風を考慮した計算 ステップ3

[Cross-Country Planning : 野外飛行計画]

パイロット免許への水先案内人

須永です!

 

前回は、

風を考慮した計算ステップ2

ということで

Flight Computer の wind 側の構造

についてお話させていただきました。

Flight Computer の wind 側には

円形の透明ディスクがあり

それを囲むように Compass rose が

記されています。

この Compass rose は

風向とコースを合わせるための

ものであるということと

透明ディスクの内側は

速度を示すアーク型の線と

角度を示す放射型の線が

折り重なった目盛りとなっていて

小型機用とジェット機用のものがある

ということを覚えていただけましたか?

今回は

風を考慮した計算 ステップ3

ということで残りの計算を

終わらせてしまいましょう。

取り組み途中の問題の確認

「 ST MARIES 空港 (エリア4) から

PRIEST RIVER 空港 (エリア1) までの

コースにおいて、

Magnetic Heading (MH) と

Estimated Time Enroute

(予定所要時間/ETE) を

求めなさい。

追加情報

Wind – from 300° at 14 kts.

TAS – 90kts.

Time in climb – add 3 min. 

という問題です。

True Course (TC) 344° を

割り出すところまで

終了したところでしたね。

この続きから始めましょう。

Flight Computer の Wind 側

Flight Computer の

Wind 側を目の前にしたら

まず、そこに何をセットするのでしょう?

当然、風の条件ですよね。

Compass rose を回転させて

外側のトップの位置にある

TRUE INDEX に風向を

合わせていきますよ。

私たちに与えられている情報は

300° からの風でしたね。

ということで、

TRUE INDEX のちょうど真下に

300° が来るようにセットします。

次に風速です。

与えられている風速は

14 knots でしたね。

しかし、風速表示の目盛りには

0 がありません。

そこで、アーク目盛りの 100 を

基準に使うことにしましょう。

透明ディスクの中央部を

100 にセットします。

この Flight Computer の

アークの一目盛りは

2ノットですから

100 から上に向かって

14 knots の箇所に ✖マークをつけます。

マークをつけたところで

矢印も記入してみます。

この矢印をつけることで

視覚的にこの風が

どのような影響を与えるのか

というのも分かりやすくなるのです。

次に行うことは、

TRUE INDEX に

True Course (TC) をセットします。

既に割り出してある

TC は、344° でしたね。

Compass rose を回転させて

TRUE INDEX の真下に

344° を合わせてください。

ここまで大丈夫ですか?

次に行うのは、

透明ディスク全体が上下にスライドするので

✖︎マークを

True Airspeed (TAS) の

アーク状目盛りに合わせますよ。

問題文の中で与えられている

TAS は、90 knots でしたね。

合わせていきますよ。

ここまで来ましたね。

今、Flight Computer 上に

表されているのは、

Chart 上に示したプランと

ちょうどぴったりの状況が

再現された状態ですよ。

縦のセンターラインが

TC 344° で、

風が 300° の方角から

14 knots で吹いています。

Groundspeed と WCA

私たちの機体から見ると

左前方からの向かい風を

受けている状態です。

向かい風を受けるので

Groundspeed (対地速度) は

遅くなると予想できますよね。

それから、左からの風を受けるので

WCA (偏流修正角) は

左に取らなければいけない

(機首を左に向ける)

ということです。

左からの風に対抗するためです。

放射状の縦のラインは

角度を示しています。

この Flight Computer は

一目盛り2度です。

センターから ✖︎マークまで

数えると 6° ですね。

WCAは、左に です。

この状態で

透明ディスクの中央部はどこにありますか?

実は、ここの数値が

Groundspeed (GS) になるんです。

一連の流れの中で

最終的に透明ディスクの中心部は

GS を表すことになっています。

いくつを指していますか?

はい。80ですね。

ということで、

GSは、80 knots となりました。

ここでお役立ちボックスを活用します。

今まで算出した数値を

入れてみましょう。

TH 338°までは

求められたということです。

Magnetic Heading

Magnetic Heading (MH) を出すには

Magnetic Variation (VAR) を

加味しなければなりません。

一度Chartに戻りましょう。

VAR はマゼンタの破線でしたね。

コースの近くにありますか?

ここにありました。

破線を辿っていくと

VAR の値が記載されていました。

14°30’E ですね。

約15°E として考えていきましょう。

E (Easterly) は足しますか?

引きますか?

はい。引き算でしたね。

ボックスに戻って

VAR は、−15°ですので

323° が、MH ということです。

問題文の中に

Compass Deviations (コンパス誤差エラー) の

条件はありませんでした。

ですので、求めるのはここまです。

MH を求めるまでの流れ

おさらいしておきましょう。

TC 344°から

WCA (左) として6°を引く

TH 338° が算出されます。

TH 338° から

VAR (Easterly Variation) として

15° を引く

MH 323° が割り出されます。

TC 344°

WCA −6°

TH 338°

EVAR −15°

MH 323°

この MH 323° が

今回の問題の答えの一つです。

ETE (予定所要時間)

