Right of Way (優先権)

FAR

[FAR : 連邦航空規則]

 

パイロット免許への水先案内人

須永です!

 

前回は、

Light Gun Signals (ライトガン信号)

についてお話しさせていただきました。

 

管制塔のある空港に着陸する際、

万が一無線機が故障してしまい

タワーとの交信が

不可能となってしまっても

ライトガン信号で

タワーからの指示を受けながら

着陸することが可能ということが

分かりましたか?

信号の色と組合せで

指示内容が決まっていますが、

それらを整理して

覚えていただけましたか?

 

 

回は、

Right of Way (優先権)

についてお話したいと思います。

 

いきなりですが、

この飛行機は見ての通り

煙の尾を引いていますので、

正常な状態とは言えません。

窮地に陥っていますね。

このような航空機に対しては、

空中の他のどの航空機よりも

優先権が与えられるわけです。

いち早く地上に

降ろしてあげる必要があるのです。

 

AN AIRCRAFT IN DISTRESS

Has right-of-way over all other air traffic

 

AN AIRCRAFT IN DISTRESS

:窮地に陥った航空機

Has right-of-way over all other air traffic

:他の全ての航空機に対して優先権を持つ

 

 

ところが、

窮地に陥っているという

状況になくても優先権が

与えられるケースがあるのです。

 

この場合は

通行優先権といった方が

しっくりくるかと思います。

 

2機の航空機が互いに

正面から接近している場合、

彼らはどのようにして

衝突を回避するのでしょうか?

 

彼らはお互いに

右に針路を移行します。

お互いのカテゴリーに

関わらず右に避けるのです。

APPROACH HEAD-ON

Both give way to the right

Regardless of category

 

APPROACH HEAD-ON

:接近する 正面から

Both give way to the right

:両者右に移行する

Regardless of category

:カテゴリーに関わらず

 

 

お互いに正面からの接近は

非常に危険な状況ですが、

このように明確に

手順が決められているおかげで

衝突を回避できるわけなんです。

 

例えば、

グライダーと飛行機が同じ高度で

お互いに正面から近づいてきています。

 

パイロットたちは、

どう対処するのでしょうか?

 

先程述べました通り

カテゴリーが違う航空機であっても

お互いが右に移行して

衝突を回避するわけなんですね。

 

GLIDER AND AIRPLANE HEAD ON

Both give way to the right

 

GLIDER AND AIRPLANE HEAD ON

:グライダーと飛行機 正面に

Both give way to the right

:両者、右に移行する

 

 

では、

接近は接近でも

正面からではないケースでは

どうでしょう?

 

もし、

同じカテゴリー同士の

航空機が接近しているのであるなら、

左側にいる航空機が

針路を譲ることになっているのです。

 

覚え方としては、

右側 (Right) の航空機が

通行優先権 (Right-of-way) を

持っているということです。

Right is Rightですね。

 

 

SAME CATEGORY

Aircraft on left gives way

or

Aircraft on RIGHT has the RIGHT-of-way

 

SAME CATEGORY

:同じカテゴリー

Aircraft on left gives way

:左側の航空機が譲る

or

:または

Aircraft on RIGHT has the RIGHT-of-way

:右側の航空機が通行優先権を持つ

 

 

ですからこの場合は、

右側の航空機が

通行優先権を持っていますので、

左側の航空機が

右に移行して針路を譲り、

右側の航空機の後方に入る形を

取るのが正しい手順です。

これが同じカテゴリー同士の

衝突回避手順です。

 

 

では、

違うカテゴリーの航空機同士の

場合はどうでしょうか?

 

違うカテゴリー同士のケースでは、

機動性の低い航空機が

通行優先権を持つということです。

 

例えば、

飛行機と飛行船の接近です。

 

どちらに優先権があると思いますか?

 

機動性の低い方は飛行船ですよね。

 

 

 

DIFFERENT CATEGORIES

Least maneuverable has right-of-way

 

DIFFERENT CATEGORIES

:違うカテゴリー同士

Least maneuverable has right-of-way

:機動性の低い方が通行優先権を持つ

 

 

では、

お互いの位置関係が下の通りだとすると

その手順は、

飛行機は飛行船の進行方向と

反対方向に移行して

飛行船の後方に回る形で

針路を譲ることになります。

 

 

 

ところで、

違うカテゴリー同士ではありますが、

飛行機とヘリコプターでは

機動性は同じとされていますので、

ここはしっかりと押さえておいてくださいね。

 

RIGHT-OF-WAY RULES

Airplanes and helicopters are equal

 

RIGHT-OF-WAY RULES

:通行優先権のルール

Airplanes and helicopters are equal

:飛行機とヘリコプターは同等扱い

 

 

ですから、

飛行機とヘリコプター同士の接近の際は、

右側にいる方が優先権を

持っているということですからね。

 

 

ところで、

グライダーをけん引している航空機や

他の航空機に給油中の航空機というのは、

エンジンを持つ全ての航空機に対して

通行優先権を持っている

ということを覚えてください。

 

 

AIRCRAFT TOWING OR REFUELING ANOTHER AIRCRAFT

Has right-of-way over all other engine-driven aircraft

 

AIRCRAFT TOWING OR REFUELING ANOTHER AIRCRAFT

:けん引中の航空機又は他の航空機に給油中の航空機

Has right-of-way over all other engine-driven aircraft

:全ての他のエンジンを持つ航空機に対して通行優先権を持つ

 

 

ということで、

これらの航空機に遭遇した

飛行船やジャイロプレーンは

針路を譲らなければならないのです。

 

なぜなら、

飛行船もジャイロプレーンも

エンジンを動力として

飛行している航空機だからです。

 

 

では、グライダーはどうでしょう?

