[FAR : 連邦航空規則]
パイロット免許への水先案内人
須永です!
前回は、
Alterations and Repairs (変更/交換と修理)
についてお話しさせていただきました。
航空機の飛行特徴に
影響を及ぼすような
大がかりなパーツの変更や交換が
行われた後は、
テスト飛行をするまで
乗客を乗せたり通常の運航に
戻すことは出来ません。
そのテスト飛行を実施できるのは
プライベートパイロット以上の
ライセンス所持者ということを
覚えていただけましたか?
今回は、
Preventive Maintenance (簡単な保守作業)
についてお話したいと思います。
Maintenance (整備) という
名のつく作業の中で
Major Maintenance (主要な整備) と
完全に区別された
Preventive Maintenance
と呼ばれる作業があるのです。
この Preventive という単語を
辞書で調べてみると
予防の・防止的な・止める・防げる
などの意味が出てきます。
なので、予防整備というように
訳したくなってしまいそうですね。
しかし、
連邦航空規則でいう Preventive は
簡単なというニュアンスがあるようです。
通常の航空整備に関しては
整備士の免許を持った者しか
整備に当たることができません。
ところが、
パイロットの資格を持っている者であれば
行える簡単な作業枠ということで
Preventive Maintenance (簡単な保守作業)
として定められています。
Preventive Maintenance の定義は
複雑な構造部以外の
些細な基礎的な部品交換のような
簡単又は保守処置を
自分の所有する航空機だけに対して
行えるというものです。
ここでいうパイロットの資格は
スチューデントパイロットや
レクレーショナルパイロットでもOKです。
PREVENTIVE MAINTENANCE
Simple or preservation operations
Replacement of small standard parts
May be done by pilot on own aircraft only
PREVENTIVE MAINTENANCE
:簡単な保守作業
Simple or preservation operations
:簡単な又は保守処置
Replacement of small standard parts
:些細な基礎的な部品交換
May be done by pilot on own aircraft only
:パイロットに行われても良い 所有する航空機に限り
ただし、
ステューデントパイロットや
レクレーショナルパイロットが
作業自体を行なうことは大丈夫なのですが、
そのまま運航に戻すことはできません。
適切な人のチェックが必要となります。
ですから、
作業後すぐに運航に戻すことが出来るのは、
プライベートパイロット以上の
資格の持ち主による作業の場合に限る
ということですね。
RETURN TO SERVICE
Must be done by Private Pilot or higher
RETURN TO SERVICE
:再運航
Must be done by Private Pilot or higher
:プライベートパイロット以上の有資格者によってされなくてはいけない
では、
Preventive Maintenance は
具体的にどんなものがあるかというと
車輪のベアリングへのオイルの補充や
油圧作動油の補充などです。
PREVENTIVE MAINTENANCE EXAMPLE
Servicing landing gear wheel bearings
Replenishing hydraulic fluid
PREVENTIVE MAINTENANCE EXAMPLE
:簡単な保守作業の例
Servicing landing gear wheel bearings
:車輪のベアリングへのオイルの補充
Replenishing hydraulic fluid
:油圧作動油の補充
次に
所有する航空機に対して
Preventive Maintenance の作業を
行うことが許されている内容を
謳っている規則は
14 CFR Part 43.7 です。
以前にも登場した連邦規則集ですね。
Cord of Federal Regulations の
タイトル 14 が
Aeronautics and Space (航空と宇宙) で
Federal Aviation Regulations (連邦航空規則) とも
呼ばれる巻ですね。
このコードナンバーは
筆記テスト対策として
知らないといけませんよ。
ですが、安心してください。
とてもシンプルです。
なぜなら、
Part 43 は航空機のメンテナンスに関する内容で、
Part 61 は航空従事者の資格についてで、
Part 91 は一般的な運航と飛行規則
ということさえ押さえておけば大丈夫なんです。
問題文の記述に関係しているのは、
Part 43, Part 61, Part 91 のどれですか?
という感じの問題だからです。
安心したでしょ。
CFR公式サイトのリンクを
貼っておきますので
時間のあるときにご確認ください。
先に進みますよ。
Preventive Maintenance の
作業を行った場合は、
例によってペーパーワークが
必要ですよ。
Aircraft Logbook に
整備記録をつけましょうね。
記入に必要な項目は
・あなたのサイン
・あなたの免許証ナンバーと種類
・あなたの行った作業内容の説明です。
MAINTENANCE RECORDS ENTRIES
Your signature
Your certificate number and kind
Description of work
MAINTENANCE RECORDS ENTRIES
:整備記録に記入
Your signature
:あなたのサイン
Your certificate number and kind
:あなたの免許証ナンバーと種類
Description of work
:作業内容の説明
FAAはどんなに小さなことであっても
Preventive Maintenance の
作業が行われた場合は、
誰がどんな内容の作業をしたのか
知りたいということなんですね。
<まとめ>
Preventive Maintenance (簡単な保守作業)
Preventive Maintenance
◎簡単な部品交換のような保守処置
◎所有機に対してに限り
パイロット資格があれば作業可能
(スチューデント・レクレーショナルでも可)
ただし、再運航のためには
プライベート以上の有資格者によること
具体例
◎車輪のベアリングへのオイルの補充
◎油圧作動油の補充など
CFRコード
◎Part 43:航空機のメンテナンス
◎Part 61:航空従事者の資格
◎Part 91:一般的な運航と飛行規則
整備記録に記入
◎あなたのサイン
◎あなたの免許証ナンバーと種類
◎作業内容の説明
では、早速練習問題にトライしてみましょう!
