Magnetic Course の求め方②

[Cross-Country Planning : 野外飛行計画]

パイロット免許への水先案内人

須永です!

 

前回は、

Magnetic Course の求め方①

についてお話しさせていただきました。

Magnetic Course の

求め方には2つあり、

その一つとしてお伝えした

「もしも、

計画しているコースの

出発地点又は目的地に

VOR や VORTAC がある場合」は

Magnetic Course の割り出し方は

とても簡単でしたね。

Chart 上の VOR 又は

VORTAC の外周に

Compass rose が

記載されていますので

コースに重なる羅針目盛りを

読むだけで、それが

Magnetic Course なんだ

ということを

覚えていただけましたか?

今回は、

Magnetic Course の求め方②

についてお話したいと思います。

もう一つの方法

では、難しい方の

Magnetic Course の求め方を

説明していきますね。

といっても、

前回のものと比べてという意味です。

今回の方法もとても簡単ですよ。

どうするのかというと

Longitude lines (経線)

又は

Latitude lines (緯線) を使うのです。

つまり、

初めに True Course のラインを

Chart 上に引いてから、

Magnetic Variation を加味して

Magnetic Course を求める

というように二段階でやるわけです。

一発で出せない分だけ

やや難しいというより

手間がかかるといった方が

正しいかも知れません。

では、実際の例を挙げながら

見ていくことにしましょう。

左下のエリア1の

AIRPARK EAST 空港から

右側やや下のエリア2の

WINNSBORO 空港までの

このコースにおける

Magnetic Course を求めるわけです。

まず、

出発空港の中心と

目的地の空港の中心を

ラインで結びます。

このラインが True Course

ということは理解していますよね?

で、そのフライトは

大まかにどちらの方角に

向かっているかということを

確認します。

ざっくり東に向かって

飛ぶようですね。

次は、

その True Course のラインが

緯線又は経線と

交差しているところがないか

探してみてください。

ここに Longitude (経線) がありますね。

なので、

この経線を使って

Magnetic Course を求めてみましょう。

True Course から適切な

Magnetic Course は一体どれほど

ズレているのかを確認するわけです。

そこで活用するものが

Magnetic Variation です。

 

Plotter の再確認

その前に Plotter を

もう一度確認しておきましょう。

ラインを引いたり、

距離を計測するには

Plotter の直線部を使います。

中央部の分度器が

True Course と

Magnetic Course のズレを

割り出すためのものになります。

上側の直線部に付けられている

分度器の底辺の中心をみてください。

小さな穴があります。

この穴は True Course を

合わせるための目印です。

 

分度器の目盛りを見てみましょう。

4つの層に分かれた目盛りがついていますね。

上から

東寄りに向かうコース用

西寄りに向かうコース用

北寄りに向かうコース用

南寄りに向かうコース用

となっています。

初めの段階でプランのコースが

大体どの方向に向かって

飛ぶのかが分かっているので、

それに見合った目盛りを選んで

読むということです。

 

大まかな方向・東西南北

そこまで確認できたところで

Chart に戻りましょう。

ざっくり

東西に伸びているラインが

コース (True) で

南北にあるのが

経線 (Longitude line) です。

では、

Plotter の上部の直線部を

コースにあてがってください。

あてがった Plotter の上部の直線部と

コースがズレないように

中心の穴が経線と重なる箇所に

セットしますよ。

 

ここで確認です。

私たちのコースは

大体どの方向に向かうのでしたか?

はい。東でしたね。

ということで、

経線と E の目盛りが

一致しているところを読むわけですね。

でも、慌てないでくださいよ!

目盛りをよく見てください。

E の目盛りは

数字が左にいくほど

大きい値になっていますね。

普通の分度器とは正反対の目盛りです。

 

経線と目盛りの部分だけを見ると

78と読みたくなってしまいそうですが、

82が正解です。

ということで

True Course は

082°と割り出すことができました。

 

別のタイプの Plotter

ところで、

Plotter にも別のタイプがあります。

下のタイプであれば、

とてもシンプルで

目盛りの読み違いの恐れもありません。

分度器の中心を

あなたが引いたラインに合わせて、

分度器の を経線に一致させます。

これだけで、

あとは進む側のコースのラインと

目盛りが一致した箇所で

読み取るだけです。

ちょうど前回の

VOR や VORTAC の

Compass rose を使った方法と

似ています。

ただ、今回の方法は

Plotter の 0° を経線に合わせて

セットするので

True north (真北) が基準の

True course が得られるわけですので

混同しないでくださいね。

(VOR や VORTAC の

Compass rose を使用する方法で

得られるのは Magnetic Course です)

ちょっと話が逸れてしまいましたが、

このタイプの Plotter では

目盛りの読み違いという

ミスもありません。

なぜなら、

目盛りは一つしかありませんし、

目盛りも通常のように

右に進むにつれて

数字は大きくなっていますからね。

こちらの Plotter でも

True Course は 082°となりましたね。

 

