[Weather : 気象]
パイロット免許への水先案内人
須永です!
前回は、
Thunderstorms (雷雨) について
お話しさせていただきました。
特殊な雷雨の一つである
スコールラインを含め
雷雨の持つ特性や危険性
またライフサイクル等
基本的な内容は
覚えて頂けましたか?
今回は、
Weather Scenario (天気の起こり得る事象)
についてお話したいと思います。
と言っても難しく考えることはありません。
実際にフライト中に雷雨に遭遇したときに
どんな判断が必要とされるのかについて
簡単に説明したいと思います。
自機のルート上に雷雨や積乱雲が
発生したとしたら
その中に入っていく人は居ないですよね。
激しい乱気流に巻き込まれるために
わざわざ近づかないはずです。
まあ、そもそも VFR機は、
雲の中に入れませんけどね。
では、このような場合はどうでしょうか?
あなたの目的地である空港の近くに
雷雨が発生しています。
以下の条件があると仮定したとき
一体どうすべきなのか
一緒に考えてみましょう。
“ 空港には、
Runway 08-26 という
1本の滑走路があります。
風は、ほとんど無風に近い状態です。
風が無風のときは、
Runway 08 が推奨されていて
トラフィック・パターンは
レフトハンド・トラフィックです。
あなたの操縦する機体以外
他の航空機は空港周辺を飛行していません。
空港から西に6マイルの地点に
雷雨が発生していて
地上で雨が観測されたことから
その雷雨は最盛期を迎えています。“
このような状況下において
「西に向かって Runway 26 に着陸しますか?
それとも東に向かって Runway 08 に着陸しますか?
また、それはなぜでしょう?」
と、このように問われるかも知れません。
まず、条件を確認すると
空港には風がありません。
風がない場合は Runway 08 が推奨されていて
パターンは、レフトハンド・トラフィックでしたね。
それから空港の西に最盛期の
雷雨が存在しています。
最盛期ということは
上昇気流と下降気流が混在している
ということですよね。
もし下降気流が地上にヒットしたら
空気の流れは、
そこから四方に広がることが予測できます。
つまり、現時点では風が吹いていないとしても、
いずれは空港の地上付近には
西からの風が吹いてくることになりますよね。
無風時は Runway 08 が推奨されていますが、
あくまでも推奨であって必須ではありません。
ですから、西に向かって
Runway 26 に降りることが
着陸時に Tail-wind になってしまう
可能性のリスクを最小限に抑えることが
できるということなんです。
筆記テストの選択肢の中には
「代替空港への着陸」は
ありませんので、
「Runway 26 に着陸する」が
正解となるわけです。
(仮に代替空港への着陸が可能であれば、少しでも離れた空港へ降りることが一番安全だということは言うまでもありませんよね。)
このように少し応用力を試される
問題も出題されることもありますので
慣れておきましょうね。
ということで、
上記と全く同じ内容で
英文にしたらこうなりますので
ちょっとトライしてみてください。
(今回は1問だけです)
・・・・・・・・・・・・・・・
Q : The destination airport has one runway 08-26, and the wind is calm. The normal approach in calm wind is a left hand pattern to runway 08. There is no other traffic at the airport. A thunderstorm about 6 miles west is beginning its mature stage, and rain is starting to reach the ground. The pilot decides to
A : fly the pattern to runway 08 since the storm is too far away to affect the wind at the airport.
B : fly the normal pattern to runway 08 since the storm is west and moving north and any unexpected wind will be from the east or southeast toward the storm.
C : fly an approach to runway 26 since any unexpected wind due to the storm will be westerly.
The destination airport has one runway 08-26,
:目的地空港 持つ 1本 滑走路08-26
and the wind is calm.
:且つ 風 ほとんど無し
The normal approach in calm wind
:通常進入 無風時の
is a left hand pattern to runway 08.
:レフトハンド・パターン 滑走路08へ
There is no other traffic at the airport.
:他の航空機の通行なし 空港には
A thunderstorm about 6 miles west
:雷雨 約6マイル西の
is beginning its mature stage,
:その最盛期を 始めている
and rain is starting to reach the ground.
:そして 雨 降り始めている 地上に
The pilot decides to
:パイロット 決定する ~すること
fly the pattern to runway 08
:飛ぶ パターン 滑走路08に向け
since the storm is too far away
:雷雨 遠すぎるから
to affect the wind at the airport.
:影響するには 風が 空港で
fly the normal pattern to runway 08
:飛ぶ 通常パターン 滑走路08に向け
since the storm is west and moving north
:雷雨 西で 動いている 北へ
and any unexpected wind will be from the east or southeast
:そして 予期しない風 東または南東から
toward the storm.
:嵐に向かって
fly an approach to runway 26
:飛ぶ 進入経路 滑走路26に向かって
since any unexpected wind due to the storm will be westerly.
:予期せぬ風 嵐による 西になるから
・
・
・
自力で回答してから音声を聞いてください。
はい。どうでしたか?
今回は知識・理解だけでなく
少しだけ応用力が問われる問題も
出されますよということで
練習してみました。
問題文も長いので
うわー!って
思われたかも知れませんが、
細かく分解してみると
意外に易しかったんじゃないですか?
まあ、飛ぶためには
最低限の英語力は必要ですので
ここは踏ん張って乗り越えていきましょう。
ということで、今回は以上となります。
今日も最後まで読んでいただいて
ありがとうございます!
ではまた!