[Flight Operations : 運航]
パイロット免許への水先案内人
須永です!
前回は、FAA (Federal Aviation Administration) が
発行している Advisory Circular という刊行物、
また、運航に係わる情報の NOTAM について
お話しさせていただきました。
このブログ記事を読んで内容を
理解していただければ、
プライベートパイロットの筆記テストは
パスできるように構成していますので
頑張っていきましょう!
今回はプリフライト・チェックについての
お話となりますね。
突然ですが、
あなたは、自動車に乗るたびに
点検をしていますか?
私も含めてほとんどの人は
していないと思います。
ところが、飛行機では、
フライトごとの点検が必須なんですね。
航空機は、もし、何か不具合があったら
路肩に停まって確認するということが
できないんです。
なので、飛行前には必ず
プリフライト・チェック(飛行前点検)を
行うんですね。
このプリフライト・チェックの
全ての責任を課せられるのは
そのフライトの機長さんです。
単独飛行をすることもあるでしょう。
その場合は、あなたが Pilot in command としての
責任の下でしっかりとチェックしなくてはいけませんよ。
点検のやり方は、各航空機メーカーの
機種ごとにチェックリストが書かれているので
その順番に一つ一つ確認していくわけです。
外部点検は、反時計回りに行われますよ。
キャビン後部の荷物室のドアがしっかりと
閉じられていること。
胴体後部の外板やリベットの異常の有無。
胴体上部のアンテナ類の破損はないか?
水平安定板の凹みや割れなどの異常は?
エレベーターがひっかりなくスムーズに動くか?
エンジンオイルは適量あるのか?
などなど、ここで全てについて
書くことは割愛させていただきます。
あなたが実際に訓練で使う機種の
チェックリストに沿って確認を
しなければなりませんからね。
では、プライベートパイロットの
筆記テストにおいて、
プリフライト・チェックについて
問われることに絞ってみると
燃料に関するものになるかと思います。
一日のフライトを終えた飛行機は
どのような措置をとることが望ましいでしょうか?
それは・・・
燃料を満タンに補給しておくことなんですね。
これは、どういうことなのかというと
燃料タンクが満タンでないというのは
タンク内の上部には空気が存在している状態となります。
このタンク内の空気が
カラカラに乾いた空気ならいいのですが、
湿気を含んだ空気がタンク内にある場合は
問題ありなんです。
夜間、外気温の低下とともに
タンク内も冷やされることになりますよね。
すると湿気を含んだ空気は凝結/結露をおこして
気体から液体へ変わります。
すなわちタンク内壁に水滴が
発生してしまうということなんですね。
時間の経過とともに
水は燃料(油)よりも重いですから
タンクの下部に溜まることになりますね。
そんな状態で飛行したとしたら
どうなるかは想像できますね。
エンジンに燃料の代わりに水が送り込まれたら
燃焼できなくなりますから、
エンジンストップというトラブルに
陥ってしまいますよね。
なので、点検時はテスターを使い
燃料抜きドレインから燃料を採取して
水の混入や有無をチェックするのです。
一か所ではなくサンプルが取れる
全てのドレインから採取して
確認しましょう。
水の混入の判別がしやすいように
航空ガソリンは、クリアな青に
着色されているんです。
もしも、水の混入が確認された場合は
水が無くなるまで燃料抜きドレインから
水を抜いてしまいましょう。
サンプルから完全に水が無くなるまで
続けてくださいね。
今回は、プリフライト・チェック時に
燃料のサンプルを採取するのは、
水の混入を確認するためといことを
覚えてくださればOKです。
水が混入する原理や対処法も
しっかりと押さえておきましょうね。
ということで、
サクッと練習問題にトライしてみましょう!
・・・・・・・・・・・・・・・
Q1 : During the preflight inspection who is responsible for determining the aircraft is safe for flight ?
A : The owner or operator.
B : The pilot in command.
C : The certificated mechanic who performed the annual inspection.
During the preflight inspection
:飛行前点検の間
who is responsible
:誰に責任がありますか
for determining
:決定すること
the aircraft is safe for flight
:航空機が安全に飛行できること
The owner or operator
:所有者 又は 運航者
The pilot in command
:機長
The certificated mechanic
:有資格の整備士
who performed the annual inspection
:年1回の検査を行った
・
・
・
自力で答えを導き出してから
音声を聞いてください。
・・・・・・・・・・・・・・・
Q2 : Filling the fuel tanks after the last flight of the day is considered a good operating procedure because this will
A : force any existing water to the top of the tank away from the fuel line to the engine.
B : prevent expansion of the fuel by eliminating airspace in the tanks.
C : prevent moisture condensation by eliminating airspace in the tanks.
Filling the fuel tanks
:燃料タンクをいっぱいにすること
after the last flight of the day
:一日の最後のフライトのあと
is considered a good operating procedure
:良い操作手順と考えられる
because this will
:なぜなら これは・・・
force any existing water to the top of the tank away from the fuel line to the engine
:エンジンまで繋がる燃料系統から既存の水をタンクの外へ押し出す力になる
prevent expansion of the fuel
:燃料の膨張を防ぐ
by eliminating airspace in the tanks
:タンクの空気を取り除くことで
prevent moisture condensation
:水分の結露を防ぐ
・
・
・
自力で答えを導き出してから
音声を聞いてください。
はい。どうでしたか?
まあ、実際のプリフライト・チェックでは
それぞれの機体・機種専用のチェックリストが
備えられていますので
インストラクターの指示に従いながら
それに則って確認をしっかりと行ってくださね。
あくまでもこのブログは
筆記テスト対策のものだということを
頭において読んでいただけると幸いです。
ということで、
引き続き頑張っていきましょうね。
今日も最後まで読んでいただいて
ありがとうございます。
ではまた!
コメント
初めて書かせていただきます。
いつも疑問に思っていたことなのですが、ドレンした容器の燃料はどう始末するのですか?
次のようなことが考えられますが、、
1.エプロンに捨てる
2.指定された場所(ドラム缶)に入れる。
3.目視して水の混入がなければ、燃料タンクに戻す。
2が一番推奨されるような気がしますが、アメリカではフイルターが付いたドレン用の容器があるとのこと。3番もありかなと思います。何か根拠になる規定があったらご教授ください。
甚五様
はじめまして!
ご質問ありがとうございます!
正直私はどこに捨てるべきかを考えたことはありませんでした。
インストラクターがやっている通りにやっていたということです。
環境の観点からすると、
2.指定された場所(ドラム缶など)に入れる
というのが望ましいと思いますが、
実際に行っているのは、
1.エプロンに捨てる
です。
ドレインから採取する燃料は何リットルも抜くわけではありません。
水の混入を確認するだけですので
ごく僅かな量で済みますので、
その場(エプロン)に捨ててしまいます。
3.燃料タンクに戻す
とういうのは、やるべきではないです。
ドレイン容器に汚れなどが付着していた場合
不純物をタンク内に入れてしまうことになりますからね。
以上が回答となります。
納得していただけたなら幸いです。
今後も何か腑に落ちない点がございましたら
どんどんご質問なさってください。
よろしくお願いいたします。