Emergency Locator Transmitters (ELTs) 救命無線機

[FAR : 連邦航空規則]

パイロット免許への水先案内人

須永です!

 

前回は、

Dropping Objects (物体投下)

についてお話しさせていただきました。

基本的に航空機からの

物体投下は出来ませんが、

地上の人や物に損害を

与えないような予防措置が

取られている場合は

許されるということを

理解していただけましたか?

回は、

Emergency Locator Transmitters (ELTs) 救命無線機

についてお話したいと思います。

ELT (航空機用救命無線機) とは、

墜落してしまった航空機の居場所を

特定して探し出すためのツールです。

遭難信号を発して

居場所を知らせる

無線設備なんですね。

アナログ (旧式) の ELT が

発する緊急事態の信号は、

民間機は 121.5 MHz で

軍用機は 243.0 MHz の

周波数となっています。

ANALOG ELT

121.5 MHz-civilian

243.0 MHz-military

ANALOG ELT

:アナログ式 救命無線機

121.5 MHz-civilian

:121.5 メガヘルツ 民間機

243.0 MHz-military

:243.0 メガヘルツ 軍用機

ELT が作動するには

地面に衝突した際の

大きな衝撃を受けることで

スイッチが入る仕組みになっています。

遭難信号は

他の航空機によって

傍受されることもありますし、

航空管制官施設は

常に遭難信号に

対応できる状態にあることが

必須となっています。

前述のアナログ式に対して

新型のデジタル式 ELT の信号は

121.5 MHz と

406 MHz の

二つの周波数を発信します。

121.5 MHz は航空管制で

傍受されるのは変わりませんが、

460 MHz は人工衛星に

対応しているんです。

デジタル信号を使用することで

遭難した航空機に関する多くの情報を

一度に伝達することが可能なのです。

例えば、

その航空機の所有者、

登録番号、

型式、

それから遭難した位置情報です。

DIGITAL ELT CAN TRANSMIT INFO ABOUT AIRCRAFT:

Owner

Tail number and type

Location

DIGITAL ELT CAN TRANSMIT INFO ABOUT AIRCRAFT:

