飛行機の左旋回傾向って何ですか?

[Aerodynamics:空気力学]

こんにちは!

パイロット免許への水先案内人・須永です!

暑かったり、涼しかったり

その日、その日の寒暖差に

身体がついていかず大変ですね。

体調など崩されていませんか?

もうじき鬱陶しい季節もやってきますが、

十分に体調管理には注意をして

乗り切っていきましょう。

さて、前回は荷重の算出法について

お伝えしました。

Total Load  =  Weight  ×  Load factor

この公式だけ押さえておけば

問題ありませんので、

先に進んでいくことにしましょう。

今回お話するのは左旋回傾向です。

Left Turning Tendency

離陸滑走中も

離陸後の上昇中もパイロットは

右方向舵(Right Rudder)を保持することを

要求されるんですよ。

なぜなんでしょう?

それは飛行機が左へ旋回したがる

傾向があるからなんです。

どうしてそんなことが起こるのでしょうか?

理由の中のひとつに

P-Factor があります。

非対称性推力とも呼ばれています。

P-Factor の原因は

プロペラのピッチに関係があるんですよ。

図を見てください。

プロペラも一つの翼と捉えて見てほしいのです。

それぞれのプロペラに

相対風(Relative Wind)と

翼弦線(Chord Line)の間に

迎え角(Angle of Attack)が存在しています。

コックピットから見てプロペラは

時計回りに回転しますので、

図でいうと上から下に動いています。

機首先端側よりもコックピット側の方が

圧力が高くなるので、

その圧力差によって推力が生まれるわけですね。

さて、飛行機が上昇中など

大きな迎え角で飛行している場合に

左旋回の傾向を生じるのです。

これは、時計回りに回転するプロペラの場合には

下がっていくプロペラ・ブレード(Propeller Blade)の

翼型の迎え角が、

上がっていくプロペラ・ブレード(Propeller Blade)の

迎え角よりも大きいことによって生じるんですね。

その結果、コックピットから見て

プロペラの回転面の右半分は

左半分よりも大きな推力を発生することになり、

P-Factor と呼ばれる、機種を左に振る現象が

生じることになるんですよ。

巡行飛行中の水平飛行の際は、

両側のプロペラ・ブレードの翼型の迎え角が

ほぼ同じであるため、プロペラ回転面の

左右で発生する推力もほぼ均等になります。

そのため、P-Factor はほとんど生じません。

ということで今日ひとつめのフレーズは

AT  HIGH  ANGLES  OF  ATTACK

P-Factor causes left yaw

at high angles of attack:高い迎え角で

P-Factor causes left yaw:P-ファクター 引き起こす レフト・ヨー

別の左旋回傾向の理由として

トルク効果(TORQUE EFFECT)があります。

回転するプロペラのトルクの反作用で、

機体を逆回転させようとする傾向が生じます。

コックピットから見て時計回りに回転するプロペラと

逆向きの反時計回りに機体が回ろうとするんですね。

しかし、巡行飛行中にこのような傾向が出ないように

構造上は、左右の主翼の迎え角が違うように

取り付けられているんですよ。

左翼の方が迎え角が若干大きくなるように

右翼は迎え角が左翼よりも小さくなるように

組み立てられています。

ちょっとびっくりじゃないですか?

これも考えられてのことなんですね。

そこで、本日二つ目のフレーズいってみましょう。

TORQUE  EFFECT  IS  GREATEST  AT

High power

Low airspeed

High angle of attack

Torque effect:プロペラ後流

is greatest at:です 最大 の時

High power:高パワー

Low airspeed:低い対気速度

High angle of attack:高い

さらに左旋回傾向の理由の一つとして

プロペラ後流(Slipstream)が挙げられます。

プロペラが回転することによって

時計回りに回転するプロペラ後流を作ることで

後流が垂直安定板に左から当たるのです。

このことによって飛行機は

機首を左に振ることになるのです。

これを解決するためにメーカーによっては

垂直安定板やラダーも機体の縦軸に平行ではなく

ずらして取り付けられているものもあるんですよ。

これにより、常に飛行中ライト・ラダーを

保持するという負担からパイロットは

解放されているんですね。

はい。今回は

左旋回傾向(Left Turning Tendency)に

ついてお話させていただきました。

原因としては

P-ファクター、トルク効果、プロペラ後流の

3つがありましたね。

P-ファクターは、プロペラの回転面の

左右に推力の差が生じるということでしたね。

トルク効果は、プロペラの回転方向と

逆に方向に機体が回転しようとする力が

働くということです。

プロペラ後流は、らせん状に発生した

空気の流れが垂直安定に左から当たることで

機首が左に振られるということです。

ということで、練習問題にトライしてみましょう!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

Q:When does P-factor cause the airplane

to yaw to the left ?

A  :  When at low angle of attack.

B  :  When at high angle of attack.

C  :  When at high airspeed.

When does P-factor cause:いつ P-factor 引き起こす

airplane to yaw to the left:飛行機 ヨーすること 左に

When at low angle of attack.:の時 低い迎え角

When at high angle of attack.:の時 高い迎え角

When at high airspeed.:の時 高い対気速度

自力で答えを導き出してから

音声を聞いてください。

はい。どうでしたか?

説明をしっかり読んでいれば

解けますよね?

その調子で今後も取り組んでいきましょう!

ということで、今回は以上となります。

今日も最後まで読んでいただいて

ありがとうございます!

ではまた!

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