Air Traffic Control (航空交通管制)

FAR

[FAR : 連邦航空規則]

 

パイロット免許への水先案内人

須永です!

 

前回は、

Speed Limits (速度制限)

についてお話しさせていただきました。

 

速度制限が有るエリアと

無いエリアの境界は

まず、海抜 10,000 フィートで

区切られるということでしたね。

 

海抜 10,000 フィート以上の

空域では、速度制限は無しです。

 

海抜 10,000 フィート未満の

空域は、最大で 250 ノットです。

 

さらに、クラス C・D の空域では

主要空港から 4 NM 以内で

且つ 地上 2,500 フィート以下の

空域は、200 ノットが

最高速度ということでした。

 

クラス B の空域では

VFR コリドーの回廊内と

クラス B の下の空域で

200ノットが

最高速度となる以外は

基本的に特別なリミットは無く

海抜 10,000 フィート以上か

未満かで判断すれば良い

ということを

理解していただけましたか?

 

 

回は、

Air Traffic Control (航空交通管制)

についてお話したいと思います。

 

航空管制では

正確にはどのような

クリアランスを航空機に

提供しているのでしょうか?

 

航空管制は管制空域内で

特定された交通条件の下で

先に進むことを許可しています。

 

簡単にいうと

”指示の通りに先に進んで良い”

ということです。

 

ATC CLEARANCE AUTHORIZES YOU

To proceed under specified traffic conditions in controlled airspace

 

ATC CLEARANCE AUTHORIZES YOU

:航空管制のクリアランスは 許可する あなたを

To proceed under specified traffic conditions in controlled airspace

:進むこと 特定の交通条件で 管制空域内において

 

 

ただここで、しっかりと

認識していなければいけないことは、

管制官が出すクリアランスの範疇には

他の航空機とのセパレートの保証や

他の航空機よりも優先権が

与えられるわけではない

ということです。

 

CLEARANCE DOES NOT

Separate you from other aircraft

Give you priority over other traffic

 

CLEARANCE DOES NOT

:クリアランスは しません

Separate you from other aircraft

:他の航空機とのセパレーションを

Give you priority over other traffic

:あなたに優先権を与えること 他の航空機に対して

 

 

クリアランスとは、

離陸や着陸などといった手順を

そのまま進めることを

認めるだけなのです。

 

ですから、引き続き

他の航空機との接近遭遇に

注意を払うことは

パイロットの責任ということなのです。

 

 

 

では先に進みますよ。

グランドコントロールとの

やり取りについてです。

 

ランウェイまでの

又はランプまでの

タキシングの手順を受けたなら、

向かうことを許可された

ランウェイナンバー等を含む手順を

はっきりと復唱するべきなのです。

 

そうすることで、

グランドコントロールから

出された指示をあなたが

正確に把握したことを

共通認識することができるからです。

 

もし、タキシングの目的地に

向かう途中でランウェイを

横切る必要がある場合は、

その都度ランウェイを横切って良いのか、

待機するのかを

その箇所ごとに

グランドコントロールは

あなたに指示や許可を

出さなければなりません。

 

CONTROLLER MUST CLEAR YOU

To cross each runway, one by one

 

CONTROLLER MUST CLEAR YOU

:管制官は許可しなければならない あなたを

To cross each runway, one by one

:ランウェイを横切ること、 一つずつ

 

 

ホールドショートの指示が出た際にも、

言われた通りに復唱しなければなりませんよ。

 

繰り返しになりますが、

管制官からの指示を

しっかりと受け取ったことを

知らせるという意味もありますので、

該当するランウェイナンバーと

あなたの機体ナンバーを

含めて復唱するのです。

 

その後、

ランウェイホールドショートの

地点に到着したら、

あなたはそこでホールドするわけです。

 

ランウェイを横切っても良い旨の

クリアランスを得てから

初めてランウェイを

横切ることができるのです。

この時のクリアランスの

内容も復唱しますよ。

 

いいですか、

クリアランスは常に

TO the runway (ランウェイまで)

です。

ランウェイの中に

進入しても良いという

ことではありませんからね。

 