:デジタル式救命無線機

Owner

:所有者

Tail number and type

:登録番号と型式

Location

:位置情報

ピンポイントで

位置情報を入手できるので、

早期発見にとても役立つ

ということなんですね。

出来れば、この ELT の

お世話にはなりたくありませんが、

万が一に備えて

正常に作動させるため

定期的な検査が必要とされています。

ELT は、12ヶ月ごとに

適切なインストールや

バッテリー端子の腐食状態、

正常な作動などについて

検査が義務付けられています。

ELT INSPECTION

Within 12 months of last inspection

Proper installation

Battery corrosion

Proper operation

ELT INSPECTION

:ELT 検査

Within 12 months of last inspection

:12ヶ月以内 最終検査から

Proper installation

:適切なインストール

Battery corrosion

:バッテリーの腐食

Proper operation

:正常な作動

ELT バッテリーは

耐用年数の50%が経過した時点で交換、

もしくは充電式なら

再充電を行わなければなりません。

また、

送信機の累積使用時間が

1時間になった時点で

バッテリーの交換

もしくは再充電を

しなくてはいけません。

BATTERY REPLACED OR RECHARGED WHEN

50% of useful life expires

Transmitter in use more than 1 cumulative hour

BATTERY REPLACED OR RECHARGED WHEN

:バッテリーの交換 又は再充電 時期

50% of useful life expires

:耐用年数の50%が失効する

Transmitter in use more than 1 cumulative hour

:累積1時間以上使用している送信機

実際に遭難していなくても

誤作動で ELT のスイッチが入ってしまい

累積使用時間が

1時間に達してしまった場合

バッテリーの交換

または再充電が必要となるわけです。

墜落以外で

スイッチが入ってしまうケースとして、

ハードランディングであったり

乱気流にもまれた場合などか挙げられます。

もし、間違って

スイッチが入ってしまった場合

確認する1つの方法として、

エンジンを停止する前に

無線周波数を

121.5 MHz に合わせて

ELT の信号が出ていないかを確認します。

CHECK FOR ACCIDENTAL ELT ACTIVATION

Monitor 121.5 before engine shutdown

CHECK FOR ACCIDENTAL ELT ACTIVATION

:ELT 誤作動チェック

Monitor 121.5 before engine shutdown

:121.5 MHz を監視する エンジン停止の前に

もし、

誤作動でオンになっていたら

初めて聞く人でも分かるような

けたたましく耳障りな

警報音が鳴り響くはずです。

デジタル式の ELT を

同じように確認した場合

スイッチ付属の赤いライトが点滅します。

アナログ式と同じように

嫌な警報音も聞こえることでしょう。

では、

正常に作動するかどうかの

事前テストについてですが、

デジタル式の ELT のテストは

専門家だけしか実施できません。

TESTING DIGITAL ELT

Approved technician only

TESTING DIGITAL ELT

:デジタル ELT のテスト

Approved technician only

:承認された技術者のみ

しかし、

アナログ式の ELT であれば

正常に作動するかどうかを

チェックすることは

あなたにも出来ます。

ただし、

テストを行える時間帯は

限られていますよ。

毎時間ごとの

最初の5分間だけです。

TESTING ANALOG ELT

First 5 minutes after the hour

TESTING ANALOG ELT

:アナログ ELT のテスト

First 5 minutes after the hour

:最初の5分間 時間の後

それ以外の時間帯で実施してしまうと

捜索活動が開始されてしまいますので

注意してください。

事故を起こすなら

毎時の最初の5分間以外をお勧めします。

なぜって

世界中で 121.5 の信号が

テスト発信されるわけです。

傍受した者は

まずテストだなと思うはずです。

5分を過ぎても信号が止まらないときは、

そこで初めて本当の遭難だと

判断されることになるわけです。

まあ、冗談はさて置き

ELT のお世話にならないように

安全第一の運航に努めましょうね。

<まとめ>

Emergency Locator Transmitters (ELTs) 救命無線機

Analog ELT

◎民間機 121.5 MHz

◎軍用機 243.0 MHz

Digital ELT

121.5 MHz と 460 MHz (人工衛星用)

◎航空機に関する多くの情報を送信可能

(所有者・登録番号と型式・位置情報)

ELT Inspection

◎12ヶ月ごと

(適切なインストール・バッテリーの腐食・正常な作動)

ELT Battery 交換又は再充電

◎耐用年数の50%が失効する

◎累積1時間以上使用している送信機

ELT 誤作動チェック

◎エンジン停止前に 121.5 MHz を監視

Testing Digital ELT

◎承認された技術者のみ

Testing Analog ELT

毎時間ごとの最初の5分間だけ

では、練習問題にトライしてみましょう!

・・・・・・・・・・・・・・・

Q1  :  When must batteries in an emergency locator transmitter (ELT) be replaced or recharged, if rechargeable?

A  :  After any inadvertent activation of the ELT.

B  :  When the ELT has been in use for more than 1 cumulative hour.

C  :  When the ELT can no longer be heard over the airplane’s communications radio receiver.

When must batteries in an emergency locator transmitter (ELT) be replaced or recharged,

:いつ ELT のバッテリーを交換するか再充電しなくてはいけないか

if rechargeable?

:もし充電式なら

After any inadvertent activation of the ELT.

:ELTの不用意な起動後

When the ELT has been in use for more than 1 cumulative hour.

:ELTが累積1時間以上使用されたとき

When the ELT can no longer be heard over the airplane’s communications radio receiver.

:ELT が飛行機の無線受信機で聞かれなくなったとき

自力で回答してから音声を聞いてください。

・・・・・・・・・・・・・・・

Q2  :  When are non-rechargeable batteries of an emergency locator transmitter (ELT) required to be replaced?

A  :  Every 24 months.

B  :  When 50 percent of their useful life expires.

C  :  At the time of each 100-hour or annual inspection.

When are non-rechargeable batteries of an emergency locator transmitter (ELT) required to be replaced?

:いつ 非充電式 ELT のバッテリーは交換が必要ですか

Every 24 months.

:24か月ごと

When 50 percent of their useful life expires.

:耐用年数の50%が満了したとき

At the time of each 100-hour or annual inspection.

:各100時間または毎年の検査の際に

自力で回答してから音声を聞いてください。

・・・・・・・・・・・・・・・

Q3  :  When activated, an emergency locator transmitter (ELT) transmits on

A  :  118.0 and 118.8 MHz.

B  :  121.5 and 243.0 MHz.

C  :  123.0 and 119.0 MHz.

When activated, an emergency locator transmitter (ELT) transmits on

:作動されたとき ELT は伝えます

118.0 and 118.8 MHz.

:118.0 および 118.8 メガヘルツで

121.5 and 243.0 MHz.

:121.5 および 243.0 メガヘルツで

123.0 and 119.0 MHz.

:123.0 および 119.0 メガヘルツで

自力で回答してから音声を聞いてください。

・・・・・・・・・・・・・・・

Q4  :  When may an emergency locator transmitter (ELT) be tested?

A  :  Anytime.

B  :  At 15 and 45 minutes past the hour.

C  :  During the first 5 minutes after the hour.

When may an emergency locator transmitter (ELT) be tested?

:いつ ELT はテストできますか

Anytime.

:いつでも

At 15 and 45 minutes past the hour.

:時間の15分過ぎと45分過ぎ

During the first 5 minutes after the hour.

:時間の最初の5分間

自力で回答してから音声を聞いてください。

・・・・・・・・・・・・・・・

Q5  :  Which procedure is recommended to ensure that the emergency locator transmitter (ELT) has not been activated?

A  :  Turn off the aircraft ELT after landing.

B  :  Ask the airport tower if they are receiving an ELT signal.

C  :  Monitor 121.5 before engine shutdown.

Which procedure is recommended

:どの手順が推奨されますか

to ensure that the emergency locator transmitter (ELT) has not been activated?

:確認するには ELT が起動されていないことを

Turn off the aircraft ELT after landing.

:オフにする 航空機の ELT を 着陸後

Ask the airport tower if they are receiving an ELT signal.

:問い合わせる 空港タワーに ELT 信号を受信しているかどうか

Monitor 121.5 before engine shutdown.

:121.5を監視する エンジンを停止する前に

自力で回答してから音声を聞いてください。

はい。どうでしたか?

私が訓練を受けていた頃は

当然なんですが、

デジタル式の ELT なんて

ありませんでした。

技術の進歩というのは

本当に凄いと思います。

まあ、いずれにしても

ELT のお世話にならないように

自分の技量を過信せず

安全第一のパイロットを

目指してくださいね。

ということで、今回は以上となります。

今日も最後まで読んでいただいて

ありがとうございます!

ではまた!

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