Weight & Balance の原理

[Weight & Balance : 重量と重心位置]

パイロット免許への水先案内人

須永です!

 

FAA Private Pilot の

筆記テスト合格のために的を絞った

ブログを立ち上げたのが昨年の3月でした。

私自身も勉強し直しながらという

ペースで更新をしてきましたので

ここまでたどり着くのに1年半以上の

時間が経過してしまいました。

今回から

ついに最後のカテゴリーである

Weight & Balance の学習に入っていきます。

「このブログの内容を理解していただければ筆記テストは合格できます!」

という思いで取り組んで参りました。

どうぞ最後までお付き合いください。

 

前回は、

Crosswind Component Chart②

ということで

例題の解き方を通して

理解の仕上げを行いました。

Chartの構成、活用方法、

出題のパターンなどを

覚えていただけましたか?

 

今回は、

Weight & Balance の原理

についてお話したいと思います。

Weight & Balance とは

この Weight & Balance は

何となくやっかいだなと

思われてしまう科目ではありますが、

ライセンス取得のために必要な知識です。

筆記テストでは必ず

出題されますので重要です。

出来るだけ分かりやすく

説明していきますので

頑張ってマスターしましょう。

CG (Center of Gravity / 重心)

航空機が空を飛べるのは

重心のバランスが取れている

からなんです。

下のように

バランスが取れていない

シーソーのような状態では

航空機にとっては非常に危険です。

もしも、

失速してしまったときに

リカバリーのための機首下げ操作が

困難になってしまいます。

70メートルを超える

ジャンボ機でさえも

重心位置の許容範囲は

2メートルもありません。

重心位置をその狭い範囲内に

収めるように乗客や貨物の重量を

考え計算されているのです。

それほど、

重心位置というのはシビアなんですね。

Datum line と Arm

今回はその原理となる部分を

覚えて欲しいと思います。

もう一度シーソーを使って

考えていきましょう。

まずはナンバーシステムです。

基準になる0ポイントのことを

DATUM LINE (基準線) といいます。

DATUM LINE

the name of the reference you measure from

DATUM LINE

:基準線

the name of the reference you measure from

:名前 基準の そこから測定する

どこに設定してもいいのですが、

測定する基準になるポイントだ

ということだけ押さえておきましょう。

今回は、

シーソーの一番左端を

0ポイント (Datum line)

として進めますね。

シーソーに記されるナンバーは

0ポイント (Datum line) から

どれくらい離れているかを示すものです。

単位はインチであれ、

フィートであれ

0ポイント (Datum line) からの

距離を示すナンバーが不可欠

ということです。

この基準ポイントからの距離を

ARM と呼んでいます。

ARM

the distance from the datum line

ARM

:アーム

the distance from the datum line

:距離 デイタムラインからの

Moment (モーメント)

ここまでいいですか。

では、

このシーソーに100ポンドの重りを

3つ使ってバランスを考えてみましょう。

次の計算式を覚えてください。

ITEM     WT × ARM = MOMENT

ITEM は、A・B・C それぞれの

重りに当たります。

WT は、それぞれの重量です。

ARM は、先ほどお伝えした通り

Datum line (0ポイント) からの距離です。

MOMENT は、

長さのある棒状の物の片方の端を固定して

その上に重りを載せてみると

固定された端 (datum line) を支点として

棒は地面に向かって

回転しようとする力が働きます。

その力を Moment といいます。

よくあるこの説明では

ちょっとピンと来ないですよね。

そこで、実際に自分の身体を使って

考えてみるとイメージできると思います。

例えば、

カバンを持つときも

力のモーメントを感じることが出来ます。

利き腕だろうが反対の腕だろうが

片方の腕でカバンを持つとき、

腕を水平に伸ばして持つ人は

居ないですよね。

ま、やってみると分かりますが、

かなりの負担を感じるはずです。

では、肘を曲げて

カバンを身体の近くに移動させると

負担は軽減されますよね。

この違いが

力のモーメントの大きさなんですね。

イメージできましたか?

では、図を参照しながら

先ほどの計算式に戻りますよ。

ITEM     WT × ARM = MOMENT

A          100 ×   2      200

B          100 ×   4      400

C          100 ×   9      900

            300               1,500

重り A の重量は、100ポンドで

Arm (Datum line からの距離) は

2 なので、

モーメントは、200となります。

重り B の重量は、100ポンドで

Arm (Datum line からの距離) は

4 なので、

モーメントは、400となります。

重り C の重量は、100ポンドで

Arm (Datum line からの距離) は

9 なので、

モーメントは、900となります。

重りの総重量は、300

総モーメントは、1,500ですね。

この総モーメントを

総重量で割ると

CG が求められるのです。

CG (Center of Gravity/重心) は

5となりました。

先ほどの図をもう一度見てみましょう。

5の位置で釣り合っていますね。

はい。

法則が分かったところで

少し話を戻しますね。

基準になる Datum line は

どこに設定しても良いと

先ほどお伝えしましたが、

それを確かめてみたいと思います。

シーソーの上に先ほどと

同じ位置に100ポンドの重りを載せます。

ただし今回は、

Datum line をシーソーの中央に

設定しました。

中央から左側はマイナス領域で

右側はプラス領域です。

よって

A の位置は、−3

B は、−1

C は、+4となりましたね。

ここで、計算式に当てはめてみましょう。

ITEM     WT × ARM = MOMENT

A          100 × −3     −300

B          100 × −1     −100

C          100 × +4     +400

            300                     0

総重量は 300のままですが、

総モーメントは 0となりました。

では、この結果を

CG の公式に当てはめてみますよ。

0は、何で割っても 0ですね。

CG (重心位置)0となりました。

もう一度図に戻りましょう。

改めてシーソー上に設定した

0ポイントで釣り合っていることが

確かめられました。

このことから

Datum line は、どこに設定しても

問題はないということです。

下は

航空機のノーズを

Datum line とした場合の例です。

オイル、前部座席、燃料、後部座席、

荷物室までの距離と

各項目ごとの重量をもとに

重心位置が求めらるのです。

まとめ

Weight & Balance の原理

CG (重心) を許容範囲内に収めることが重要

◎許容範囲を超えるとコントロールが困難

Datum line

◎重量位置を測定する上で基準となる線

Arm

◎Datum line からの距離

Moment

◎同じ重量でも支点からの

 距離が長いと負担が大きく

 距離が短いと負担が小さい

 この違いが力のモーメントの大きさである

Moment の計算式

◎重量 × Arm = モーメント

CG の計算式

◎総モーメント÷総重量=CG (重心位置)

練習問題にトライしてみよう!

Q  :  In weight and balance calculations, arm is

A  :  the distance between items.

B  :  the distance from the datum line to the items.

C  :  weight times moment.

In weight and balance calculations, arm is

:重量とバランスの計算では アームは・・・です

the distance between items.

:距離 項目間の

the distance from the datum line to the items.

:距離 基準線から項目までの

weight times moment.

:重量 × モーメント

自力で回答してから音声を聞いてください。

あとがき

はい。どうでしたか?

ウエイト&バランスを

考える上で一番の基本となる

Datum line と Arm について

お話させていただきました。

各項目の Arm と重量によって

モーメントが求められ

総モーメントを

総重量で割ってあげると

CG (重心位置) が求められることが

分かりましたか?

この基本が押さえられていないと

先にいって頭が混乱してしまいますので

きちっと整理しておきましょう。

ということで、今回は以上となります。

今日も最後まで読んでいただきまして

ありがとうございます!

ではまた!

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