True North (真北) と Magnetic North (磁北)

[Cross-Country Planning : 野外飛行計画]

パイロット免許への水先案内人

須永です!

 

前回は、

Estimated time of arrival (到着予定時刻)

についてお話しさせていただきました。

到着時刻を求めるためには

所要時間を算出するわけですが、

そのためには

時速と距離という情報が

不可欠なわけです。

初めの段階で

分かっている情報のみを頼りに

必要な数値を求めていく

流れというのは

大体つかんでいただけましたか?

今回は、

True North (真北) と

Magnetic North (磁北)

についてお話しさせていただきます。

無風状態は稀だということ

これまで、

Flight Computer の計算盤側を使って

速度・時間・距離の算出方法を学び

到着予定時刻まで求めることが

出来るようになりました。

一度やり方を知ってしまえば、

とても簡単でしたよね。

でも、ちょっと待ってください。

実際のフライトでは、

その到着予定時刻は

完全なものではありません。

なぜなら、

各チェックポイントで

どんな風が吹いているかを

全く考慮していませんでしたね。

完全な無風状態という条件下での

数値に過ぎないのです。

実際のフライトで使用するには

不十分なんです。

それらを解決するために

Flight Computer の

wind 側の出番になるわけです。

この wind 側を

上手に使いこなすために

いくつか押さえておくべき

ことがあります。

 

まず、Course です。

通常、私たちが「コース」 と

呼んでいるものは

日本語では航路にあたり、

実際の地上を通過する進路のことです。

COURSE

Path of flight over the ground

COURSE

:コース

Path of flight over the ground

:飛行経路 地上の

 

2つのコース

そのコースは2つあります。

まず、True Course (真航路)

これは、

地球には緯度経度がありますね。

赤道に平行な緯線と

北極と南極を結ぶ経線は

互いに90°で交差していますよね。

この緯度と経度を基に進む航路を

True Course (真航路) と呼んでいます。

つまり、

真北が基準となっているコースのことです。

TRUE COURSE

Course referenced to true north

TRUE COURSE

:真航路

Course referenced to true north

:コース 関連のある 真北に

 

ここで問題になるのは、

航空機に装備されている計器です。

コースを表示する磁気コンパスは

真北を指さないということなんです。

磁気コンパスが指すのは

磁北なんです。

磁北は、真北とは別の位置に

存在しています。

この違い (ズレ) のことを

Magnetic Variation (磁気偏角)

といいます。

MAGNETIC VARIATION (VAR)

Difference between true and magnetic direction

MAGNETIC VARIATION (VAR)

:磁気偏角

Difference between true and magnetic direction

:違い (ズレ) 真方向と磁気方向の

 

これは北半球を北極点の真上から

みたイメージ図です。

経線は、それぞれが北極点に

向かうにつれて近づき

最終的には北極点で交わっているわけです。

既にご存知の通り

磁北は真北と違う位置 (カナダ北部) に

存在しています。

その磁北に向かって集まるように

存在するラインもあるのです。

このラインのことを

Magnetic Variation (磁気偏角)

または

Isogonic line (等角度線)

と呼んでいます。

Isogonic line (等角度線) とは

磁気的な偏角が同じである

地球表面上の点を結ぶ

地図上のイメージラインのことです。

これらのラインは

Chart 上では

マゼンタの破線で示されています。

一緒に数値も表記されているのですが、

”この周辺では真北より

何度磁北がズレているのか”を

表しているのです。

各ラインに表記されていますよ。

 

上の図の場合

もし、あなたが真北に向かって

フライトをするとき

True Course は 360°です。

つまり、北極点に向かって

飛ぶということですね。

ただ、

ここで問題があるわけです。

航空機内に装備されている計器は

磁北を基準にした情報なのです。

機内の磁気コンパスが示す

Magnetic North の方向は

真北から 11°30’も東に

ズレているのです。

この角度の差が

Magnetic Variation

ということですね。

この角度の差を加味して

針路をとらなければ

真北に向かって飛ぶことは

出来ないのです。

MAGNETIC COURSE (MC)

Course reference to magnetic north

MAGNETIC COURSE (MC)

:磁航路

Course reference to magnetic north

:コース 関連のある 磁北に

 

Magnetic Courseの求め方

では、Magnetic Course の

求め方として

一つ目は、

Chart 上の VOR,  VORTAC の

位置を示す Compass rose の方向は

全て磁北を基準とした

方位を示しているのです。

もう一つは Magnetic variation

から算出する方法です。

これに関しては

もう少し先で説明いたします。

 

 

簡単にいうと

フライトプランを立てるには

True course を決定した後に

実際のフライトに必要な

Magnetic course を割り出して

それに沿って飛ぶということなんです。

まとめ

True North (真北) と Magnetic North (磁北)

2つのコース

◎True Course (真航路)

 True North (真北) を基準にしたコース

◎Magnetic Course (磁航路)

 Magnetic North (磁北) を基準にしたコース

Magnetic Course の求め方

Chart の VOR,  VORTAC の

 Compass rose の方位は

 Magnetic North を基準にしている

◎Magnetic Variation から算出する

練習問題にトライしてみよう!

Q1  :  The angular difference between true north and magnetic north is

 

A  :  magnetic deviation.

B  :  magnetic variation.

C  :  compass acceleration error.

The angular difference between true north and magnetic north is

:角度差は 真北と磁北の

magnetic deviation.

:磁気偏差

magnetic variation.

:磁気偏角

compass acceleration error.

:コンパス加速誤差

自力で回答してから音声を聞いてください。

・・・・・・・・・・・・・・・

Q2  :  True course is

 

A  :  the direction the nose is pointed.

B  :  course referenced to true north.

C  :  the speed of the aircraft through the air.

True course is

:真航路は

the direction the nose is pointed.

:機首が指す方向

course referenced to true north.

:コース 基準にした 真北を

the speed of the aircraft through the air.

:対空速度

自力で回答してから音声を聞いてください。

・・・・・・・・・・・・・・・

Q3  :  Magnetic course is

 

A  :  course referenced to lines of latitude and longitude.

B  :  the direction the nose is pointed referenced to magnetic north.

C  :  course referenced to magnetic north.

Magnetic course is

:磁気コースは

course referenced to lines of latitude and longitude.

:コースは緯線と経線を基準にしたもの

the direction the nose is pointed referenced to magnetic north.

:方向は 機首が指す 磁北を基準にしたもの

course referenced to magnetic north.

:コースは 磁北を 基準にしている

自力で回答してから音声を聞いてください。

あとがき

はい。どうでしたか?

Flight Computer の

wind側の学習に入る前に

course (コース) について考えるには、

どうしても Variation を

理解しておかなくてはいけないので、

今回お話しさせていただきました。

Chart 上に計画を立てた

course (コース) と

パイロットがコックピット内で

得る情報とのズレを

解消するための措置としても

Variation が考慮されるんだと

捉えていただければいいと思います。

航空機内で北を示す磁気コンパスは

真北 (北極点) を指すのではなく、

磁北を指すということだ

しっかりと押さえておいてください。

 

といことで、今回は以上となります。

今日も最後まで読んでいただきまして

ありがとうございます!

ではまた!

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする