[FAR : 連邦航空規則]
パイロット免許への水先案内人
須永です!
前回は、
Air Traffic Control (航空交通管制)
についてお話しさせていただきました。
管制官から与えられた
許可(クリアランス)を
正しく理解することが
安全に航空機を運航する上で
とても大切であるということを
理解していただけましたか?
今回は、
Traffic Information System
(交通情報システム)
についてお話したいと思います。
グラスコックピットの
計器盤のディスプレイや
iPadのようなタブレットで、
あなたの機体の周辺を飛行している
他の航空機をチェックできる
としたら素晴らしいと思いませんか?
このシステムを
Traffic
Information
System
TISと呼びます。
レーダースコープに
個別の航空機が
映し出されるような感覚で
トランスポンダーの発する信号を
受信しているわけですね。
ただし、
これはトランスポンダーの信号を
直接受信しているのではありません。
一般的な航空機の多くは
ADS-B OUT を装備しています。
ADS-B OUT は
Automatic Dependent Surveillance Broadcast Out
の略で、
航空管制を監視するために
自動的にあなたの位置情報を
発信する仕組みです。
簡単にいうと
レーダーのようなもので、
GPSの信号を経由して
交通や気象などの情報を
提供するシステムです。
デジタルな情報を使用することで、
より正確で安全で効率的な管制が
可能になる次世代のツールです。
トランスポンダーが必要とされる
空域を飛行する航空機に対して
2020年1月1日までに
装備されることが義務付けされました。
その際、追加料金がかかりますが、
ADS-B IN も装備することで、
提供される情報をダイレクトに
受信することが可能になります。
更に大金を注ぎ込むことが
可能であれば、
あなたのセスナにも
TCAS Ⅰ, TCAS Ⅱといった
もっと洗練された
航空管制システムを利用できるのです。
TCAS とは
Traffic alert and
Collision
Avoidance
System
の略で
空中衝突防止装置を意味します。
これらのシステムは、
ほとんどが商業用の航空機や
大型機に導入されるもので、
他の航空機のトランスポンダーを
検出してくれるのです。
ONBOARD EQUIPMENT
Detects other aircraft transponders
ONBOARD EQUIPMENT
:搭載装備
Detects other aircraft transponders
:検出する 他の航空機のトランスポンダーを
TCAS Ⅰも TCAS Ⅱも
他の航空機との相対位置・高度関係を
チェックできるもので、
衝突の危険がある場合は
ビジュアルと音声で
警告してくれる優れものです。
TRAFFIC ADVISORIES
Visual and audio
When there is a collision threat
TRAFFIC ADVISORIES
:交通情報
Visual and audio
:ビジュアルと音声
When there is a collision threat
:衝突の兆しがあるとき
パイロットとして
他の航空機との衝突を避けるため
周囲に目を配ることは
基本中の基本であることは
言うまでもありませんね。
それを補助してくれる
システムとして前述の
空中衝突防止装置 TCAS Ⅰがあります。
他の航空機をモニターに表示し、
おおまかな相対位置と
高度の情報を提供してくれます。
接近情報として
警報で知らせてくれるのです。
TCAS Ⅰ
Display other aircraft
Gives simple alerts
TCAS Ⅰ
:ティーカスⅠ
Display other aircraft
:他の航空機の表示
Gives simple alerts
:シンプルに警告
また、TCAS Ⅱは、
TCAS Ⅰの機能を全て含み、
プラス危険回避指示を
音声とディスプレイで
パイロットに伝えるものです。
高度変更が必要な際は、
”descend, descend”
または
”climb, climb”
といった音声で
指示を与えてくれるのです。
TCAS Ⅱ RESOLUTION ADVISORY
Advises to climb or descend and by how much
TCAS Ⅱ RESOLUTION ADVISORY
:ティーカスⅡ 解決策勧告
Advises to climb or descend and by how much
:勧告する 上昇又は降下 どれ位の
もし、これらのシステムの
指示に従うことで
管制クリアランスと
対立(逸脱)してしまう場合は
システムの指示を優先して
良いことになっています。
RESOLUTION ADVISORY
Follow the resolution advisory,
even if it conflicts with ATC clearance
RESOLUTION ADVISORY