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Q1 : Preventive maintenance has been performed on an aircraft. What paperwork is required?
A : A Full, detailed description of the work done must be entered in the airframe logbook.
B : The date the work was completed, and the name of the person who did the work must be entered in the airframe and engine logbook.
C : The signature, certificate number, and kind of certificate held by the person approving the work and a description of the work must be entered in the aircraft maintenance records.
Preventive maintenance has been performed on an aircraft.
:簡単な保守作業が施されました 航空機に
What paperwork is required?
:どんな文書業務が必要ですか
A Full, detailed description of the work done must be entered in the airframe logbook.
:作業内容の詳細について全て 機体ログブックに記入されなくてはいけない
The date the work was completed, and the name of the person who did the work must be entered in the airframe and engine logbook.
:作業完了日、作業者氏名が 機体ログブックとエンジンログブックに記入されなくてはいけない
The signature, certificate number, and kind of certificate held by the person approving the work and a description of the work must be entered in the aircraft maintenance records.
:作業者のサイン、作業者の免許証ナンバーと種類、作業内容の説明が整備記録書に記入されなくてはいけない
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・
自力で回答してから音声を聞いてください。
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Q2 : Which operation would be described as preventive maintenance?
A : Repair landing gear brace struts.
B : Replenishing hydraulic fluid.
C : Repair of portion of skin sheets by making additional seams.
Which operation would be described as preventive maintenance?
:どの処置が簡単な保守作業としての説明ですか
Repair landing gear brace struts.
:着陸装置補強支柱の修理
Replenishing hydraulic fluid.
:油圧作動油の補充
Repair of portion of skin sheets by making additional seams.
:機体外板の一部に継ぎ目を加えての修理
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・
自力で回答してから音声を聞いてください。
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Q3 : What regulation allows a private pilot to perform preventive maintenance?
A : 14 CFR Part 91.403
B : 14 CFR Part 43.7
C : 14 CFR Part 61.113
What regulation allows a private pilot to perform preventive maintenance?
:どの規則が許していますか プライベートパイロットが簡単な保守作業を行うことを
14 CFR Part 91.403
:連邦規則集タイトル14 パート91.403
14 CFR Part 43.7
:連邦規則集タイトル14 パート43.7
14 CFR Part 61.113
:連邦規則集タイトル14 パート61.113
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・
自力で回答してから音声を聞いてください。
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Q4 : Who made perform preventive maintenance on an aircraft and approve it for return to service?
1.Student or Recreational pilot.
2.Private or Commercial pilot.
3.None of the above.
A : 1.
B : 2.
C : Neither 1 or 2.
Who made perform preventive maintenance on an aircraft and approve it for return to service?
:誰が簡単な保守作業をして 且つ運航に戻すことを許されていますか
1.Student or Recreational pilot.
:1.スチューデント又はレクレーショナルパイロット
2.Private or Commercial pilot.
:2.プライベート又はコマーシャルパイロット
3.None of the above.
:3.前述にはなし
1.
:1
2.
:2
Neither 1 or 2.
:1でも2でもない
・
・
・
自力で回答してから音声を聞いてください。
はい。どうでしたか?
特に問題なく正解できましたか?
その調子で頑張ってください。
もし、間違ってしまったなら
次回からヒントになるキーワードを
さらに拾い出してみましょう。
特に、Q1 では
選択肢の全てに記入とあります。
では、記入されるべき事項は
・作業者のサイン
・作業者の免許証ナンバーと種類
・作業内容の説明
と一つずつ当たっていけば
C を選ぶことが出来るはずです。
また、機体ログブックにも
エンジンログブックにも
簡単な保守作業については
記入されませんから
そこで判断してしまうことも
可能ですよね。
大切なのは迷ったら
落ち着いてじっくり
内容を吟味していくことです。
時間は十分にありますから
焦らず回答することです。
はい。ということで、
引き続き頑張っていきましょう。
今回は以上となります。
今日も最後まで読んでいただいて
ありがとうございます!
ではまた!