Compass Heading (CH) の求め方

Cross-Country Planning

[Cross-Country Planning : 野外飛行計画]

 

パイロット免許への水先案内人

須永です!

 

 

前回は、

風を考慮した計算 ステップ3

ということで、

例題を通して一連の流れを

お伝えしました。

 

計算式さえ分かっていれば、

その順序通り数値を求めていくだけで

必要なものは全て揃うということを

理解していただけましたか?

 

今回は、

計算式のゴールである

Compass Heading (CH) を求める

までの例題に挑戦してみましょう。

 

CH の求め方

早速この Chart を見てください。

あなたは、左下のエリア2の

CLAXTON EVANS 空港から

右上のエリア1の

HAMPTON VARNVILLE 空港までの

フライトを予定しています。

 

今回の例題は

「このフライトにおける CH を求めなさい」

ということです。

 

必要な情報として

出発空港エリアの風は

280° から 8ノット、

TAS (真対気速度計) は

85 ノット、

VAR (磁気偏角) は

6° W

以上がつけ加えられています。

 

WIND 280° at 8 kts.

TAS 85 kts.

Use 6° west variation.

 

初めに TC を求めましょう

ではまず最初に

取りかかることは何でしょう?

 

はいその通りです。

Chart 上にコースラインを

引くことですね。

 

CLAXTON EVANS 空港の

シンボルマーク中心から

HAMPTON VARNVILLE 空港の

シンボルマーク中心まで

ラインを引きましょう。

上は見やすくするために

赤いマーカーで引いていますが、

実際には鉛筆で引いてくださいね。

 

このラインを引くことで、

このフライトが大体

どの方向に向かって飛ぶのか

というのが見えてきます。

 

このラインを見ると

大体 North East に向かうコース

というのがわかりますね。

 

この段階で大体のコースを

把握するということは

あなたが計算で割り出した

Heading があまりにも

North East からかけ離れていれば

その計算は間違っている

可能性があるということです。

 

また、風についても

同じことがいえます。

North East に向かうコースで

280°からの風を受けるということは

若干の追い風成分になりますので

TAS (真対気速度) よりも

GS (対地速度) の方が

速い速度になることが

予測できるわけです。

 

さらに

このコースを進みながら

280°からの風を受けるので

WCA (偏流修正角) は右にとりますか?

それとも左ですか?

 

視覚的にすぐわかりますよね。

そうです。

偏流修正角は左にとることが

この時点でわかるわけです。

 

これくらいの予想を立てた上で

計算に臨めば

算出された値が

大きく違っていないかどうかを

判断できるということです。

では、それらのことを踏まえて

まずは、

True Course (TC) を

求めることから始めましょう。

 

このコースに交差している

Longitude (経線)

もしくは

Latitude (緯線) が必要なことは

分り切っていますよね。

 

今回は、ここの緯線を使うことにしましょう。

このコースと緯線が交差している

このポイントを使いますよ。

 

まず、Plotter の分度器の

中心の穴を交点に合わせます。

同時に Plotter 上部の直線部を

緯線に一致させます。

 

次に、どの目盛りを読めばいいかというと

大体 North East に向かうコースでしたね。

 

目盛りは上から

東寄りコース用

西寄りコース用

北寄りコース用

南寄りコース用

なっているのを覚えていますか?

北寄りコース用の目盛りは

短くて使えませんね。

 

東寄りコース用の目盛りで

読むことにしましょう。

 

50 と 40 の間を

コースが通っていますね。

目盛りは、45 です。

つまり、TC045°ということです。

 

以前にもお話していますが、

東寄りコース用と

西寄りコース用の目盛りは

右にいくほど数値は

小さくなっていますので

読み間違いに

注意してくださいね。

 

風の条件をセットする

では、Wind 側の 

Flight Computer の作業に入りましょう。

 

まずは、風が吹いてくる方角の

280°の目盛りを回転させて

TRUE INDEX の下に持っていきます。

次に風速をマークするのですが、

上下にスライドする透明ディスクを動かして

中心部を 100の目盛りの位置にセットします。

これは、

2桁の数字で風速を表しているので

100を基準にするとマークしやすいからですね。

 

与えられた風速は

8ノットですから

目盛りの 108のところに

✖マークをします。

(実際は、鉛筆でしますが、

見やすくするために加工しました)

マークをつけたところで、

そのマークから透明ディスクの

中心に向かって矢印をつけます。

こうすることで視覚的に

風をとらえることができるのです。

続いて

このコースの

True Course をセットしていきますよ。

 

先ほど割り出した

TC 045°

TRUE INDEX の真下に合わせます。

TC にセットできたところで

✖︎マークに再び目を向けてください。

 

透明ディスク全体を上下にスライドさせて

✖︎マークが TAS の

85ノットの位置に来るように合わせます。

このとき視覚的に

左からの風で

若干の追い風成分があることが

分かりますね。

 

矢印の先端 (透明ディスクの中心) は

どこを指していますか?

89ですね。

これが、GS (対地速度) になります。

 

若干の追い風成分を受けるで

TAS (真対気速度) より

少し速い89ノットこれが

Groundspeed (GS) ということです。

 

それから左からの風ですので、

偏流修正角は左に取ります。

 

何度左に向けるのかというと、

✖︎マークは中心から左にズレていて

この Flight Computer の

一目盛りは、2°ですから

4°ですね。

WCA (偏流修正角)

左に 4°ということが

割り出されました。

そこで、左に4°ということは、

足し算ですか?

引き算ですか?