:解決策勧告
Follow the resolution advisory,
:従う 解決策勧告に
even if it conflicts with ATC clearance
:たとえ対立 (逸脱) しても ATCクリアランスと (を)
これは前回お話した通り
クリアランスを逸脱しても良いケースが
3つありましたよね。
・クリアランスが改められたとき
・緊急事態
・他の航空機との衝突回避
システムの指示に従う行動は
正にこの3つ目のケースになりますので
逸脱しても良い
ということになるわけですね。
DEVIATE FROM ATC CLEARANCE ONLY
If obtain amended clearance
In an emergency
In response to a resolution advisory
DEVIATE FROM ATC CLEARANCE ONLY
:航空管制のクリアランスからの逸脱 ・・・の時だけ
If obtain amended clearance
:もし得たら 改められたクリアランスを
In an emergency
:緊急事態
In response to a resolution advisory
:解決策勧告に応じて
<まとめ>
Traffic Information System
(交通情報システム)
TIS
◎Traffic Information System の略
◎トランスポンダー搭載機に位置情報を提供
ADS-B OUT
◎Automatic Dependent Surveillance Broadcast Out の略
◎GPSを使い交通や気象情報を提供
ADS-B IN
◎提供される情報をダイレクトに受信可能
TCAS (Ⅰ/Ⅱ)
◎Traffic alert and Collision Avoidance System の略
(空中衝突防止装置)
◎他の航空機のトランスポンダーを検出
◎危険時、ビジュアルと音声で勧告
TCAS Ⅰ
◎他の航空機を表示・シンプルに警告
TCAS Ⅱ
◎TCAS Ⅰの機能プラス高度変更が
必要な際はディスプレイと音声で伝える
Resolution advisory
◎解決策勧告に従うためクリアランス逸脱可
Deviate from ATC Clearance Only
◎改められたクリアランスを得たとき
◎緊急事態
◎解決策勧告に応じるとき
今回の内容は
次世代のシステムということで
今までに無かったものが
さらに新しくつけ加えられる可能性が
十分に考えられますので
練習問題は本質的に
変わることのない部分だけを
取りあげて
1問だけトライしてみましょう!
・・・・・・・・・・・・・・・
Q : As a pilot in command of an aircraft, under which situation can you deviate from an ATC clearance?
A : When operating in class A airspace at night.
B : If an ATC clearance is not understood and in VFR conditions.
C : In response to a traffic alert and collision avoidance system resolution advisory.
As a pilot in command of an aircraft,
:航空機の機長として
under which situation can you deviate from an ATC clearance?
:どの条件下で ATCクリアランスを逸脱できますか
When operating in class A airspace at night.
:クラスAの空域を夜間運航するとき
If an ATC clearance it not understood and in VFR conditions.
:もし、ATCクリアランスが理解されず 且つVFRコンディション
In response to a traffic alert and collision avoidance system resolution advisory.
:交通警報と衝突回避システムの解決策勧告に応じる場合
・
・
・
自力で回答してから音声を聞いてください。
はい。どうでしたか?
ここ数年の間に
誰もがスマホを
持つようになりました。
今では当たり前のように
日常でGPS機能を
活用する今日です。
大変便利になったものです。
その波は
航空業界でも例外ではなく
新しいシステムが
どんどん取り入れらてきています。
私が訓練を受けていた頃に
考えられないような
進歩を遂げています。
情報を発信する側として
正確にお伝えするために
昔のことだけではなく
最新の分野にも
精通しなくてはいけない
ということを
ひしひしと感じた
今回の内容でした。
あなたと一緒に
勉強していきますので
これからも
よろしくお願いします。
ということで、今回は以上となります。
今日も最後まで読んでいただいて
ありがとうございます!
ではまた!