 

この場合は、

グライダーに通行優先権があります。

 

なぜだかもうお分りですよね。

そうです。

グライダーにはエンジンが無いからですね。

 

つまり、

グライダーは

飛行機に対しても

飛行船に対しても、

さらにけん引中の航空機や

他の航空機に給油中の

航空機に対しても

通行優先権がある

ということなんですね。

 

 

はい。

今回の知識を持ったあなたは、

今後上空でどんな航空機に

接近したとしても

衝突回避の手順を心得たことに

なりましたよ。

 

 

<まとめ>

Right of Way (優先権)

An Aircraft in Distress 

◎全ての航空機に対して優先権を持つ

 

Approach Head-on

◎カテゴリーに関わらず両者右へ移行

 

Same Category (Not head-on)

◎左側の航空機が針路を譲る

 =右側の航空機が通行優先権を持つ

 

Different Categories

◎機動性の低い航空機が通行優先権を持つ

◎飛行機とヘリコプターは同等扱い

 

Aircraft Towing or Refueling another Aircraft

◎全ての他のエンジンを持つ航空機に対して通行優先権を持つ

 

 

では、練習問題にトライしてみましょう!

・・・・・・・・・・・・・・・

Q1  :  Which aircraft has the right-of-way over all other air traffic?

 

A  :  A balloon.

B  :  An aircraft in distress.

C  :  An aircraft on final approach to land.

 

 

Which aircraft has the right-of-way over all other air traffic?

:どの航空機が全ての航空交通に対して優先権がありますか

A balloon.

:気球

An aircraft in distress.

:窮地に陥った航空機

An aircraft on final approach to land.

:着陸のためファイナルアプローチ上の航空機

自力で回答してから音声を聞いてください。

 

・・・・・・・・・・・・・・・

Q2  :  What action is required when two aircraft of the same category converge, but not head-on?

 

A  :  The faster aircraft shall give way.

B  :  The aircraft on the left shall give way.

C  :  Each aircraft shall give way to the right.

 

 

What action is required when two aircraft of the same category converge,

:どんな行動が必要ですか 同じカテゴリーの2機の飛行機が 近づいているとき

but not head-on?

:でも正面からではない

The faster aircraft shall give way.

:速い航空機が針路を譲る

The aircraft on the left shall give way.

:左側の航空機が針路を譲る

Each aircraft shall give way to the right.

:それぞれの航空機が右に移行する

自力で回答してから音声を聞いてください。

 

・・・・・・・・・・・・・・・

Q3  :  An airplane and an airship are converging. If the airship is left of the airplane’s position, which aircraft has the right-of-way?

 

A  :  The airship.

B  :  The airplane.

C  :  Each pilot should alter course to the right.

 

 

An airplane and an airship are converging.

:飛行機と飛行船が近づいています

If the airship is left of the airplane’s position,

:もし飛行船が飛行機の左側であれば

which aircraft has the right-of-way?

:どちらの航空機が通行優先権を持ちますか

The airship.

:飛行船

The airplane.

:飛行機

Each pilot should alter course to the right.

:それぞれのパイロットはコースを変える 右に

自力で回答してから音声を聞いてください。

 

・・・・・・・・・・・・・・・

Q4  :  What action should the pilots of a glider and an airplane take if on a head-on collision course?

 

A  :  The airplane pilot should give way to the left.

B  :  The glider pilot should give way to the right.

C  :  Both pilots should give way to the right.

 

 

What action should the pilots of a glider and an airplane take

:どんな行動をとるべきですか グライダーと飛行機のパイロットは

if on a head-on collision course?

:もし正面からの衝突コースなら

The airplane pilot should give way to the left.

:飛行機のパイロットは左に移行して針路を譲る

The glider pilot should give way to the right.

:グライダーのパイロットは右に移行して針路を譲る

Both pilots should give way to the right.

:両パイロットは右に移行して針路を譲る

自力で回答してから音声を聞いてください。

 

はい。どうでしたか?

 

ヘリコプターを除いては

空中で急ブレーキをかけて

停止することは出来ません。

 

いざという時に

慌てないように

正しい手順で

衝突を避けれるように

しておきましょうね。

 

知識として

知っていることと

できることは

イコールではありませんから

担当のインストラクターに

しっかりと

鍛えてもらってくださいね。

 

 

ということで、今回は以上となります。

今日も最後まで読んでいただいて

ありがとうございます!

ではまた!

 

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