です。

後方から見た形状がアルファベットのT字に見えることから

そう呼ばれています。

③ 迎え角(angle of attack)の変動によるもの

迎え角は覚えていますか?

下の図を見て思い出してください。

この迎え角の大小によって

圧力中心は移動するんですね。

高速飛行時には

パイロットは迎え角(angle of attack)が

小さくなるようにコントロールしています。

なぜかというと

速度が上がれば主翼の揚力も増します。

同時にプロペラスリップストリームも増えて

水平尾翼が発生しているダウンフォースも

大きくなりピッチアップの傾向になるので

パイロットが何もしなければ

機体はどんどん上昇していってしまうからです。

同時に揚力中心(Center of pressure・CP)も

後方に移動しています。

つまり、CGとCPの間の距離が

広いという意味になります。

これらの条件が重なることで

飛行機は、より安定感が増しているのです。

低速飛行時には、

どうなるのかというと

先程も述べましたが、

パワーを下げる(速度を低速にすると)と

水平尾翼のダウンフォースが小さくなり

ピッチは下がりますよね。

そのまま何もしないでいれば、

高度も下がることになります。

低速の状態で高度を維持するためには

操縦桿を手前に引いて

ピッチを上げなければなりません。

つまり、迎え角(angle of attack)を

増すということですね。

低速時に高度を維持しながら

水平飛行を行うためには

迎え角を大きくしてあげることなのです。

迎え角が大きくなる=機首のピッチも大きく

ピッチアップ状態になるため

揚力中心(CP)は前方に移動することになります。

よって、CGとCPの距離が近づきます。

高い迎え角(angle of attack)で飛行すると

プロペラスリップストリームも減少して

ダウンフォースも小さくなるんですね。

結果、安定性も低くなってしまうのです。

はい。本日最後の英文です。

頑張って覚えちゃいましょう。

CENTER  OF  PRESSURE  AFFECTS

aerodynamic balance and controllability

center of pressure:圧力中心

affect:影響を及ぼす

aerodynamic:空気力学

balance and contorollability:バランスと操縦性

とういうことでまとめますね。

飛行機の操縦性に影響を与える要因には

① 重心(CG)の位置によって変わる

② パワーの変化によるもの

③ 迎え角(angle of attack)の変動によるもの

という3つのことが挙げられます。

まずは、CGの後方側のリミットを越えてしうと

ストールからのリカバリーが

難しくなるとういうことですね。

それから、操縦桿その他の操作をしなくても

パワーを絞っただけで、機体はピッチダウンをします。

その原因は、プロペラ後流の空気の減少によって

水平尾翼周辺を流れる空気も減り、

ダウンフォースの発生も減少することになり

重い機首側が頭を下げることになるんですね。

また、迎え角の増減によって

圧力中心も移動します。

この圧力中心と重心との距離の長短も

空力的なバランスや操縦性に影響を

与えるということなんです。

この辺を押さえておけば

筆記テストは大丈夫ですよ。

じゃ、練習問題にトライしてみましょう!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

Q:What causes airplane (except a T-tail)

to pitch nosedown when  power is reduced

and controls are not adjusted?

A  :  The CG shifts forward  when thrust

and drag are reduce.

B  :  The down-wash on the elevators

from the propeller slipstream is reduce.

C  :  When thrust is reduce to less than weight,

lift is also reduced and the wings can no longer

support the weight.

What causes:何 原因

airplane (except a T-tail):T-tail以外の飛行機

to pitch nosedown:機首下げすること

when  power is reduced:…の時 パワー 減少される

and:且つ

controls are not adjusted:操縦操作されない

shift forward:前に動く

when:…の時

thrust and drag:推力と抗力

are reduce:減らされる

down-wash:後流によって誘導される下降気流

on the elevators:エレベーターの上

from the propeller slipstream:から プロペラ後流

is reduce:減らされる

to less than weight:軽くする よりも 重力

lift is also reduced:揚力も減らされる

can no longer support:もはや支えられない

自力で答えを導き出してから

音声を聞いてください。

はい。どうでしたか?

いつものように日本語で内容を

理解してしまっていれば、

解けそうな感じになってきていませんか?

もしそう感じるなら順調にきている証拠です。

自信を持っていきましょう!

まだ、ちょっと英語が・・・

というのであれば、

毎日少しずつでいいので

登場してきた知らない単語を

覚えていきましょう。

コツコツ続けることが

一番大事で結果的に

一番近道になるはずですよ。

これからも一緒に頑張っていきましょう!

ということで今回は以上となります。

今日も最後まで読んでいただいて

ありがとうございます!

ではまた!

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コメント

  1. takumi より:

    すみません一つ疑問に思ったことがあります。
    パワーを絞るとダウンフォースが減りピッチダウンするのと
    低速飛行時では迎え角が大きくなりピッチアップになるとありました
    パワーを絞ると迎え角が大きくなりピッチが上がりダウンフォースが減りその後ピッチが下がるという理解でよろしいでしょうか。

    • 須永 学 須永 学 より:

      takumi様
      いつもありがとうございます!

      質問文を拝見したところ
      私がお伝えしたいことが上手く伝わっていないようです。

      本文を読み返して気づきましたが
      どうも私の説明不足ということが分かりました。

      「パワーを絞ると尾翼のダウンフォースが減りピッチダウンする。」
      これはOKです。

      ところが、
      「低速飛行では迎え角が大きくなりピッチアップになる。」
      「ピッチが上がったことでダウンフォースが減りその後ピッチが下がる。」
      ここが説明不足で誤った解釈になってしまったようです。

      正しくは、パワーを絞って低速飛行に入ると
      ピッチが下がり高度も降下していってしまいます。

      そこで高度を維持するために
      操縦桿を引いてピッチアップしてあげることが
      必要になるわけですね。

      つまり、低速飛行においても
      その高度のまま飛行を続けるために
      パイロットの意志で迎え角を大きくしているのです。
      自然現象ではありません。

      結果、迎え角が大きくなることで
      プロペラスリップストリームも少なくなり
      水平尾翼でのダウンフォースの発生も小さくなるので
      飛行機の安定性が減少するということが言いたかったのです。

      ですからこの状態ではパイロットが
      操縦桿を手前に引いて維持している限り
      勝手にピッチは下がりません。

      今度は上手く伝わってくれるといいのですが・・・。

      本文も必要な部分に訂正を加えておきましたので
      お時間があるときにご確認ください。

      また何かお気づきの点がございましたら
      お気軽にご連絡ください。

  2. takumi より:

    解説ありがとうございます。
    ピッチが上がるのは自然現象ではないのですね。理解できました。
    いつもありがとうございます。

    • 須永 学 須永 学 より:

      ああ良かったです!
      上手く伝わったようですね。
      いつも熱心に勉強されていて素晴らしいです!
      引き続き頑張ってくださいね!
      応援しています!