CLEARANCE TO TAXI TO RUNWAY

Is not clearance to taxi onto it

 

CLEARANCE TO TAXI TO RUNWAY

:ランウェイまでのタクシークリアランスは

Is not clearance to taxi onto it

:ランウェイの中へ進入を許可しない

 

 

例えば、

グランドコントロールから

以下のようなクリアランスが出たとします。

 

“Cessna 359ES, Taxi to Runway 23, Via Taxiway J, H, and C, Cross Runway 28L, Hold short of Runway 28R”

 

あなたは、この通りに

復唱しなければいけませんよ。

 

その後、

あなたはタキシングを開始して

タクシーウェイの J、H、C を経由して

ランウェイ 23 に向かいます。

 

そこで注意するのは、

タクシーウェイ C まで進んだら

ランウェイ 28L を横切る許可は

既に得ていますので

そのまま通過します。

 

しかし、

ランウェイ 28R の手前で停止します。

ホールドショートの指示でしたからね。

管制官からランウェイ 28R を

横切るクリアランスを得てから

初めて通過することができる

ということです。

 

 

 

では、場面が変わって

タワーから着陸許可を得たあなたは

たった今ランディングを行い

減速しながらランウェイを

走行しています。

 

ランウェイからランプに向かうために

グランドコントロールと

コンタクトを取ることが必要ですが、

どのタイミングで

グランドコントロールに

スイッチすれば良いのでしょうか?

 

それはタワーから

指示が出たときです。

 

“Cessna 359ES, Contact Ground 123.8”

のように指示を受けてからです。

 

ランウェイの外に出たからといって

自分で勝手にグランドコントロールと

コンタクトしてはいけませんよ。

 

CONTACT GROUND CONTROL

Only when tower advises

 

CONTACT GROUND CONTROL

:交信 グランドコントロール

Only when tower advises

:タワーが知らせたときだけ

 

 

なぜなら多くの空港では

空も地上も含めて

たくさんの航空機が

行き来しています。

 

複数のランウェイを持つ空港もあり、

あなたをグランドコントロールに

引き継ぐ前に

別のランウェイの交通も

考慮していることもあるのです。

 

ですから、

必ずタワーの指示の下で

グランドコントロールに

スイッチするということなのです。

 

 

 

さて、原則的に管制官から得る

クリアランス (他の航空機とのセパレーションの一連の流れ / 離陸後のヘディングや上昇高度など) はその通りに

従わなくてはならないのですが、

例外が3つあります。

 

一つは既に出されたクリアランスが

改めれた場合です。

 

改められたクリアランスの方が

優先されるということです。

 

次に緊急事態のときです。

 

事態に対処するためでしたら

必要とされることは

如何なることも行うことが

許されています。

 

最後に

他の航空機との衝突を

避けるためでしたら

管制官からのクリアランスよりも

優先して衝突を回避することが

大切ということですね。

 

DEVIATE FROM ATC CLEARANCE ONLY

With amended clearance

In an emergency

Avoid hitting another aircraft

 

DEVIATE FROM ATC CLEARANCE ONLY

:航空管制のクリアランスからの逸脱 ・・・の時だけ

With amended clearance

:クリアランスの改め

In an emergency

:緊急事態

Avoid hitting another aircraft

:他の航空機との衝突回避

 

 

 

<まとめ>

Air Traffic Control (航空交通管制)

ATC Clearance

◎手順を進めることを許可するもの

(セパレーションや優先権を与えられるのではない)

 

Cross each Runway

◎ランウェイの横切りは一つずつ許可が必要

 

Clearance to Taxi TO Runway

◎ランウェイの中への進入まで許可していない

 

Contact Ground Control

◎タワーの指示を受けてから

 

Deviate from ATC Clearance Only

◎クリアランスが改められたとき

◎緊急事態のとき

◎他の航空機との衝突回避のとき

 

 

では、練習問題にトライしてみましょう!