 

方位を左に向けるので

方位角は小さくなりますね。

 

例えば、

機首を北 (360°) から

左に 10° 向けると

350° になりますよね。

 

ですから左への偏流修正角は

マイナス (引き算) です。

 

当然、偏流修正角が右の場合は

プラス (足し算) ですね。

 

計算の流れ

さて、以下の計算式を

ぜひ覚えてください。

親切な Flight Computer には

暗記せずとも下のように

表記されているものもあります。

いずれにしても覚えてしまいましょう。

といっても

Flight Computer の使い方の

練習をしながら、

既に経験済みの計算ばかりですから

問題はないですよね。

 

今まで割り出してきた数字を

ここに当てはめていくだけで

求めたいものが得られる

式になっているんですね。

 

まず、TC 045°

WCA (偏流修正角) は −4°

先ほど出したばかりですね。

これで算出されるのが

TH 041°です。

さあ、TH までだせましたね。

 

次の Magnetic Heading (MH) を

出すには VAR が必要だということですね。

 

問題文には

追加情報として

VAR 6° W がありましたね。

 

この追加情報があるということは

参照 Chart 図には、

VAR の記載がないエリアといえます。

 

参照図は、もともと範囲が狭いですから

こういうケースも多々あります。

 

通常でしたら、Chart 上のどこかに

マゼンタの破線で VAR を

表示していることは

既にご存知の通りです。

 

今回は、素直に 6° W

使用しましょう。

 

さて、6°は足しますか?

引きますか?

 

足すんでしたね。

East is Least

West is Best

覚えてますよね。

 

次のボックスには+6が入ります。

TH 41 + VAR 6で 47

MH47° となりました。

では、最後に

Compass Heading (CH) を

求めるためには

何が必要かというと

Deviation (コンパス誤差) ですね。

 

現実世界では

DEV は、航空機内の磁気コンパスの

コンパスカードに明記されてますよね。

 

ただし、今は筆記テストの例題です。

なので参照図を見てください。

上段はあなたが飛ぼうとしているコースです。

下段はそれに対して必要な修正値です。

例えば、

030°に向かいたいのであれば、

コンパスの指針を 027°

合わせなさいということです。

−3°の誤差エラーがあるということですね。

 

もう一つ例を挙げると

060°に向かいたいのであれば

コンパスの指針を 056°に合わせる

ということです。

−4°の誤差エラーですね。

 

私たちが割り出した

MH047°です。

 

コンパスカードの

30 と 60 の間ですね。

DEV は、−3°から−4°です。

 

MH は、047°なので僅かですが、

60 に近いので

今回は、−4°を採用することにしましょう。

 

ボックスに −4°を入れます。

47−4°で43°

CH は、043°というように

割り出されました。

 

やっとたどり着きましたね。

お疲れさまでした。

 

まとめ

Compass Heading (CH) を求める

CH 求め方の流れ

・Chart 上でコースのラインを引く

・経線又は緯線の関係から TC を求める

 TC 045°

・風の条件をセットして WCA を求める

 WCA −4°

・TC と WCA から TH を割り出す

 TC 045° VAR+6° = TH 041°

・TH と VAR から MH を割り出す

 TH 041° VAR+6° = MH 047°

・MH と DEV から CH を割り出す

 MH 047° DEV−4° = CH 043°

 

練習問題にトライしてみよう!

Q  :  (Refer to figure) Determine the compass heading for a flight from CLAXTON EVANS Airport to HAMPTON VARNVILLE Airport. The wind is from 280° at 8 knots, and the true airspeed is 85 knots. Use 6° west variation.

 

A  :  043°.

B  :  033°.

C  :  038°.

 

(Refer to figure)

:図を参照してください

Determine the compass heading 

:割り出しなさい コンパスヘディングを

for a flight from  CLAXTON EVANS Airport to HAMPTON VARNVILLE Airport.

:フライトの キャラクストンエヴァンス空港から ハンプトンヴァーンヴィル空港まで

The wind is from 280° at 8 knots,

:風は 280°から 8ノット

and the true airspeed is 85 knots.

:それと 真対気速度は 85ノットです

Use 6° west variation.

:使いなさい 6°Wの磁気偏角を

043°.

:043°

033°.

:033°

038°.

:038°

この問題は本文の例題と同じ内容のため

音声解説は割愛させていただきます。

英文の表現を感じてください。

正解は、最後に記載してあります。

 

あとがき

はい。どうでしたか?

Flight Computer の

Wind 側の使い方も

慣れてきたんじゃないですか?

 

回を重ねるごとに

計算式の順序も含めて

理解が深まってきたと思います。

 

次回は、

発展問題として逆算して

風の成分を割り出すということに

挑戦してみましょう。

 

これまでは、予め与えられていた

風の条件 (風向風速) を

逆に求めるという方法です。

楽しみに、していてくださいね。

 

ということで、今回は以上となります。

今日も最後まで読んでいただきまして

ありがとうございます!

ではまた!

 

 

Q の正解は、

A  :  043°. です。

 

コメント

  1. takumi より:

    久しぶりにコメントします
    True Courseの求め方なのですが、Plotter上部の直線部を緯線に合わせるかTrue Courseに合わせるかはどのように決めるのでしょうか。

    • 須永 学 より:

      Takumi様

      大変遅くなってしまいましたが、
      コメントありがとうございます!
      しばらく別の活動に取り組んでいたもので
      正直このサイトの更新等はお休みしておりました。
      コメントが入った際にメールでお知らせが来る設定にしてあるのですが、
      そのメールが全て迷惑メールに振り分けられていたことに気づいたばかりです。
      ご返信が遅くなってしまい本当に申し訳ございません。
      以後、小まめに確認していきますので
      よろしくお願いいたします。

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