もう一つ求めるものがありましたね。

このフライトの所要時間です。

これを求めるには

出発地から目的地までの

距離が必要でしたね。

もう一度 Chart に戻りましょう。

ST MARIES 空港から

PRIEST RIVER 空港までの

距離を計測しますよ。

はい。注意してくださいね。

筆記テストの参照図は

通常の縮尺ではありません。

Plotter で計測できませんので

紙を使うんでしたね。

出発空港のシンボルの中心に

紙の角を合わせて

目的空港のシンボルの中心にマークします。

それをマイル目盛りで測るわけですね。

紙の角を一番右の目盛りの

30 NM に合わせてみましょう。

マークまでの距離を測りたいのですが、

目盛りが足りません。

一回では無理ですね。

仕方ないので

0ポイントのところで

もう一度鉛筆でマークをします。

そのマークを 20 NM に合わせます。

すると、目的地空港のマークは

0ポイントから左に

4 NM 弱ですね。

ここは、約 4 NM でいきましょう。

段階を追って出した距離を合計しましょう。

30+20+4 で 54 NM と計測できました。

風を考慮した計算で既に

GS は、80 knots と割り出していますね。

距離は、54 NM と分かったところです。

では、Flight Computerの

反対側を使いましょう。

こちら側では、

まず何をセットするんですか?

はい。速度でしたね。

80 knots ということは

60分間に 80 NM 進むので、

内側の 60分の目盛りに

外側の 80 NM を合わせます。

これで時速80 knots の

比率にセットされました。

この比率で 54 NM 移動しますので、

外側の目盛りの 54 の箇所を

見るわけです。

内側の目盛りはいくつになりましたか?

40分30秒という時間が割り出されましたね。

でも、安心するのはまだ早いですよ。

もう一つの条件を忘れないでくださいね。

「Time in climb – add 3 min.」

上昇のための3分を

加えるという条件がありました。

40分30秒に3分を加えて

43分30秒が

総飛行時間ということです。

はい。ということで、

この例題は、MH 323°

TETE (総飛行時間) 43分30秒

正しく割り出すことが出来れば

合格という問題でした。

テストの選択肢の中には

「秒」まで含まれていないと

思いますので

一番近いものを選べば大丈夫です。

まとめ

風を考慮した計算 ステップ3

MH の求め方の流れ

・Chart 上でコースのラインを引く

・経線又は緯線の関係から TC を求める

・風の条件をセットして WCA を求める

・TC と WCA から TH を割り出す

・TH と VAR から MH を割り出す

ETE の求め方

・WCA を割り出した際、GS を確認する

・空港間の距離を求める

・GS と 距離から ETE (所要時間) を求める

練習問題にトライしてみよう!

Q1  :  (Refer to figure) What is the estimated time en route from the flight from St. Maries Airport (area4) to Priest River Airport (area1)? The wind is from 300° at 14 knots and the true airspeed in is 90 knots, add 3 minutes for climb-out.

A  :  38 minutes.

B  :  43 minutes.

C  :  48 minutes.

(Refer to figure)

:図を参照してください

What is the estimated time en route for a flight

:どれくらいですか 所要時間は フライトの

from St. Maries Airport (area4) to Priest River Airport (area1)?

:セントマリーズ空港(エリア4)からプリーストリバー空港(エリア1)

The wind is from 300° at 14 knots and the true airspeed  is 90 knots,

:風 300°から14ノットで 真対気速度90ノット

add 3 minutes for climb-out.

:追加3分 上昇のため

38 minutes.

:38分

43 minutes.

:43分

48 minutes.

:48分

この問題は本文の例題と同じ内容のため

音声解説は割愛させていただきます。

英文の表現を感じてください。

正解は、最後に記載してあります。

・・・・・・・・・・・・・・・

Q2  :  When solving a wind problem on the wind side of the flight computer, the first information to enter on the wind side is

A  :  groundspeed.

B  :  true course.

C  :  the wind.

When solving a wind problem on the wind side of the flight computer,

:解決するとき 風の問題を 風側で フライトコンピュータの

the first information to enter on the wind side is

:最初に入れる情報は 風側に ・・・です

groundspeed.

:対地速度

true course.

:真航路

the wind.

:風

自力で回答してから音声を聞いてください。

あとがき

風を考慮した計算ということで

一つの例題を3回に分けてお伝えしてきました。

実質的な作業は2回でしたが、

どうでしたか?

風に流されないように

偏流修正角 WCA を求めるには、

ベースとなるのは

True Course (TC) が分からなければ

始まらないということでしたね。

風の条件と TC の関係から

WCA が割り出されれば、

True Heading (TH) も出せるわけです。

また、WCA が割り出されると同時に

受けている風が追い風なのか、

向かい風なのかという成分も

Flight Computer は加味しているので

GS (対地速度) も出せてしまうわけです。

GS が分かれば、

移動距離を調べることで

ETE (所要時間) も求められることになります。

このように

Wind 側から計算盤側へ

リレーして使うことで

フライトに必要な計算は

全て出来てしまうんです。

これを最初に考えた人は

凄いと思います。

アナログではありますが、

パイロットにとっては

Computer と呼ぶにふさわしいものです。

そんな Flight Computer の

使い方のもう一つを

マスターすることが出来ましたね。

あなたは、また一歩パイロットに

近づいたということですよ。

では、次回は

Compass Heading (CH) まで

求める例題に挑戦してみましょう。

ということで、今回は以上となります。

今日も最後まで読んでいただきまして

ありがとうございます!

ではまた!

Q1 の正解は、

B  :  43 minutes. です。

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