[Aircraft Performance : 航空機の性能]
パイロット免許への水先案内人
須永です!
前回は、
Density Altitude (密度高度)
についてお話させていただきました。
この密度高度が高くなるほど
航空機の性能が落ちるということを
覚えていただけましたか?
今回は、
Pressure Altitude (気圧高度) の求め方
を考えてみましょう。
Pressure Altitude (気圧高度) を求める
筆記テストでは、
Density Altitude (密度高度) を
求める問題も出題されますよ。
もう一度、
密度高度を確認しておきましょう。
考え方の基準として
標準大気というものが決められていますね。
ですが、
実際の気象条件では
ほぼ標準大気とは違う条件で
存在しています。
そこで、
標準温度とのズレを補正して
表した気圧高度のことを
密度高度というんでしたね。
この密度高度を求める流れとして
まず、
私たちが何処にいるのかということです。
第一に標高が必要です。
求めたい密度高度の標高 (場所) が
決まらなければ割り出しようがありません。
次に、
その標高での気圧高度を求めるわけです。
さて、
気圧高度というのは、
気圧高度計の altimeter setting を
29.92にセットしたときに
表示される高度でしたね。
海岸線にある空港だと
ほとんど標高は0フィートですから
もしも標準大気の条件が存在していれば、
地上で 29.92にセットしたとき
高度計は 0フィートを指すはずです。
ですが、
標準大気の条件となることは稀なので、
非標準気圧がどれほどズレているのかを
補正してあげることで
その時の気圧高度が求められます。
次に
割り出された気圧高度を
標準温度と非標準温度が
どれくらいズレているのかを
補正したものが
その時その場所の密度高度になるわけです。
FIELD ELEVATION
標高
correct for nonstandard pressure
非標準気圧に対して補正
↓
PRESSURE ALTITUDE
気圧高度
correct for nonstandard temperature
非標準温度に対して補正
↓
DENSITY ALTITUDE
密度高度
Density Altitude (密度高度) を求める目的
密度高度は、
航空機がどれくらいの性能を
発揮できるかという目安となります。
例えば、
仮に真高度が 5,000フィートであっても
密度高度が 10,000フィートであれば、
その航空機は 10,000フィートにおいて
発揮できる性能しか出せないということです。
Density Altitude Chart (密度高度表)
続いて
この Density Altitude Chart を
見てください。
左側は、非標準温度に対する補正グラフで
およその密度高度を求めることが出来ます。
右側は、気圧高度を求めるための
一覧です。
もう少し詳しく見てみましょう。
一覧は、2つのコラムに分かれています。
左コラムは、altimeter setting (高度計規正) で
(上から下に数値は大きくなる配列)
右コラムは、altimeter setting に対しての
変換係数 (単位は feet) です。
(上から下に数値は小さくなる配列)
筆記テストでは、
実物の気圧高度計を手元に
持ってきて参照することは出来ません。
磁気コンパスの誤差エラーの修正値を示す
コンパスカードのときと同様に
この変換チャートを参照にして
問題に答えるようになっています。
この変換チャートの下の方に目をやると
29.92の欄ありますが、
変換係数は 0ですね。
29.92 は標準大気を意味しているので
補正の必要がないということで
変換係数は 0 になります。
左側のグラフは、密度高度を表すもので
底辺は温度を示しています。
任意の温度から上に登って
割り出された気圧高度に
当たったところから
左に移動して
縦の目盛りの所を読めば密度高度が
求められるということです。
数値の単位は 1,000フィートです。
では、
一つ具体的に見ていきながら
気圧高度を求めてみましょう。
Altimeter setting
29.96
Airport elevation
3,563ft. MSL
まずは、上の条件が与えられたときの
気圧高度を求めてみましょう。
Altimeter setting と変換係数表を
見てください。
29.96 は 29.92 と 30.00 の
ちょうど真ん中ですね。
30.00 の補正値は、−73ですから、
2で割れば 29.96 の換算がでますね。
−73 を 2 で割ると
−36.5 となります。
この-36.5を
標高の 3,563フィートと差し引きすると
3526.5フィートが、
その時のその場所の気圧高度ということです。
PRESSURE ALTITUDE
−73 ÷ 2 = −36.5 ft.
3,563 ft. −36.5 ft. = 3,526.5 ft.
今回は、気圧高度を求める
ということですので
以上となります。
まとめ
Pressure Altitude (気圧高度) の求め方
密度高度を求める理由
◎航空機の性能の判断目的のため
密度高度を求める流れ
標高
(非標準気圧に対して補正)
↓
気圧高度
(非標準温度に対して補正)
↓
密度高度
※密度高度を求めるためには
気圧高度の算出が不可欠
練習問題にトライしてみよう!
Q : (Refer to figure) Determine the pressure altitude with an indicated altitude of 1380 feet MSL with an altimeter setting of 28.22 at standard temperature.
A : 2,913 feet MSL.
B : 3,010 feet MSL.
C : 2,991 feet MSL.
(Refer to figure)
図を参照してください
Determine the pressure altitude
:割り出しなさい 気圧高度を
with an indicated altitude of 1,380 feet MSL
:指示高度が 海抜1,380フィートの
with an altimeter setting of 28.22 at standard temperature.
:高度計規正 28.22 標準温度で
2,913 feet MSL.
:海抜2,913フィート
3,010 feet MSL.
:海抜3,010フィート
2,991 feet MSL.
:海抜2,991フィート
・
・
・
参照図を使っての解説にしましたので
自力で回答してから
一番最後を読んでください。
あとがき
はい。どうでしたか?
Density Altitude Chart の
活用方法に触れましたが、
簡単でしたよね。
今回は、
Pressure altitudes (気圧高度) を
求める問題でしたが、
次回は、Density Altitude Chart の
左側のグラフの読み方を
練習することにしましょう。
ということで、今回は以上となります。
今日も最後まで読んでいただきまして
ありがとうござます!
ではまた!
練習問題の解答・解説
この問題は、
「標準温度において Altimeter Setting を
28.22にセットしたとき、
指示高度計が、海抜1,380フィートを指示する
気圧高度を求めなさい。
A : 2,913 feet MSL.
B : 3,010 feet MSL.
C : 2,991 feet MSL. 」
という内容です。
まず、
Altimeter Setting 28.22 ですので
一覧を見てみましょう。
28.2 の次は、28.3 になっていて
28.22 の記載がありませんね。
ということで、
計算で求めることになります。
ここで数値の配列を
確認しておきましょう。
Altimeter Setting の数値は
下に向かうほど大きくなっています。
対して変換係数 (単位feet) は
下に向かうほど
数値は小さくなっています。
では、話を戻しますね。
28.2 から 28.3 までの間の
28.22 ですから
28.2 から 2/10 のだけ
28.3 に近づきますね。
ここまで大丈夫ですか?
次に、
28.2 の変換係数は、1,630 で
28.3 の変換係数は、1,533 ですね。
ということは、
1,630 と 1,533 の差を10分割して
その 2つ分を 1,630 から引いてあげれば
28.22 の変換係数になるということです。
28.22 の変換係数は、
1,610.6 ft と出せましたね。
あとは、この変換係数を
指示高度の海抜 1,380フィートに
足してあげればいいということです。
1,380 ft + 1,610.6 ft = 2,990.6 ft
となりました。
選択肢を見ると
A : 2,913 feet MSL.
B : 3,010 feet MSL.
C : 2,991 feet MSL.
一番近いのは、C ですね。
ということで、
正解は、C : 2,991 feet MSL. です。
お疲れさまでした。