[FAR : 連邦航空規則]
パイロット免許への水先案内人
須永です!
前回は、
Setting Your Altimeter
(あなたの高度計を規正する)
についてお話しさせていただきました。
離陸前に
Altimeter Setting をする
方法や大切な意味を
理解していただけましたか?
今回は、
Speed Limits (速度制限)
についてお話したいと思います。
速度制限ということですが、
自動車の道路のように
空にも速度制限はあるのでしょうか?
はい、あります。
ただし、
海抜 10,000 フィート以上の
高度ではそれは存在しません。
10,000’ MSL NO SPEED LIMIT
10,000’ MSL NO SPEED LIMIT
:海抜 10,000 フィート 速度制限なし
ですので、
海抜 10,000フィート以上の
空域では、
あなたは好きなだけ
速い速度で飛行できるわけです。
速度制限が設けられているのは
海抜 10,000 フィート未満の高度です。
なぜならこの高度の空域は、
小型機も含めたくさんの
航空機が行き来しているため、
他の航空機と接近遭遇する
割合が高いためですね。
お互いに衝突してしまう事態を
避けるために速度を抑えています。
これは他の航空機を発見してから
衝突回避に充てられる時間を
少しでも長くする目的で
速度制限があるということです。
具体的には
海抜 10,000 フィート未満の空域では
全ての航空機に対して
最高指示対気速度は 250ノットです。
SPEED LIMIT Below 10,000’ MSL
250 KIAS
SPEED LIMIT Below 10,000’ MSL
:速度制限 海抜 10,000 フィート未満
250 KIAS
:250 ノット指示対気速度
では、
航空機同士がもっと混み合う
空港周辺の空域では、
どうかというと
更に最高指示対気速度は
低く規制されています。
クラス C や D の空域においては、
主要空港から 4 NM の範囲内で、
高さが地上 2,500 フィート以下の
空域では 200 ノットと定められています。
私たちが訓練等で使用する
単発プロペラ機の巡航速度は
大体 120 ノット位です。
ですから、小型機が速度制限を
気をつけるというより、
より速く飛べるジェット機に対して
混んでいる空域では、
ゆっくり飛んでもらうための
制限と考えていいと思います。
クラス B の空域ではどうでしょう?
実は、
クラス B 内では特に設定された
速度制限はないのです。
クラス B 内に進入した際、
もしも、そこが
海抜 10,000 フィート以上であれば、
一番初めに書いた通り
その高度では速度制限は
ないエリアということです。
それから
クラス B 内で高度が
10,000フィート未満であれば、
地上までの範囲を含めて
250 ノットが
最高指示対気速度となります。
これはクラス B 内では、
全ての航空機がレイダーによって
他の航空機同士が
セパレートされているので
突然他の航空機と
遭遇することがないためです。
それを踏まえて
こんな質問をされたら
どう答えますか?
「クラス B の主要空港から 4 NM 内の範囲で、且つ地上高度が 2,500 フィート以下の空域での速度制限は?」
この場合、
クラス C や D の空域と
混同してはいけませんよ。
なぜなら、
クラス B 内で
且つ海抜 10,000 フィート未満の
空域であれば、
注意すべき速度制限は
250 ノットだけだからです。
しかし、
気をつけなければいけないのは、
クラス B の周辺にも 250 ノットより
遅い速度制限が設けられている
空域があるからです。
それはクラス B の下の空域です。
クラスBの範囲って覚えていますか?
空港によって形は様々ですが、
基本的には何段重ねかのケーキを
逆さまにしたような形に
なっていますよね。
もし、記憶が怪しいときは
下を読み直してください。
このように傘の下の部分は
クラス B の外ということです。
ですから、
この空域では速度制限は
250 ノットではなく
200 ノットになるんです。
というのは、この空域には
クラス B の主要空港を離発着せず
その周辺を通過するだけの
航空機がたくさん飛んでいるからです。
クラス B 内を通過するには、
たくさん条件も必要ですから、
クラス B 内に入らずに
通過したい航空機が多くなるんです。
結果、速度が速い航空機は
衝突回避のために速度制限内で
飛行しなくてはならない
ということなんです。
また、
クラス B 内に VFR 機の通過のために
設定された VFR コリドーと
呼ばれる回廊を通り抜ける場合は、
200 ノットの速度制限で
飛行しなくてはいけませんよ。
<まとめ>
Speed Limits (速度制限)
10,000’ MSL 以上
◎速度制限なし
10,000’ MSL 未満
◎最高指示対気速度250ノット
Class C・D
◎最高指示対気速度200ノット
(主要空港から4NM・2,500AGL)
Class B
◎10,000’ MSL 以上
(速度制限なし)
◎10,000’ MSL 未満
(最高指示対気速度250ノット)
◎Class B の下/VFR コリドー
(最高指示対気速度200ノット)
では、練習問題にトライしてみましょう!
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Q1 : Unless otherwise authorized, what is the maximum indicated airspeed at which a person may operate an aircraft below 10,000 feet MSL?
A : 200 knots.
B : 250 knots.
C : 288 knots.
Unless otherwise authorized,
:認可されない限り
what is the maximum indicated airspeed
:何が最高指示対気速度ですか
at which a person may operate an aircraft below 10,000 feet MSL?
:海抜10,000フィート未満の運航では
200 knots.
:200ノット
250 knots.
:250ノット
288 knots.
:288ノット
・
・
・
自力で回答してから音声を聞いてください。
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Q2 : Unless otherwise authorized, the maximum indicated airspeed at which aircraft may be flown when at or below 2,500 feet AGL and within 4 nautical miles of the primary airport of Class C airspace is
A : 200 knots.
B : 230 knots.
C : 250 knots.
Unless otherwise authorized,
:認可されない限り
the maximum indicated airspeed
:最高指示対気速度は
at which aircraft may be flown when at or below 2,500 feet AGL
:地上2,500フィート以下で飛ぶ航空機の
and within 4 nautical miles of the primary airport of Class C airspace
:且つ 4ノーティカルマイル以内 クラスCの主要空港から
is
:・・・です
200 knots.
:200ノット
230 knots.
:230ノット
250 knots.
:250ノット
・
・
・
自力で回答してから音声を聞いてください。
・・・・・・・・・・・・・・・
Q3 : When flying in the airspace underlying class B airspace, the maximum speed authorized is
A : 200 knots.
B : 230 knots.
C : 250 knots.
When flying in the airspace underlying class B airspace,
:クラスBの下の空域を飛行するとき
the maximum speed authorized is
:最高指示対気速度は・・・です
200 knots.
:200ノット
230 knots.
:230ノット
250 knots.
:250ノット
・
・
・
自力で回答してから音声を聞いてください。
・・・・・・・・・・・・・・・
Q4 : When flying in a VFR corridor designated through class B airspace, the maximum speed authorized is
A : 180 knots.
B : 200 knots.
C : 250 knots.
When flying in a VFR corridor designated through class B airspace,
:クラスBを抜けるVFRコリドーを飛行するとき
the maximum speed authorized is
:最高指示対気速度は・・・です
180 knots.
:180ノット
200 knots.
:200ノット
250 knots.
:250ノット
・
・
・
自力で回答してから音声を聞いてください。
はい。どうでしたか?
今回の速度制限につては
小型単発機の巡行速度を考えると
私たちにとっては
直接かかわる場面は
ないかも知れません。
しかし、
筆記テストに必要な知識として
しっかりと押さえておきましょうね。
ということで、今回は以上となります。
今日も最後まで読んでいただいて
ありがとうございます!
ではまた!
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