・・・・・・・・・・・・・・・

Q1  :  When an ATC clearance has been obtained, no pilot in command may deviate from that clearance, unless that pilot obtains an amended clearance. The one exception to this regulation is

 

A  :  when the clearance states “at pilot’s discretion.”

B  :  an emergency.

C  :  if the clearance contains a restriction.

 

 

When an ATC clearance has been obtained,

:航空管制クリアランスを得たとき

no pilot in command may deviate from that clearance,

:そのクリアランスを逸脱する機長は居ません

unless that pilot obtains an amended clearance.

:改められたクリアランスを得ない限り

The one exception to this regulation is

:この規則の例外の一つは・・・です

when the clearance states “at pilot’s discretion.”

:そのクリアランスに”パイロット判断で”と明言されているとき

an emergency.

:緊急事態

if the clearance contains a restriction.

:そのクリアランスに制限を含んでいるとき

自力で回答してから音声を聞いてください。

 

・・・・・・・・・・・・・・・

Q2  :  After landing at a tower-controlled airport, when should the pilot contact ground control?

 

A  :  When advised by the tower to do so.

B  :  Prior to turning off the runway.

C  :  After reaching a taxiway that leads directly to the parking area.

 

 

After landing at a tower-controlled airport,

:着陸後 管制塔の有る空港に

when should the pilot contact ground control?

:いつパイロットはグランドコントロールと交信すべきですか

When advised by the tower to do so.

:タワーからそうするように助言されたとき

Prior to turning off the runway.

:ランウェイから出るターンの前

After reaching a taxiway that leads directly to the parking area.

:パーキングエリアに直結するタクシーウェイに到着後

自力で回答してから音声を聞いてください。

 

・・・・・・・・・・・・・・・

Q3  :  If instructed by ground control to taxi to runway 8, the pilot may proceed

 

A  :  via taxiways and across runways to, but not onto, runway 8.

B  :  to the next intersecting runway where further clearance is required.

C  :  via taxiways and across runways to runway 8, where an immediate take off may be  made.

 

 

If instructed by ground control to taxi to runway 8,

:もし指図されたら グランドコントロールから ランウェイ8までタクシーすること

the pilot may proceed

:パイロットは進んでも良い

via taxiways and across runways to, but not onto, runway 8.

:タクシーウェイ経由で途中のランウェイを横切り、でもランウェイ8に進入しない

to the next intersecting runway where further clearance is required.

:次のランウェイ交差地点まで それ以降はクリアランスが必要となる

via taxiways and across runways to runway 8,

:タクシーウェイ経由で途中のランウェイを横切りランウェイ8まで、

where an immediate take off may be  made.

:そこから直ちに離陸が行われる

自力で回答してから音声を聞いてください。

 

・・・・・・・・・・・・・・・

Q4  :  An ATC clearance provides

 

A  :  priority over all other traffic.

B  :  adequate separation from all traffic.

C  :  authorization to proceed under specified traffic conditions in controlled airspace.

 

 

An ATC clearance provides

:航空管制クリアランスは与えます

priority over all other traffic.

:全ての他の航空機に対する優先権

adequate separation from all traffic.

:全ての交通から十分な分離

authorization to proceed under specified traffic conditions in controlled airspace.

:許可を 進むこと 特定の交通条件の下で 管制空域内において

自力で回答してから音声を聞いてください。

 

はい。どうでしたか?

 

実際には

支障になる他の航空機が

居ないと判断された上で

離着陸時に出される

許可(クリアランス)は

出されるわけなんですが、

 

規則的な解釈でいうと

航空機に対して

その行為を実行しても良いと

いうことを許可を

与えているだけなんですね。

 

ですから

他の空機との衝突を

避けるための警戒業務の責任は

依然として

パイロットにあるわけなんですね。

 

他にもここまではOKだが、

その先については

新たなクリアランスが

必要であるというように

線引きされた部分を

クリアに理解しておくことが

筆記テスト対策のためには

もちろんですが、

何よりも安全運航という

大前提のために

非常に重要ですので

しっかりと押さえてくださいね。

 

ということで、今回は以上となります。

今日も最後まで読んでいただいて

ありがとうございます!

ではまた!

 

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