Magnetic Variation を加味する

ここで終わりではありませんよ。

FAAは、あなたが

Magnetic Course を的確に

求められるかを知りたいのです。

既にお伝えした通り

Magnetic Course を割り出すには、

Magnetic Variation を

加味するということでしたね。

 

True North と

Magnetic North には

Magnetic Variation と呼ばれる

ズレがありますが、

同じズレの角度の地点同士を

結んだラインを

Isogonic lines (等方位角線)

といいます。

ちなみに

偏角が 0 の地点を結んだラインを

Agonic line (無偏差線) といいます。

さて、上記に示したラインは

Chart 上では

マゼンタの破線で表示しています。

そのラインには

どれだけのズレがあるのか

角度も数値で一緒に表示されています。

ただ、この参照図の中には

残念ながら角度の表示が見当たりません。

参照図ということで

範囲が狭く角度表示がある部分まで

カバーできなかったということです。

しかし、

筆記テストでこのような場合は、

Magnetic Variation (VAR) の値は

問題文の中で提供されますので

心配しないでください。

今回取り組んでいるエリアの

VAR は、6°30’E です。

角度のズレが

このように 6°30’E であれば、

と思ってください。

30’ (1°の半分の角度) は

無視しても大丈夫です。

磁気コンパスでは

そこまで細かく計測することは

出来ません。

1°の半分の角度まで

きちっと指しながら

飛ぶことは不可能ですからね。

なにしろ

磁気コンパスの一目盛りは

ですから。

 

さあ、いよいよ最終段階ですよ。

VAR が E なので、

True Courseに を足しますか?

引きますか?

下の図を見ると

Easterly (東偏エリア) のラインには

マイナスの記号がついていますね。

Westerly (西偏エリア) では逆に

プラスの記号です。

どういうことかというと

Easterly のエリアでは

磁気コンパスが指す

Magnetic north (磁北) は

True north (真北) よりも

東寄り (右側) に位置しているのです。

ということは、

True north (真北) に

向かいたいのであれば

磁気コンパスが指す「北」よりも

左の方向にコースを取らなければ

ならないということなんです。

そうです。

機首を左に向ける必要があるのです。

機首を左に向けるということは

Compass rose の方位目盛りでいうと

小さい数値ですよね。

なので、Easterly では

True course の方位から

VAR (ズレの角度) だけ引き算する

ということなんです。

Westerly では

反対に足し算になるんですね。

 

簡単な覚え方のフレーズがあります。

East is least   イースト・イズ・リースト

(東は、最小)

West is best   ウエスト・イズ・ベスト

(西は、最上)

 

東は、引いて

西は、足すです。

 

さあ、

先程の 7°E はどうですか?

E ですから

引き算ですね。

True Course 082° から

Easterly Variation 7°を引きます。

075°となりました。

これが Magnetic course です。

 

TC 082°

EVAR −7°

MC 075°

これで、ようやく

Magnetic Course が

求められたということです。

お疲れさまでした。

 

まとめ

Magnetic Course の求め方②

経線又は緯線を使用する

1コースのラインを引く

2経線又は緯線の関係から True course を割り出す

3そのエリアの Variation を基に

 角度のズレを足すか引くかして

 Magnetic course を割り出す

※適切な分度器の目盛りを使用する

Variation

East is least 東・引き算

◎West is best 西・足し算

練習問題にトライしてみよう!

Q  :  (Refer to figure) Determine the magnetic course from Airpark East Airport (area 1) to Winnsboro Airport (area 2). Magnetic variation is 6°30’E.

 

A  :  075°.

B  :  082°.

C  :  091°.

(Refer to figure)

:図を参照してください

Determine the magnetic course

:割り出しなさい マグネティックコースを

from Airpark East Airport (area 1) to Winnsboro Airport (area 2).

:エアパークイースト空港(エリア1)から ウインズボロウ空港(エリア2)

Magnetic variation is 6°30’E.

:マグネティック ヴァリエーションは 東偏6度30分

075°.

:075°

082°.

:082°

091°.

:091°

今回も本文の内容を

そのままの形で英文にして

練習問題とさせていただきました。

英文ではこんな表現になる

ということを感じてください。

全く本文と同じ内容ですので

音声解説は割愛させていただきます。

念のために正解は

最後に記載してあります。

あとがき

はい。どうでしたか?

前回の VOR・VORTAC の

Compass rose を

読むだけの方法と比べたら

少々面倒くさいところもありますが、

今回の方法を覚えてしまえば

あなたは、フライトプランで

どのコースを選んだとしても

そのコースの Magnetic course を

割り出すことができるように

なったということです。

引き続き頑張っていきましょうね。

ということで、今回は以上となります。

今日も最後まで読んでいただいて

ありがとうございます!

ではまた!

練習問題の正解は

A  :  075° です。

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